世紀の発明品「テスラの欠片」を巡るスパイアクションアニメ『テスラノート』のBlu-ray BOXが発売! 主人公の根来牡丹役・小原好美さんインタビュー
人との関わりを避けてきた牡丹を演じるうえでの難しさ。相棒のクルマはキャスト陣いわく「友達になりたくない」!?
――演じる牡丹の印象と、成長や変化を感じた点をお聞かせください。
小原:牡丹はピュアで頑固な女の子で、「この作品のなかで一番スパイに向いていないんじゃないかな」と思いました。けれど、いろいろな人と触れ合うことで、人間的に成長していった気がします。
ミッションTが始まるまでは学校で友達を作ることを禁じられていたり、他人と関わらないようにしていたので、自分にストッパーをかけていたと思うんです。クルマや隆之助とのやり取りを喜んだり、感情を素直に出しているシーンを演じていると「相当我慢していたんだな」と感じましたし、そこからどんどんなりたい自分になれているんじゃないかな、と思います。
――感情を素直に出す、今どきの女子高生らしい姿が本当の姿なんでしょうね。
小原:演じる時も「リアルな小原さんのお芝居は維持しつつも、周りに比べたら浮いているような素人感があっていいです」というディレクションをいただきました。
シリアスなシーンになり、つい声のトーンが低くなってしまうと「どこか楽しんでいたり、ビックリしちゃってていいです。その浮いた牡丹を見て、3人が『オイオイ』と突っ込める感じでいてほしいです」と言われたのが印象的でした。
――女子高生は多感な年ごろですし、感情の揺れ動きが登場人物のなかで一番激しいので、演じるのが難しそうです。
小原:そうですね。牡丹を軸に物語を見てくださる視聴者が多いと思いますし、牡丹の演じ方次第で作品の印象が変わってしまうかもしれないので、繊細に演じようと思っていました。
そんな中、牡丹が落ち込むシーンにはきっかけがあるので、私も共感して演じることができました。ピノを追走していたら結果的にピノが死んでしまったり、牡丹のお母さんの過去を知らされた時の感情はすごく共感できましたね。
演じている時は牡丹になっているので普通に受け入れることができましたが、敵チームが現れた時に冗談を言ったり、「あの人いい人たちだよ」と普通に接しようとしたシーンをオンエアで客観的に見た時には「この子、大丈夫かな?」と心配になったことは結構ありました。きっと世間を知らないまま育ったから「話せば理解し合える」と思えるんでしょうね。
その危うさも彼女の魅力だと思いましたし、実際、周りのキャラたちもそれに引き込まれていたと思います。特に隆之助さんは、牡丹がイジめられていたクラスメイトを助けようと行動した時には任務に関係がないのに手助けをしたり、テスラの欠片を探すライバルだったCIAの人たちとも終盤では一緒に行動していたりと、言葉にできない牡丹の魅力に引っ張られているように感じました。
普段はクルマさんに突っかかったり、子供っぽいのに、忍者姿でのアクションシーンになると空を飛んだりとカッコよくて、やっぱり彼女はすごいんだなと感心しました。
――クルマの存在も牡丹が素を出せた大きな理由の1つに感じました。クルマが単純で分かりやすい性格だったことで、牡丹も感情が出しやすかったのでは?
小原:そう思いますし、クルマを(鈴木)達央さんが演じて下さってよかったです。収録は1人ですることが多かったのですが、達央さんや(隆之助役の)前野(智昭)さんや(恭平役の)中井(和哉)さんが午前中に録っていることが多かったので、後の私は皆さんの声を聞きながら収録できました。
皆さんとレギュラーで共演することも初めてだったので、私がどんなお芝居をするのか分からなかったはずなのに、皆さんスムーズにお芝居に入られていて驚きました。
特に牡丹によく突っかかるクルマを演じられていた達央さんのお芝居は絶妙で、実際に掛け合いをしていたんじゃないかと思うほどでした。そのおかげでスムーズに作品に入り込むことができたと思います。
クルマは22歳なのに「バ~カ! バ~カ!」と言ったりとすごく子どもっぽいんですよね。以前、前野さんと中井さんと3人で取材を受けた時、「クルマとは仲良くなりたくないかな」と3人の意見が一致したのですが(笑)、物語が進むにつれて、私が牡丹を演じていたこともあり「クルマっていい人だったんだ」と印象が変わりました。