『映画トロピカル〜ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』志水淳児監督インタビュー「映画の中ではあえて説明をしていない部分がある。考えないと分からない部分を、考えていただけるとより深みが増してくると思います」
『トロピカル~ジュ!プリキュア』(略称トロプリ)と『ハートキャッチプリキュア!』(略称ハトプリ)が時代を越えてコラボレーション!劇場版最新作『映画トロピカル~ジュ!プリキュア 雪のプリンセスと奇跡の指輪!』が、2021年10月23日(土)より全国で大ヒット上映中です。
本作は、雪の王国・シャンティアを舞台に、プリンセスであるシャロンから招待を受け王国を訪れたまなつたちの活躍を描く物語。女優の松本まりかさん(シャロン役)、朝日放送グループホールディングスのキャラクター・エビシーと、HTB北海道テレビのマスコットキャラクター・onちゃんなど、多彩なゲストが登場することでも話題を呼んでいます。
本作を手掛けたのは志水 淳児監督。『フレッシュプリキュア!』のシリーズディレクターをはじめ、『ハトプリ』、『トロプリ』などのプリキュアシリーズの絵コンテ・演出、さらに『映画ふたりはプリキュアMaxHeart』『映画プリキュアオールスターズ春のカーニバル♪』の監督(劇場版は本作含め7作)を務められています。
今回、アニメイトタイムズでは、志水監督に制作にまつわるお話をうかがいました。
※本記事にはネタバレはありませんが、物語の内容が含まれております。ご了承くださいませ。
「子どもたちにとって生きるための力になれば」
──最初にお話をいただいたときは、どのような作品にしようと考えられたのでしょうか?
志水淳児 監督(以下、志水):『ハートキャッチプリキュア!』とのコラボレーションという話からはじまっているので、『トロプリ』と『ハトプリ』をうまく共演させられるかどうか、最初は難しいなと思いました。
久しぶりのプリキュアシリーズの劇場版だったので「本当に僕がやって大丈夫?」という思いはありました。
──最初に難しいと思ったのは、具体的にどんなところだったのでしょうか。
志水:2組のバランスですよね。前回の春映画の時(『映画 ヒーリングっど♥プリキュア ゆめのまちでキュン!っとGoGo!大変身!!』)はバランスを取るのが難しくて詰め込んだ感じになったので、2組を良い形で融合させてうまくまとまるようにしたいなと。
──『トロプリ』『ハトプリ』のコミカルさと感動が絶妙なバランスだなとも思いました。
志水:それは『トロプリ』の作品の力あってこそだと思います。勢いがあればいろいろなものとコラボレーションができるので。
──志水監督から見て『トロプリ』はどのような作品に映っていたのでしょうか。
志水:にぎやかに、好き勝手にやっているように見えて芯の部分はブレていないなと。土田(豊)監督は、「ここはこうじゃない」と細かく指示される方なので、はっちゃけたことをやりすぎると止められることもありました。
──土田監督からは他にどのようなお話があったのでしょうか。
志水:キャラクター性についてですよね。例えば「この子はこういうことはしない」とか。今後のシリーズ構成に関わる部分もあったので「これをここでやるのはまだ早い」とか。
──では志水監督が絵コンテ・演出として携わられていた『ハトプリ』はどのような印象がありますか?
志水:当時2本くらいやっていたので(8話「カリスマモデルのため息!って、なぜですか?」20話「第3の妖精! ポプリはかわいい赤ちゃんです!!」)、設定はある程度は分かっていましたけれど、相当時間が経っていたのでまた調べなおしました。
全編のビデオを取り寄せて、「このときはこういう表情をするよね」とか共有して。あと昔の映画も全部集めて、いつでも参照できるように準備しました。
──そこからはどのように制作が進んでいったのでしょうか。
志水:だいたいの話は決まっていて。そこにあとからのっかった感じですね。僕が参加したときは「細かいところをどうするか」を決めていった感じでした。
まだ当時はシャロンという名前も決まっていなくて。どういう原因でああいうことになったか、それをみんなで考えながら決めていきました。
──志水監督としてはどのような点にこだわられたのでしょうか。
志水:こだわり、ですか。なんだろうな。お客様に楽しんでいただけるものを作らなきゃいけないなとは思っていて。あまり独りよがりになって、良く分からないものにはしないようにと。それはいつも考えていることですね。
──ほかにいつも考えていることとして“女の子が一生懸命頑張ってる姿を描くこと”と過去のインタビューなどでおっしゃっていた記憶があります。
志水:そうですね。子どもたちにとって生きるための力になればと思っています。プリキュアは教育番組の一環でもあるので、手本となるような作品にしたいなと思っています。