声優・アーティスト・水瀬いのりさん「Inori Minase LIVE TOUR HELLO HORIZON」Blu-ray発売記念インタビュー|セットリストや衣装、ライブアレンジなどこだわり満載! 光の演出にも注目
声優・アーティストとして活躍する水瀬いのりさんが、2021年10月17日(日)に横浜アリーナで行った「Inori Minase LIVE TOUR HELLO HORIZON」のツアーファイナル。その感動的なライブの模様を収めたBlu-rayが2022年2月23日(水)にリリースされました。
本Blu-rayの発売を記念し、セットリストや衣装のこだわり、ライブならではのアレンジになった曲など、いろいろな方面からこのライブを振り返っていただき、ライブ映像の見どころを語ってもらいました。
有観客で戻ってきた横浜アリーナの舞台。セットリストに込めた思いとは?
――改めて「Inori Minase LIVE TOUR HELLO HORIZON」を振り返ってみての感想をお聞かせください。
水瀬いのりさん(以下、水瀬):まず有観客でライブができたことが嬉しかったです。それまで当たり前だったことが失われてしまっていたので、みんなの止まってしまっていた気持ちが動いた瞬間であり、ツアーだったと思います。
5周年記念ライブ「Inori Minase 5th ANNIVERSARY LIVE Starry Wishes」を無観客で行ったときに、有観客でライブができていたときにファンの皆さんからもらっていたパワーがとても大きかったんだ、ということを知りましたし、皆さんの応援が自分の活動の原動力になっていたことを実感しました。だからこそ、みんなとひとつの場所に、同じ気持ちを持って集えたことは奇跡だったと思います。
――配信ライブも横浜アリーナでしたからね。
水瀬:そうですね。リベンジではないですが、同じ場所にファンの皆さんと一緒に戻ってくることができたので、待ったかいのある素敵な景色が見られたなと思います。
――ちなみに横浜アリーナはどんな会場でしたか? ファンに囲まれているような感じに見えたのですが。
水瀬:センターステージは見た目的にも囲まれていましたし、歌っていても音の聴こえ方がほかの会場とは違う臨場感がありました。言葉には表しづらいですが、確かに“横浜アリーナの大きさ”を感じた瞬間でした。
会場のスタッフさんも優しく、すごくお出迎えしてくれまして……マスコットキャラのヨコアリくんもお祝いに来てくれたんです(笑)。「ツアーファイナルを素敵に飾ってくださいね」という思いを受け取りました。スタッフの皆さんも、有観客の横浜アリーナが見られることが嬉しいし幸せに思ってくださっているんだろうな、と感じましたね。
裏にはこれまでライブをしたアーティストの名前が刻まれているところがあるのですが、そこに配信ライブの私の名前も刻まれていたんです。でも、今回のライブは、みんなも一緒に「チーム水瀬いのり」としてクレジットされるような気持ちでした。
いちファンとしてこの会場に来て歌を聴いていたときから、ステージに立つ自分になり、より大好きな会場になりました。
――今回はそのライブBlu-rayが発売されたということで、見どころをいろいろ聞いていきたいのですが、まずはセットリストのこだわりについてお聞かせください。
水瀬:初披露曲がたくさんありました。季節曲の「茜色ノスタルジア」はこれまでの私のツアーやライブが秋に開催されることが少なく、なかなか入れる機会がなかったのですが、今回は秋も深くなってきた時期だったので、念願のセットリスト入りを果たしました(笑)。
あとは、今回のツアータイトルにもなっている「HELLO HORIZON」が、“新しい地平線を目指す”といったテーマの曲なので、“これからを見据える”という意味で初披露曲を多くしました。コロナ禍でライブができない間に楽曲が増えたこともあり、それを皆さんにお届けできるのは嬉しかったです。
一昨年中止になってしまったツアー「Inori Minase LIVE TOUR 2020 We Are Now」の思いも一緒に届けるような気持ちもあったので、公演の締めくくりは「僕らは今」にしました(※)。
※:横浜アリーナ公演ではダブルアンコールがあったので、最後の曲は「まっすぐに、トウメイに。」)
――ライブが「Ready Steady Go!」から始まったのも驚きでしたが、最初から盛り上がりましたね。
水瀬:声は出せない状況でしたが、ペンライトの光だったり、コメントボードを書いてくださる方がいたり、うちわがあったりといろいろな応援スタイルがあると思いました。
最初に「Ready Steady Go!」から始まり、次に「ピュアフレーム」「Million Futures」と、どちらかというと皆さんの掛け声で盛り上がる曲を序盤で畳み掛けるセットリストだったので、「みんな戸惑ったりしないかな?」という迷いもありました。ですが、あくまでも普段の私のライブのセットリストを聴いてほしいと思ったんです。制限のある中ですが、やっぱりライブには楽しかったり、盛り上がったり、「これ! これ!」という感覚は絶対に必要だと思いました。
――「ピュアフレーム」はこのタイミングで聴くことで、よりグッと来る曲に感じました。
水瀬:そうですよね。〈久しぶりに会えた君と〉で始まるというのがすごく特別なものに感じて、各公演で歌ったことで、より一層皆さんとの繋がりを感じる1曲になりました。
――歌詞の解釈は聴く時によって変わることを実感しました。
水瀬:もともと切なさの中にある爽やかさを表現した1曲でしたが、歌いながら「なんて幸せなんだろう」と思っていたので、序盤にしてクライマックスなくらい、自分の気持ちが高まっていました。
――ここはぜひ注目してほしい! というゾーンはありますか?
