来年メジャーデビュー30周年を迎えるALI PROJECTが記念アルバム『Belle Époque』をリリース! 2022年1月に大阪、2月に東京でライブも! ALI PROJECT(宝野アリカさん、片倉三起也さん)インタビュー
音楽界やアニソン界で独特な存在感を確立してきた宝野アリカさんと片倉三起也さんのユニット、ALI PROJECTが2022年7月にメジャーデビュー30周年を迎えることを記念したアルバム『Belle Époque』が12月22日にリリース!
タイトルの「美しき時代」のように、ALI PROJECTが歩み、築いてきた30年の道のりを表しているようなアルバムで、片倉さんいわく「アリプロらしい曲」と語る「アタシ狂乱ノ時代ヲ歌ウ」やこれまでのアルバム曲の歌詞を散りばめた「Cafe d'ALIで逢いましょう」などファンにはたまらない楽曲が盛りだくさん。
江戸から現代、日本から宇宙など距離や時代を自由に行き来する歌詞やサウンド、世界観はアリプロならではです。
更に初回限定盤には昨年行われたライブ『人生美味礼讃~生きることを貪れ』の映像、通常盤にはメジャーデビュー前の幻の曲「森の祭典」も新録! そして来年1月には東京と大阪でのライブも決定しています!
今回、アニメイトタイムズでは、メジャーデビュー30周年とアルバム発売を記念して、ALI PROJECTのお二人にインタビュー! 30年を振り返っていただきつつ、アルバムの全収録曲の紹介、ライブへの意気込みなどをお聞きしました。
メジャーデビュー時のコンセプトは「暗めのドリカム」!? アリプロにとってターニングポイントになった曲とは?
――2022年7月にデビュー30周年を迎えますが、感想をお聞かせ下さい。
作曲・編曲 片倉三起也さん(以下、片倉):「主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く感じられる」という「ジャネーの法則」がありますが、僕らくらいになると1年が1カ月か1日くらいに感じられて(笑)。
デビューしてからの30年間は、毎年シングルやアルバムを作っていますし、いつも急かされている感じなんです(笑)。今までのことはほとんど覚えていますが、どれもある瞬間の出来事だったな、と思っています。
作詞・ボーカル 宝野アリカさん(以下、宝野):まさに「光陰矢の如し」という感じで、もう30年も経っている実感はないのですが、デビューした頃とは別人みたいな気がします。
片倉:宝野さんはそうかもしれないね。やっている音楽の本質は変わっていない気がするけど、ビジュアルは節目節目で変わった部分もあったし。
――でもALI PROJECTの時空や場所を縦横無尽に駆け抜けるサウンドや、宝野さんの歌詞やビジュアルなどの美しく幻想的な世界観は唯一無二の存在で、いわば「ALI PROJECT」というジャンルを確立したと思います。
宝野:ありがとうございます。
――30年の活動の中でターニングポイントになった出来事や印象深かった曲は?
宝野:大きな転機になったのはCLAMPさんとの出会いだったかもしれません。CLAMPさん原作のアニメ作品「Wish」(『Wish』主題歌)や「ピアニィ・ピンク」(『CLAMP学園探偵団』のOP曲)を担当したり、アルバム『Noblerot』のジャケットを先生に描いていただいて。さらに、先生の全国縦断イベントに帯同し、「Wish」や「ピアニィ・ピンク」を歌ったこともありました。
そのあたりからアリプロという存在や音楽を知ってもらえるようになったのかな、と。その頃、アリプロの音楽性は独特なので、アニメや絵があることでより理解してもらいやすくなるのではないかと思っていました。
そして、真下(耕一)監督が手掛けたアニメ『ノワール』のOP曲「コッペリアの柩」や『AVENGER』のOP曲「月蝕グランギニョル」の後、『ローゼンメイデン』OP曲「禁じられた遊び」や『ローゼンメイデントロイメント』OP曲「聖少女領域」をリリースして皆さんに認知されたのかな、と思います。
片倉:僕がターニングポイントだったと思っているのは一番最初に所属していたメーカーを離れたことです。
宝野:「ちょっと暗めなドリカムで売ろう」みたいなことを言われました(笑)。
片倉:自分たちだけでやりたいことをやろうと。楽曲制作だけではなく、デモテープを送ったり、チラシをお店に置いてもらったり、といったことを自分たちで全部やりました。
そんな中で、いろいろなメーカーさんやアニメの制作スタッフさんから声をかけてもらい、アニメのタイアップ曲の依頼もいただくようになりました。
「聖少女領域」がオリコンチャート6位と初めてトップ10入りを果たした直後にランティスさんに行ったときは、社員の皆さん全員、スタンディングオベーションで迎えてくださって。
入口付近にもTBSさんからの大きなスタンド花が立てられていて、景色がガラっと変わった感覚でした。これまで自分たちがやってきたことへのご褒美に感じられましたし、これを励みに今後も頑張ろうと思いました。
――聴いてもらえればハマるという自信があっても、皆さんの耳に届けること自体が難しい時代でしたよね。
宝野:今みたいに誰でもYouTubeに上げれば聴いてもらえたり、口コミで広がるような文化ではまだなかったですから。
片倉:デビューするために、視聴用のカセットテープを作って、自分たちで毎月100本以上、メーカーなどに送っていました。
――インパクトが大きな音楽性はその後飽きられてしまう危険性も伴いますが、ここまで支持されてきたということは間違っていなかったと確信できたのでは?
