【ネタバレあり】TVアニメ『マブラヴ オルタネイティヴ』珠瀬壬姫役 田中貴子さん×鎧衣美琴役 Lynnさんインタビュー前編|第1話で登場した駒木が再登場!激しい戦いとなった第10話を振り返る【連載 vol.10】
06年発売のâge(アージュ)が企画・製作したアドベンチャーゲームを原作としたアニメーション『マブラヴ オルタネイティヴ』がフジテレビ「+Ultra」ほかにて放送中。アニメイトタイムズでは、本作の出演声優陣を中心にインタビュー連載を毎週掲載している。
クーデターが起き、戦術機同士が激しくぶつかりあった第10話。なぜ同じ国の人間同士で戦わなければいけないのか、という思いをいだきながら煌武院悠陽を助けるために行動する207小隊。珠瀬壬姫役の田中貴子さんと鎧衣美琴役のLynnさんに第10話を振り返ってもらいつつ、自身の演じたキャラクターについて聞いた。
登場人物に臨場感があって人っぽい……のめり込み、引き込まれる原作ゲームに驚く2人
――オーディションでの思い出を教えてください。
田中貴子さん(以下、田中):絵を見たとき「かわいい!」って思いました。私は面食いで、たまちゃん(=珠瀬壬姫)の見た目がすごくタイプだったんですね。もう一目惚れに近かったんですけど、そこから原作を調べ、そこで初めて歴史のある作品だということを知りました。
最初はテープオーディションだったのですが、キャラクターをやってみたときに、マネージャーさんから「そうじゃない」「違う」と何度か言われながらだったので、これはもうスタジオオーディションには行けないなぁという気持ちだったんです。
でもスタジオに呼んでいただき、あらためてたまちゃんの性格を考えたとき、自信がないところや、ちょっといい子ぶって八方美人になってしまう部分……でもそれはみんなと仲良くしていたいという平和主義的なところでもあったりするんですけど、そういういろいろな性格の共通点があったので、セリフは長いものが多かったんですけど、自分の中ではすごくシンクロしているなという感じでした。
役にシンクロしているときって、私はあまり記憶に残らないんですけど、そのくらいたまちゃんに寄り添えた感じでした。そこから一週間後くらいですかね。池袋のパルコの最上階でタピオカを注文しているときに、「珠瀬壬姫役をお願いします」という連絡を受け、最高の笑顔でタピオカを受け取りました(笑)。
――キャラクターと共通点が多いとシンクロするんですね。
田中:自分の性格と真逆の役のほうがやりやすいという方もいると思うんですけど、私は自分に似ているほうが演じやすいのかな?と思っています。
――Lynnさんはいかがですか?
Lynnさん(以下、Lynn):私は美琴と、もうひとキャラをテープオーディションでは提出したんですけど、もうひとつのほうが私がよくやる雰囲気のキャラクターで、そちらが本命だったんです。もうひとキャラ出せるらしいから美琴も出してみる?という感じだったんですけど、スタジオに進めたのが美琴だったので、おやおや?と。
――いつもと違うぞと。
Lynn:確かこのとき、原作に印象が近い声の方を探しているというような話は聞いていた気がするので、美琴で受けるのだったら、とことん原作の方に寄せていこう思いました。原作のシーンを何度も聞いてみたら、言い方やニュアンス、アクセントの置きどころもいつもの自分と違っていたので、それに寄せていくことが自分的に面白くて、自分の知らない引き出しが出てきたなぁと思いながら、ステップアップのつもりで演じたんです。
そうしたら、「すごく映像を観てきてくれたんですね」と言っていただき、それが褒められているのかどちらなんだろう?という感じはしたんですけど(笑)、結果美琴役をいただいたので、頑張った時間は無駄じゃなかったなと思って嬉しかったです。
――スタッフがすぐにわかるくらいまでコピーしていったのがすごいですよね。田中さんも原作は意識されたのですか?
