クライマックス直前！　しかし、これからが真実への本番──秋アニメ『海賊王女』フェナ役の瀬戸麻沙美さんがこれまでの旅路を振る【声優インタビュー】

ずっとフェナを護り続けた雪丸のかわいいところカッコいいところは？

ーーもうひとりのキーパーソンとして、アベル（CV.森川智之）がいます。いわゆる敵に当たるキャラクターですが、彼は味方だった海賊団「ランブルローズ」を、炸裂弾で一瞬で壊滅させました（第7話）。

瀬戸：すごくショックでしたし、そこまでやらずとも……と私も思ったのですが、ああすることで、アベルの狂気というか、アベルがそこまでの思いを持っていることがわかりました。ランブルローズの船長のグレイス（CV.深見梨加）の存在があったことで、アベルのヘレナ（CV.坂本真綾）以外の女性に対する扱いの雑さも見えたので、ストーリー上ではすごく大切なキャラクターたちだったんだなと思いました。

ーーヘレナという女性への執着はすごかったですね。

瀬戸：まさかアベルさんにこんな過去があったとは！と思うと切なかったです（第9話）。ただただ真っ直ぐな恋心がこうも歪んでしまうのか……というシーンが描かれていました。ヘレナ自身も真っ直ぐで、悪いところがあるようには見えないんですけど、どこか人生を悟っているような感じがあるんですよね。

「私がこの世界で愛した唯一の人」というヘレナの言葉も、本当なのかどうなのかわからないような感じにも受け取れて、ヘレナの本意はどこなんだろう？と思いました。

ーー牢屋でのヘレナとアベルの話からエデンへ導かれ、その謎が11話と12話でいろいろと明らかになるのですが、個人的にはその軸とは別に、第1話からずっと、雪丸とフェナのラブストーリーのような見方をしていたんです。

瀬戸：監督もピュアな者同士の愛の物語だとおっしゃっていました！

ーーその雪丸とはアフレコも一緒だったそうですが、掛け合いはいかがでしたか？　何か引き出されたものはありましたか？

瀬戸：アニメで鈴木崚汰くんとガッツリ掛け合いでお芝居をするのは初めてだったんです。外画では1年くらい共演していたんですけど。本人も気さくで話しやすい方ですが、雪丸を演じるにあたって、何度も何度も確認して真面目に現場でも取り組んでいたんです。寡黙というわけではないんですが、言葉を待てる人だなという印象を受けました。

それでゆっきーも……あっ、雪丸のことゆっきーと呼んでいるんですけど（笑）。雪丸もフェナも照れ屋さんなので、お互いがしゃべろうとしてかぶっちゃうとお互いが譲ってしまうところがあるんです。そのあとに寡黙な雪丸が話そうとすると、その空気に耐えかねて、まくしたてるようにフェナがしゃべってしまったり、何だか噛み合わないところがあったりするんですよね。そういう見ているほうがサポートしてあげたい！　じれったい！と思うような間合いのお芝居ができたのは、すごく楽しかったです。

ーー雪丸のどんなところがかわいかったですか？

瀬戸：雪丸は堅物で、あんなに整った容姿をしているから何でも冷静に見えているのかな？と思ったら、ギャップとして女性に触られるだけでドキッ！ってなっちゃったり。あみだくじで負けて街に出られず船で留守番をするような不幸体質なところがあったり、犬のブルールに話しかけちゃったり、かわいらしい部分も多いんですよね。

中でも一番かわいいなと思ったのは、第4話で石の手がかりを教えてくれたアリアに会ったときに、すごく慣れたように接するんですけど、多分その少し前に、紫檀って女慣れしていてすごいよね～みたいなことをフェナが言ったからなんですよね。そこがすごくかわいいんですよ！　ホントに素直というか、そういうところが雪丸のかわいいところだと思います！

ーー逆にフェナは女性と親しくしてる雪丸を見て凹んでいましたけどね（笑）。雪丸は瀬戸さん的にもかわいい感じですか？

瀬戸：めっちゃかわいい！　最初から心を掴まれたので、もう私はゆっきーと呼ばせていただいています（笑）。

ーー逆に、カッコいいところは？

瀬戸：大事なところで絶対に助けに来てくれるからすべてカッコいいんです！　第７話の登場の仕方ですごくカッコ良かったのが、アベルに誘拐されて、船の上で過去のことを思い出して錯乱しているときに、「助けて雪丸！」って言ったら、後ろからぴょーんと出てきて音楽が流れる！　ここの演出が王道だけど良い!!って思いました。