宝野:アイドルやジャニーズが好きという方が多くても、クラスに1人くらいはアリプロのような音楽が好きな方は今も昔も必ずいると思います。そういう人たちにやっと通じたのかな、と。
タイトルの意味はアリプロが歩んできた「美しき時代」。収録曲もアリプロ流の「美しき時代」を多種多様に表現
――30周年を記念した今回のアルバムのコンセプトやタイトルの由来についてお聞かせ下さい。
宝野:オリジナルアルバムやベストアルバムなど、ほぼ毎年アルバムを作っており、タイトルは最初に決めることもあれば、制作中に決めることもあります。今回は30周年ということで気負ってしまって、どうしようかずっと悩みました。
片倉:僕はアニバーサリーの時のアルバムはずっと『国宝』にしようと思っていました。アリプロが国宝になる、という大それたことではなく、国宝のような曲を一生のうちに作りたいという想いがあって。それで宝野さんに「このタイトルでどう?」と尋ねたら「う~ん」と。
宝野:「もしそうなったら、まずは国立科学博物館を全部見てまわってから書かなきゃいけないのでは?」とか「ちょっと違うな」と思いました。
悩んでいる間にもどんどん曲が完成していき、焦っている時にふと「Belle Époque」という言葉を目にして。「私たちが歩んできた30年という1つの時代を表すのにいいかも!」と片倉さんに提案してみたところ、賛同してもらえました。
片倉:アリプロは怖い曲もあれば、ゴシックな曲、ライトなポップスなど、いろいろな楽曲を作ってきました。いつの時代でも僕らにとって美しい音楽や歌詞であるという自負の元にやってきたので、このタイトルはふさわしいと思いましたね。
宝野:「Belle」はフランス語で「美しい」、「Époque」は「時代」という意味があります。19世紀末から第一次世界大戦が始まるまでのフランスの華やかな文化を表す言葉としても使われており、「私たちはここまで美しい時代を続けてきた」という意味を込めて、このタイトルを選びました。
――いわば「アリプロ時代」みたいな?
宝野:私たちの音楽には常に美学がありますし、美学がないものは好きではないので。美しさにもいろいろな形がありますが、それらをまとめた総称のような。
片倉:アリプロ流の「美しき時代」を多種多様な曲調で作りました。
――このアルバムはゴシックからポップス、バラードなど幅広いジャンルが網羅されていますが、日本からヨーロッパ、果ては宇宙という地理的な広さと、江戸や大正、現代、未来まで時代性も曲によって違っていて。
宝野:そうですね。私が歌詞を書いていく中で時代性というのは意識しています。
片倉:アリプロのカテゴライズの中にはゴシックやエスニック、ジャズ系などいろいろな種類がありますし、昨年リリースした『人生美味礼賛』では「食」をテーマにした曲を並べたりもしました。
アルバムごとに散りばめてきましたが、今回は今までやってきたことは忘れて、出たとこ勝負で作ろうと。ジャンルが多岐に渡るのではなく、それぞれ1曲の中で広がりを見せていけたかなと思います。
――例えば「Cafe d'ALIで逢いましょう」ではイントロのクラシカルなストリングからゆったりと優雅なAメロに、サビではハネるような軽やかと1曲の中でいろいろな面が見られました。どの曲も急に転調したり、意外性を感じます。ちなみにリード曲にあたる曲は?
片倉:あまり考えていませんでしたが、1曲目の「アタシ狂乱ノ時代ヲ歌ウ」ですかね。アリプロらしいテクノでゴシックな感じなので。
宝野:私は9曲目の「日出づる万國博覧会」もいいかなと思います。
――1曲目の「アタシ狂乱ノ時代ヲ歌ウ」は、今の時代を投影しながら宝野さんの曲への向き合い方や決意を表しているように感じられました。4曲目の「Cafe d'ALIで逢いましょう」もいろいろな世界観を音楽で描いてきたことをカフェに例えているようで、アリプロを象徴した2曲だな、と思いました。
宝野:「Cafe d'ALIで逢いましょう」には、「宝石店 Tailor」といった今までのアルバム収録曲に使われていた言葉たちが散りばめられているんです。タイアップ曲だけではなく、毎回アルバムも聴いてくださっている方への感謝の気持ちを込めました。