水瀬:初披露ゾーンですかね。2着目の白い衣装を着て歌ったところなのですが、自分の中で新鮮なライブの見せ方であり、音楽へのアプローチだったと思っています。
このゾーンのスタートの「クリスタライズ」は、私の楽曲の中でも異端児のような、尖っていてクセになるサウンドで、私にとって新しい挑戦ができた1曲なんです。「これをライブでどう表現するんだ」とCDを聴いている方は思っていたかもしれませんが、このツアーで生バンドのアレンジで歌えたことは大発見でした。もうめちゃめちゃカッコよかったので、映像で見てほしいです!
――ダンスもしていましたしね。
水瀬:次の「Well Wishing Word」も初披露で、そこでもダンスをして、さらにそこから「思い出のカケラ」「ソライロ」と繋がり、最後に「茜色ノスタルジア」になる流れは個人的にすごく好きでした。
――「ソライロ」の演出もすごくきれいでした。
水瀬:スモークを炊いて雲を表現して、空の上で歌っているような雰囲気を演出の方々がつけてくださったんです。きっと映像でも輝いて、神々しい感じになっているんじゃないかな? と思います(笑)。
――ステージセットも野球場のような巨大スクリーンがあって圧倒されましたが、舞台セットや演出についてはいかがでしたか?
水瀬:LEDモニターはもちろん、ライトの動きにも注目してほしいです。私自身は、自分が何色に照らされているのか、バックでどんなことが起こっているのかは分からないのですが、きっと映像で見ていただくと照明の凄さや、生きているかのような光の演出を体感できると思うので、そういったマニアックな見方もしていただけると嬉しいですね。
私はステージの構成や演出は基本的にはお任せで、その道のプロの方の判断に委ねています。普段は皆さんからいただいた提案やアイディアを受け止めて、それに応えられるようなパフォーマンスをしようと考えているのですが、3着目に着たグラデーションの衣装は、私が「グラデーションを身にまといたい!」とお願いして作っていただいたものなんです。
――すごくきれいな衣装でした。
水瀬:ライブの照明はすごく強くて、光を当てると服の色が飛んじゃったりもしますから、そうならないようにこだわって作ってくださったし、照明さんもグラーデションを際立たせるようにこだわって光を当ててくれていたと思うので、プロの技量に大感謝しています(笑)。
――あの衣装は朝焼けをイメージしていたんですよね。
水瀬:そうなんです。配信ライブでは星空をテーマにワンピースを作っていただき、今回は朝焼けをイメージした服を着る、とどちらのライブでも大好きな“空”を着ることができたので、個人的にはその繋がりにもグッと来ていました。
――衣装の話を続けると、ピンクの衣装も似会っていました。脇腹が見えるのもアクセントで。
水瀬:ピンクを着るのは結構大冒険で、ふりふりなピンクは私の顔とは合わないと思っていたので(笑)、ちょっとスラッとした、フラットなドレスでガーリーすぎないピンクにしてもらいました。
かわいらしさと可憐さがある衣装にできたらいいなと思って、脇腹がちょっと開いて見えているのもスパイスというか、「スッとしたところもありますよ」という意味での切り込みだったのかなと思います。スタイリストさんもデビューからずっと見守ってくれている方なので、私の葛藤を汲んでくれたデザインだったかなと思います(笑)。
――最初のカラフルな衣装も珍しい印象でした。
水瀬:シャツをアレンジした衣装で、トップスが左右非対称で胸元に装飾があるベストっぽい雰囲気と、カラフルなスカートがポップで、とても気に入っていました。
ポップな衣装で始まることは確かにこれまであまりなかったと思いますが、カジュアルな衣装で登場できたのは、自分らしくもあったのかなと思います。毎公演あの衣装を着るとテンションが上がって、「今日もライブが始まるな!」という気持ちになったので、思い入れのある衣装です。
今回は衣装の雰囲気が全部違っていて、どれも印象がガラッと変わるものでした。衣装ごとに髪型も変えてくれて、短い時間の中で、あそこまで変化させてくれるのも、やっぱりすごい技術が必要だなと思いました。私はただ座って、してもらうがままでしたが(笑)。
――F1のピットみたいに着替えが完成されていくんですよね? 着替えるときの向きも決まっていると聞いたことがあります。
水瀬:そうなんです。靴の履く順番とかも決まっていて、私は左足から履くタイプなのですが、スタイリストさんがそれを知っていて必ず左から履かせてくれるので、「うわっ! 気持ちいい」って(笑)。その間に髪が結ばれていくし、「知らない間にネックレスが付いている!?」みたいな。改めてたくさんの方に支えられて舞台に立つことができていることを実感しました。
1着目の時点で2着目に繋がる髪型の伏線があったりするので、映像では、そういった仕掛けも探してみると面白いかもしれないですね。