田中:私も意識はしました。でも私は、あまり似せすぎても、原作を作ったスタッフの皆さんに「コピーしているな」と思われてしまうのかな?と思ったんです。ただ、似ていなければ原作ファンの方々が「前の方のほうが……」っていう気持ちになるだろうなと思ったので「その間を行こう!」と思いました(笑)。ベースやクセは寄せるけど、気持ちは自分から生まれたたまちゃんでいこう!みたいな。
それと、今は時代的にナチュラル寄りの演技が受け入れられるのかなと思ったので、それをうまいこと織り交ぜるにはどうしたらいいんだろうとは考えました。でも正解はわからないので、とにかくやり切ろう!と思っていました。
――ここまでキャストの皆さんの話を聞いていて、オーディションにもいろいろなアプローチの仕方があるのだなと思いました。その中で皆さん結果的に役を受け取っているので、どれも正解なのでしょうね。
Lynn:でもアフレコに行ったら初日に監督から「寄せなくていいから」と言われたんですけどね(笑)。
田中:あれ~?ってなるという(笑)。
Lynn:でも、そう言っていただくことで気持ち的にラクに挑めるので嬉しかったです。
田中:そうですね。フラットな気持ちでいられました。
――皆さん原作ゲームをプレイされているとのことなので、コンテンツの魅力を教えてください。
田中:まずゲームが武以外フルボイスであることに驚きました。これを全部収録しているのか!と。あとは静止画なのに動いているような感じがしたんですよね。戦術機が訓練しているところとか、画がリアルだからか、動きが想像できるところがすごいなと思いました。
武が突然目が覚まして、え? どういう状況なんだろうというところからゲームは始まるんですけど、新規の私でもすいすいゲームを進められるくらい、構成がすごく緻密に計算されていて面白いし、すぐにのめりこめちゃうんですよ。
難しい夕呼先生のセリフも、何を言ってるんだろう?って思うんですけど、何だかわかるような気もするんですよね。わからないのにわかっている、頭が良くなっている感じして、ゲームをやり終わったあと、私今、数学脳になっている!って思えたのが心地良かったです。ちなみに私、数学のテストは20点くらいなんですけど(笑)。
――完全に勘違いだったんですね(笑)。
田中:はい(笑)。
――Lynnさんは作品に、どんな魅力を感じました?
Lynn:私、パソコンゲームに初めて触れたんです。だから全てが初めてで、いろいろとびっくりしっぱなしでした。私も膨大なセリフ量には驚いたんですけど、世界観の作り込みが本当に深くて、吉宗鋼紀先生の頭の中ってどうなっているんだろうって思うくらいすごい設定でした。キャラクターもどんどん出てくるし、みんなすごくしゃべるしで(笑)。
田中:確かに!
Lynn:でも、妙にみんな生々しいというか。目の前にいて自分に話しかけてきているような感覚になるんですよね。そこが不思議だなぁと思いました。
――キャラクターがリアルなんですね。
Lynn:キャラクターのデザインとしては結構濃いめのデザインだと思うんですけど、内面的な部分、話しかけてくる雰囲気とかがすごく臨場感があって人っぽいんです。これまで私がプレイしたことがあるゲームとは雰囲気がどこか違ったんです。
みんながのめり込んで、キャラクターと同じように、心が傷ついてえぐられて、落ち込んで沈んで、明日からどうやって生きていこうみたいな感じになってしまうのは、そういうところにあるのかなって思いました。
――落とされてばかりで情緒が大変そうですけど、そこが魅力なんですよね。
Lynn:私は主に、美琴の雰囲気を掴もうという目的があってプレイしているけど、普通にプレイしていたら、キャラクターみんなに感情移入しすぎて心が持たないんじゃないかなと思います。
田中:私もパソコンゲームは初めてでした!
Lynn:本当にクリックするのみというか、ゲームというより小説を読んでいるような、映画を見ているような感覚で、その世界観に没入するようなゲームでした。