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アニメ『さんかく窓の外側は夜』平田広明 インタビュー連載 第7回

アニメ『さんかく窓の外側は夜』先生役・平田広明さんインタビュー|原作を何度も読み返すほど深い作品。先生は“正解”がない難しい役どころ!?【連載07】

2021年10月よりTOKYO MXほかにて放送中のTVアニメ『さんかく窓の外側は夜』。

本作はヤマシタトモコ先生の同名ホラーコミックが原作で、偶然出会った除霊師の冷川理人と昔から不気味なモノを「視て」しまう体質の三角康介がバディを組み、数々の事件を解決していくストーリーとなっています。

このたび、アニメイトタイムズにて声優陣やスタッフを対象にしたインタビュー連載がスタート! アニメーションならではの見どころやキャラクターへの解釈、収録現場の様子などを語っていただきました。

第7回目にお届けするのは、先生役の平田広明さん。原作を何度も読み返したほど、とても難しい役だったそうです。平田さんの貴重なお話をぜひ最後までご覧ください。

すべてを理解した上で演じるのが不可能な役

——最初に、台本または原作を読んだときの最初の感想をお聞かせください。

先生役・平田広明さん(以下、平田):原作コミックスを全部そろえて読ませていただきましたが、全体的にすごく難しい印象を受けました。三角くんと冷川くんの会話を読んでいても何か得体の知れない裏がありそうな感じがして……。

言葉の裏側にあるものを読み取るのが難しいな…と思いながら読んでいました。特に、先生に関しては、何を言ってるのか最初は全然わからなかったです。

収録現場で解釈が難しいところを教えてもらいましたが、先生は謎の多い人物でもあるので演じ手がすべてを理解した上で演じるのが不可能な役だと思いました。

不安定で謎めいた要素がどのくらいあればいいのか、そのバランスは現場でシーンごとに相談しながら収録を進めていった感じです。

正直、あんなに何度も読んだ原作はないほど読み返しました。

——何度も読み返されたのですね!

平田:漫画原作だとビジュアルの情報も入ってくるので文字だけの作品よりも頭の中に入って来易いのですが、この作品は一度読んだだけではわからなかったので、何度も読み返しましたね。

先生だけじゃなくて、刑事の半澤さんだったり、キャラクター1人1人が難しかったです。

——『さんかく窓の外側は夜』はただ事件を解決していくだけでなく、1つ1つのストーリーが複雑に絡み合っていますし、さらにキャラクターとも関わりがある内容が多いですから……それがこの作品ならではの魅力かもしれません。

平田:本当にそういった複雑なところが面白い要素だと思います。単純明快な作品ばかり読んできたから、ただ単に自分の読解力がないだけかもしれません。

——いえいえ! 特に、謎めいた“先生”は理解するのが難しいキャラクターだと思います。平田さん自身、最初はどのような人物だと捉えられましたか?

平田:僕からすると結構な悪の親玉感を覚えました。でも彼が何をしたいのか、よくわかりませんでした。持っている能力は置いておいて、彼がどういう風に壊れていったのか、それも謎でした。

ただ、彼の過去に触れたとき、奥さんのために“自分か三角(康介)くんが去らないといけない”と考えてとった行動に関しては何となくわかるような気もします。共感するところはないですが、同情すべきところは多少あるキャラクターです。

——先生は第3話で初登場しましたが、表情と併せた声音にインパクトがありました。

平田:僕も第3話はオンエアで拝見させていただきました。実は、第3話の収録では、まだ先生の全体像が僕の中でしっかりと掴みきれていない状態だったんです。

第3話以降から彼がいろいろなことをするようになりますが、居住まいは至って普通です。ちょっとクールでニヒルな感じはしますが、変にドロドロしていませんし、普通のひ弱そうなおじさんだなと。

だからか、第3話のワンシーンで彼の何かを表現しよう、(視聴者に)何かを感じさせようということは思いませんでしたし、ディレクターも考えていなかったと思います。

ただ、登場のインパクトはあったほうがいいということで、どういう印象を与えたら良いのかな?と自分自身で把握しきれないところがありました。

なので、監督や音響監督とお話しながらマイクの前に立ちましたが、納谷さん(音響監督)も手探りな状態で「平田ならどこまでやらせたほうがいいのかな?」と考えられたと思うんです。

そういうことを踏まえて、当たり障りなくというわけではありませんが、いろいろな可能性を考えさせられる、どうにでも取れるような登場の仕方をチョイスされたんじゃないかと思います。

——個人的に、第5話最後のシーンでの英莉可と先生の会話も印象的でした。「名前を知られる」ことを恐れている先生がすごく頭の中に残っています。

平田:あのシーンですね! とにかく自分のことがわからないように周りに軽く呪いをかけているんですよね。名前を知ることで呪いの力が強くなる、人を呪うけれども自分は呪われたくない……人として正しい姿だと思います。

——確かに!

平田:結局は彼、チキンなんじゃないかな。

一同:(笑)。

平田:先生が持っている霊的な部分を包み込んでくれるのが奥さんで家族で幸せに生活していましたが、自分の霊的な部分を背負った息子が生まれて数で奥さんの力が負けてしまい、どうすればいいのか悩み、彼女のために自分から去っていく先生は偉いと思います。

彼女を守るために、自分の記憶を消したり曖昧にしたりしていると思うので、あまり悪い印象を彼女に与えたくなかったんじゃないかなと。

——そうですね。家族のことを思い出すとそっちに戻りたくなるから、記憶を消しているのかもしれません。

平田:なんだか、インタビューを受けているというよりも語り合っている感じがしますね。

——それだけ語りがいのある魅力的な作品という証拠ですね!

(C)ヤマシタトモコ/リブレ・さんかく窓プロジェクト
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