念願の“インターハイの3日目”がアニメ化! 坂道や真波たちの高ぶった気持ちをそのまま──アニメ『弱虫ペダル』の第5期シリーズに向け、山下大輝さん&代永翼さんにインタビュー
坂道と真波を結んだ「ポカリの縁」!? 勝者と敗者に分かれ関係性や心境の変化も
――お互いのキャラの変化や成長を感じた点を挙げるとすれば?
山下:坂道と真波の高校1年生の時から描かれていますが、この作品は成長物語なんだなと改めて思います。1年生の時は何もわからず、手探りでいろいろなことに挑戦したり、失敗さえも丁寧に描かれていて。そこからお互い少しずつ成長が感じられて、そんなシーンに出会うと嬉しくなるんですよね。以前なら言えなかったこともハッキリ言えるようになったり。そして2年生になって、更に成長して。
真波くんについては、1年生の時は自由奔放で不思議ちゃんという印象が強かったけど、インターハイで負けてしまったがゆえに生まれた感情があり、その感情との向き合い方によってすごく変わった気がします。新たに見せる真波くんの表情やどんどん深くなっていく様子が見られるのが嬉しいし、より真波くんのことが知ることができた喜びもあります。そして今後、どう成長していくのか楽しみです。
代永:真波と坂道は2年生になって、先輩らしくなったなと。1年生の時は偉大なる先輩がいて、引っ張ってくれて、その中で自分がどうすればチームの力になれるのか、優勝できるのを考えていました。2年生になるとお互いに後輩ができたことで、今度は僕らが引っ張っていかなければいけないという心境や考え方の変化もあって。
今でも記憶に残っているのは、1期で負けた後、2期が始まる前に鍋島(修)監督と音響監督の高寺さんに「坂道とこれからどんな接し方をすればいいんでしょうか?」と相談させていただきました。坂道は勝者であり、真波は敗者なので、「距離を置いた感じがいいのかな?」とすごく悩んで。僕ら自体は仲がいいし、大輝も大好きだけど、役柄上は違う高校だし、友達だけどライバル同士だし。
2年生になるとお互いにチームのことをより考えるようになったし、総北は王者として追う側からいろいろなチームから追われる側になったことで、坂道自身、立場も心境も変わったと思うし。同じクライマーとしてうちの悠人がやたらかみついてきたけど、山王と言われて「えっ? そんなあ」と今まで通りの優しい返しで。でも鏑木くんが迷った時にはしっかりと道を示していたし、今泉くんも鳴子(章吉)くんもたくましくなったり、頼れる部分も感じていたと思うし。
真波は、次は絶対に負けられないという想いが強くなっているはずで。箱学の主将が泉田さんに代わって、「絶対王者箱学」を取り戻そうという決意を感じているはずだし、自分のせいで失ったものを今度は勝って取り戻さなければいけないと。悠人に対してもアドバイスしたり、ちゃんと考えて行動しているんだなと思いました。そして坂道も真波も1年学年が上がるだけでこんなにも変わるものなのかと大きな成長を感じました。
――坂道と真波の出会いからここまでの掛け合いで印象深かかったシーンは?
山下:3~4期はレース中での絡みはなくて、お互いに我慢している状況で。戦いだけど、チームのことを考えて行動しなければいけなくて、モノローグみたいなものが多かったですね。2人での掛け合いといえば、緩めの印象があります。
代永:1~2期では、合宿に向かう途中に、道に倒れていた坂道を見つけて、そこから同じ自転車が好き、坂が好きという共通点を見つけたけど、1年目のインターハイの最終日のゴールで坂道に競り負けてから親しさがなくなってしまって。
山下:坂道にとっては、一緒に走れて嬉しいけど、少しだけ壁を感じて。2日目の夜に、留学先から帰ってきた巻島(裕介)さんと東堂(尽八)さんが再会して勝負しましたが、2人とは一緒に走ってはいないけれど、共に目にした光を見て「あっ、走っているんだな」と同時に感じたシーンは印象的で。クライマー同士にしかわからないクライマーテレパシーかな(笑)。
一緒に走っていないけど、同じ何かを感じ、通じ合えた瞬間であり、翌日のレースに前向きに臨めて。同じレースに挑んでいることを再確認できたのかなと思います。
代永:そうだね。あと出会った時に渡したドリンクボトルを「インターハイで返してほしい」と言ったけど、まだ返してもらってないもんね。「ずっと会えるんだろう?」という話を2人でよくするんです。高校の3年間で返ってくるのか、それとも大学編まで延びるのかって(笑)。
山下:ボトルの行方は先生のみぞ、知るということです。
――あの出会いからライバル関係になり、ここまでの関係になるとは思いもしませんでした。
代永:東堂さんと巻島さんが通じ合っているように、この2人も通じ合っているんだろうなと。そして東堂さんたちも同じように積み上げていったんでしょうね。友であり、ライバルとして3年間やってきて、勝ち負けを繰り返し、途中にはギクシャクした時もあったけど、最後に決着をつけて。坂道たちもそんなふうになるのかもしれませんね。と言いつつも、真波は東堂さんほどしつこくはないだろうけど(笑)。
山下:そこはなるべく受け継がないように(笑)。
代永:真波が坂道に会うたびに「坂道くん!」って嬉しそうに声をかけたり、坂道も「真波くん」って笑顔で返してくれたりとか。大輝の「真波くん」というセリフを聞くと僕も嬉しくなります。
山下:チームメイトへの呼びかけとは少し違う感じはしますね。
代永:通じ合えているんだろうね。
山下:ずっと視線は真波くんにある気がして。レース中も例えセリフにはなくても、真波くんを見ているんだろうなという雰囲気があるし、すごく意識しているなというのは、特に2年生になってから思いますね。「誰の背中を見ているんだろう? きっと真波くんだろうな」みたいに、自分的に補完している部分も結構あります。
たぶん、2年目のインターハイでは1日目から3日目まで一緒に走っているシーンではなくても、絶えず真波くんを意識しているんじゃないかなと思います。
(C)渡辺航(週刊少年チャンピオン)/弱虫ペダル05製作委員会