そこで助けられるのかと思ったら、無慈悲にもアベルに撃たれて倒れてしまうんですけど、そこを庇う、守られるだけではないヒロインというのも、アメコミ映画感があっていいなと思いました（笑）。

ーーでは最後に、11話12話の見どころをお願いします。

瀬戸：第11話からが真実への本番という雰囲気が観ていて感じられたので、10話まで旅をしてきて、ようやく真実に辿り着くと思います。

大団円できれいに終わるのかと思いきや、ここに来てもフェナ自身が知らない真実にまだまだ出会っていきますし、フェナたちに感情移入をして旅をしてきた方々にとっては、衝撃で辛いこともあるかもしれません。そういう状況になっても、フェナをはじめとするみんながどういう選択をしていくのかは、ぜひとも見守っていただけたらなと思います。

最後のところをここで言えないのは残念ですが、最後までいい意味で皆さんの期待を裏切る展開が続くので、観てください！

ーーちなみに、瀬戸さんが好きなキャラクターは誰なのですか？

瀬戸：みんな好きだからなぁ。双子の急にカッコいいところ出してくれるところも素敵ですし、真樺（CV.田中進太郎）はぼんやりしているのに、急にみんなが思っていることを代弁してくれたり、すごく見えてるなぁって思うんです。でも、うーーーん、やっぱり雪丸です。

[取材・文・撮影／塚越淳一]

TVアニメ「海賊王女」作品情報

王女は、まだ知らない。数奇なる運命を──。

◆放送情報
MBS：10月2日より毎週土曜26時38分〜 ※第1話は26時08分より放送
TOKYO MX：10月4日より毎週月曜24時30分～
BS朝日：10月8日より毎週金曜23時00分～
AT-X：10月3日より毎週日曜23時30分〜
※リピート放送　毎週木曜29時30分〜、毎週日曜8時30分〜

◆配信情報
FODにて独占配信

◆ストーリー
これは、ある少女の記憶から始まる物語。

18世紀、大西洋。

父と船旅へ出ていたフェナ・ハウトマンは海賊に襲われ、たった一人小型ボートで漂流し、命をつなぎ留める。

フェナが漂着したのは、国家が黙認する娼婦・男娼の島<シャングリラ>だった。

10年後──。

雪のような肌と白銀に光る髪を持ち、美しく成長したフェナは、初めての“仕事”を目前に控えていた。

だが、それを受け入れることはできず、幾度となく想像してきた島からの脱出を決心する。

迫りくる追っ手に絶体絶命のフェナは、真っ赤な鎧に鹿の角の兜をまとった青年・雪丸に救われる。

雪丸は、フェナを「見つけ出す」と約束した少年だった。

そして2人の“再会”は、フェナ自身に眠っていた言葉<エデン>を呼び起こす。

炎に包まれ、沈みゆく船。

「必ず俺が見つけ出す！」と約束した少年。

そして最愛の父が叫んだ、あの言葉──。

「<エデン>に向かえ！」

フェナはその真意を知るべく、雪丸たちと共に<エデン>の謎を解く船旅へ出る。

◆スタッフ
原作：中澤一登×Production I.G
監督：
ToyGerPROJECT
中澤一登
髙橋哲也
藤井サキ
脚本：窪山阿佐子
キャラクター原案：中澤一登
メインキャラクターデザイン：高橋靖子
キャラクターデザイン：西村理恵
コンセプトアート：西田稔
色彩設計: 土井和
美術：竹田悠介　楠元祐也　田中孝典
撮影監督：荒井栄児
編集：石井知
音楽：梶浦由記
音楽制作：FlyingDog
音響監督：中澤一登
音響監督補佐：鐘江徹
音響効果：倉橋裕宗
録音調整：星野賢爾
プロデューサー：黒木類
制作：Production I.G

オープニングテーマ：「海と真珠」JUNNA
エンディングテーマ：「サイハテ」鈴木みのり

◆キャスト
フェナ・ハウトマン：瀬戸麻沙美
雪丸：鈴木崚汰
紫檀：櫻井孝宏
花梨：悠木碧
槐：佐藤元
楓：逢坂良太
椿：大須賀純
真樺：田中進太郎
サルマン：村治学
オットー：平田広明
グレイス・オマリー：深見梨加
チン・シー：金田愛
シャーロッテ・ベリー：薮内満里奈
メアリ・リード：七瀬彩夏
ハンナ・スネル：河野ひより
アルテミシア：茉莉邑薫
アン・ボニー：森谷彩子
アルビダ：日野まり
アベル・ブルーフィールド：森川智之
コーディ：八重畑由希音
フランツ・ハウトマン：中谷一博
ヘレナ・ザルモワーズ：坂本真綾