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アニメ『逆転世界ノ電池少女』細道役・山下誠一郎 クライマックス直前インタビュー

TVアニメ『逆転世界ノ電池少女』クライマックス直前!久導細道役・山下誠一郎さんインタビュー|最終決戦は、3人いる電池少女たちと協力してどのように戦うかにも注目!?

2021年10月から放送中のTVアニメ『逆転世界ノ電池少女』がついにクライマックスを迎える!

突如現れた異世界「真国日本」が、ガス兵器“幻霧”と巨大人型兵器“伽藍”を駆使して日本を軍事侵略してから10年後、それまで隆盛を誇っていたマンガ、アニメ、アイドル等のサブカル文化は死に絶えた――。だが、そのサブカルを守るために真国に真っ向から抗う集団があった。その名は「アラハバキ」、そして、彼らが所有する巨大人型兵器“ガランドール”の動力となるのが、電池少女たちとその“トキメキ”だった。

ガランドールに乗り込み、電池少女たちをトキメかせるパイロットが、山下誠一郎さん演じる主人公・久導細道。彼を演じる上で、どんなことを考えていたのか。また映像を観て魅力に感じたところや、自身のサブカル遍歴について語ってもらった。

序盤はサブカルを否定するセリフが多かった細道。演じるときに意識したことは?

――映像を観て、どんな感想を持っていますか?

山下誠一郎さん(以下、山下):アフレコが始まった段階ではコンテ状態であることがほとんどで、実際にシャーク1(ガランドール)のCGもデザインの骨組みや色の付いてない状態のものでしか見たことがなかったので、完成した映像を観たときは、いつも以上に新鮮に楽しむことができました。

そこで台本を引っ張り出して「ここそうだったな!」と思ったり、「こういう色合いになったのか!」とか、本当に世界が色づいた感じだったんです。それに、『逆転世界ノ電池少女』という作品のノリみたいなのもオンエアを観て改めて理解できた感じがします。

だからこそもっとぶっ飛んでも良かったかもって自分では思ってしまったりはするのですが、そこは演じている細道がひねくれているところもあるので、ちょうど良かったのかもしれないし、電池少女の3人や敵キャラが輝いていればまずはそれでいいのかなと思いました。

だからすごく毎週楽しめていて30分があっという間だなというアニメになっていますね。

――あのちょっと昔の懐かしいノリやSD系のロボットは山下さんにとっては新しい感じですか?

山下:ロボットアニメ好きの友人も周りにいますけど、ロボットは意外に思われていました。近年のロボットアニメってリアル等身じゃないですか。その中で二頭身ロボって懐かしさを感じるものなのかなと思いました。

友人は『魔神英雄伝ワタル』を感じた、と言っていたりはしましたね。僕はパッと見では「ビーダマン」らしいなと思ったりしました。 (※『Bビーダマン爆外伝』として98年にアニメ化)

――確かに! 玩具とかでも結構ありましたよね。今回サブカルが認められない世界ですが、その設定面はどうでしたか?

山下:最初からサブカル文化を守るべし!ということで、「Otaku is not dead!」って言葉があったり、サブカルチャーを良しとするテーマを掲げていたので、そこはひとつのポイントにはなるのですが、設定に関しても明かしている部分や画だけで見せている部分、あえて言っていない部分もあるらしいんです。

僕はそこがいいなと思っていて、すべてを説明する必要はないのかもしれないと、『逆転世界ノ電池少女』を観ていて思いました。バルザックさん(CV.杉田智和)とミミ(CV.豊崎愛生)は昔何かあったんだろうなって思いながら観進めていくとか、そういう見えないところを感じ取るのが面白さなのかもしれないなって思います。

――今は結構説明過多になりすぎるというか、最初からはっきりさせたいという流れがあるけど、流行りがあると必ずカウンターという流れが生まれるので、そういう意味ではカウンターとなりうる作品なのかもしれません。

山下:そこもデリケートな話で評価軸の対象になることだとは思うんですけど、実際に監督たちの頭の中にはかなり広大な世界観があるらしいんです。僕らもそれを全て明かされてアフレコをしているわけではないので、それを考える余白というか楽しみもあると思っています。

もちろん最初に好きになっていただけたら、という部分はありますけど、それに足る勢いはあると思っていますのでオススメしたいです! 観ていただければ一発で心を掴まれる作品だと思うので。

――山下さん演じる、久導細道はどんなキャラクターで、ここまで演じてきていかがでしたか?

