冬アニメ『東京24区』音楽・深澤秀行 インタビュー|音楽面は個人制作の世界にどっぷりと浸かった印象、そしてキャラとしてはシュウタに共感【連載 第5回】
津田尚克×下倉バイオ(ニトロプラス)×CloverWorksが贈る新作オリジナルアニメ『東京24区』が、TOKYO MXほかにて好評放送中です。
東京湾に浮かぶ人工島「極東法令外特別地区」####――通称“24区”を舞台に、蒼生シュウタ、朱城ラン、翠堂コウキ、まとめて“RGB”と呼ばれる3人を中心とした物語が描かれる本作。死んだはずのアスミからの電話や3人が見た映像、超人的な能力、突きつけられる“未来の選択”とは一体……? 序盤から驚きの連続で、毎話見逃せない展開となっています。
そんな注目の『東京24区』について、アニメイトタイムズでは毎週スタッフやキャストにインタビューを実施。第5回は、本作の音楽を担当している深澤秀行さんへのメールインタビューをお届けします。
ほとんどの音が自分の描いた音なので、自分的には挑戦でもありました
――最初に本作の内容を聞いた時の印象はいかがでしたか? また、どのような音楽が似合うと感じましたか?
深澤秀行さん(以下、深澤):オリジナル作品ということで様々な可能性が考えられるなか、ポップでクールな空気感を当初は予感していました。ボーカル曲が多く様々なジャンルが交錯するようなものもアイデアの1つとして考えていました。それらの要素は残っていますが、当初よりもシリアスなものになったかもしれません。
――監督やプロデューサーなどからは、音楽面でなにかコンセプトやリクエストはあったのでしょうか?
深澤:作曲作業を開始するための資料が追加されたり、実際に監督にお話を伺ってからは想像よりもハードでシリアスなものになりそうだと感じました。そして音響監督・岩浪(美和)氏に「カッコいいやつをお願いします」と言われて背筋が伸びる思いをしました。
――公式サイトで「音楽の面でもたくさんの冒険と挑戦をさせていただきました」とコメントしていましたが、具体的にどのようなことを意識し、どのような冒険と挑戦をしたのかお聞かせください。
深澤:個人的に近年はオーケストラを中心に捉えた音楽を制作する機会が多かったこともあり、今回はその反動ではないですがシンセサイザーを中心とした個人制作の世界にどっぷりと浸かった印象です。
その上で必要な感情表現を今野均ストリングスの皆さまやふたりのラッパー、KOCHOさんを中心とする4人のクワイヤ隊によってメリハリの効いた色付けしていただいた作品になりました。こういうととてもベーシックな録音過程ですが、上記以外のほとんどの音が自分の描いた音なので自分的には挑戦でもありました。
――すんなり出来た曲、逆に産みの苦しみがあった曲など、制作する中で特に印象深い曲を教えて下さい。
深澤:メインテーマはこの先どのように使われるか、そもそも使用目的のない曲となっていますのでこのまま流れない可能性もありますが、それに込めたフレーズやメロディなどの要素はメインテーマ以外の曲として存在していますので、どう使われるか楽しみです。
個人的に楽しみにしているのは第4話から使用されるであろうクナイ関連の曲です。
あと意外と苦労した曲はM19という青春の一場面につけたテーマの変奏曲なんですが、第1話の最後に既に使用されていたので精神的にはホッとしております。
――本作に限らず、アニメの音楽を作る際に気をつけている点や、ゲームなどの音楽を作る際と違う点などありましたら教えて下さい。
深澤:ゲーム音楽は再生時間軸がユーザー次第の部分が多くあり、アニメ等の劇伴とは本質的に違うものだと思っています。音楽的な意味ではどちらも作品の世界観を彩る大切な役割を持っていながら、アニメの音楽は少しミクロな視点で、逆にゲーム音楽はマクロな視点で捉えています。