山下:最初はホストでしたけど、それも自発的なものではなく、借金を負ってやらざるをえなかっただけなので、本質なわけではないんです。彼は空っぽだと言うんですけど、その空っぽ具合を何だかんだ身元引受人の宗方さん(CV.福地教光)に救ってもらえていたのかなと思います。

なので、電池少女たちへの振る舞いで、細道が悪く見えないか、どこまでそこを出して、どこまでフォローできるのかみたいな話は現場でしていました。観ている人に嫌悪感を与えすぎてしまうとお客さんが離れてしまうかもしれない、という心配が当時はあったんです。

りん(CV.ファイルーズあい)に悪態をつくみたいなところは、作品のテーマであるサブカルを全否定するような序盤だったので考える部分はありましたね。あの世界観の中では細道が一番リアリストなので、周りとどう共存させるべきなのかは特に考えました。

――そうなるに至ったバックボーン的なものは聞いていたのですか?

山下:ある程度は教えてもらっていました。アフレコをしているときに、ディレクターさんから「実は過去こういう事があったので、だからこう言っているんです」と説明をしてもらうことも多かったんです。

そうやってアフレコで教えてもらいながらパズルのピースを埋めていくような感じで、これからはこうしていけばいいのかなっていう材料を少しずつ集めていく感じでした。

――本当はサブカルが嫌いじゃないんだろうなと思いながら観れていたので、いいバランスだったのかなと思います。演じているときに、何か細道の中で変わったなとか、ターニングポイント的なものはあったのでしょうか?

山下:アニメのキャラとは言え人間なので、一度何か“事”があったからすぐに人間性が変わるっていうことはそんなにないと思うんです。少しずつ徐々にグラデーションで変わっていくと思ったので、第3話で自分から恥ずかしいコスプレをして熱意を伝えたりしたのは細道の本心だったと思うんですけど、それでりん側に寄っていったかと言われたら実はそうでもなく、細道の中では複雑なものがあるんですよね。ただ、そこで地面から変化の芽がぴょこっと出た感じというのはありました。そこから電池少女一人ずつと向き合ったときに、少しずつ変わっていったのかなと思います。

――電池少女が3人出てきますからね。

山下:りん、夕紀(CV.鈴木愛奈)、ミサ(CV.井澤詩織)と向き合うときで細道が考えるテーマや対比があったと思うので、細道自身もパズルのピースを探していっている感じだったのかもしれないですね。そしてその答えが出るのが最後なのかなと思います。

――細道のことは、最後にわかる?

山下:それはもちろんです(笑)。だから全部、最後まで観てほしい!

――細道の変化を楽しんでもらいたいですね。

山下:第3話であんなことを言ったのに、変わってないじゃんとか突っつかれやすいところはあるけど、人間って矛盾しているものですからね。細道はそういう意味では人間臭いキャラクターだから、右にも左にも揺れやすい。何だかんだで宗方に逆らえないし、そうやって矢印が左右に振れているのが泥臭くていいのかなと思います。

――演じがいもありますね。

山下:電池少女やバルザックさんに比べたらキャラ付けらしいキャラ付けがなかったような気がします。その分ハジけられなかったという葛藤はあったんですけど(笑)。結構周りに引っ張られて、細道のツッコミが過剰になってしまい、光栄なことでもあるんですけど「今のツッコミ面白すぎるので、普通にしてください」と言われたことが何度かあるんです。9割相手はバルザックさんなんですけど、バルザックさんにツッコむと、バルザックさんのフィールドでツッコむことになるから難しいんですよね(笑)。

――バルザック山田は、一人だけ90年代にいるようなキャラですからね。

山下:そうですね。口調・見た目からして本人の「理想」が詰まっていますよね。

(C)伽藍堂/「逆転世界ノ電池少女」製作委員会
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