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『グッバイ、ドン・グリーズ!』梶裕貴&村瀬歩インタビュー

『グッバイ、ドン・グリーズ!』梶裕貴さん&村瀬歩さんインタビュー|青春時代を振り返る!声優としてのギリギリを攻めた演技とは?

「アニメは一人で作るものじゃない」声優の仕事の醍醐味とは

――ドロップの言葉をきっかけに、生き方が一変していくのが本作の醍醐味です。皆さんの人生を変えた「言葉」「出来事」があれば教えてください。

村瀬:たくさんあるのですが、1つをピックアップするのだったら、養成所1年目の頃に講師の方が言った言葉です。僕ではない人に言った言葉なのですが、課題の発表を終えた後に「ちゃんとやった?」と聞いて、その子が「やったつもりです」と答えたら、「つもりはやったことにならない。ちゃんと“やりました”と言えるくらい頑張ろう」と言ったんです。

確かに全力で努力していたら、どんなに下手なものを見せたとしても「やりました」って言うじゃないですか。自分が努力したかどうかは“YES”か“NO”でしか測れない。「つもり」は“NO”なんです。それが僕の努力の指針となっています。

梶:声優の仕事をしていると、どこか「これが求められている芝居のスタンダードだろう」とか「こういう雰囲気のキャラクターはこうあるべき」みたいな“先入観”を無意識に抱いてしまいがちなんです。特に新人の頃は。僕も、まさにその典型でした。でも、仕事をはじめて8年目くらいのタイミングのこと。とある現場、とある音響監督さんに「そんなつまらない芝居、俺の現場には必要ない」とキッパリ言われました。加えて、「その瞬間瞬間に自分(キャラクター)はどう思って、どういう感情、どういう音が出てきたのかを大切にしろ。それが面白いんだ。それを求めているんだ」とも。衝撃を受けましたね。そんな気づきを与えてくださった…芝居とは何たるかを教えてくださったその音響監督さんには、今でも、いつまでも感謝しています。

要は、それまでは失敗を怖がって「平均点が確実に取れる、当たり障りのない演技」をしてしまっていたんです。でも、そんなどこかで聴いたことのあるような、お手本をなぞったような無難な芝居をするよりも、「リスクはあれど、誰もやったことのない唯一無二の表現」を生み出せた方が絶対に面白いんだ、ということに気づけたんです。まあ…普通に考えれば当たり前のことなんですけれどね。それがお芝居なわけですから(笑)。でも新人の頃は、そんな当たり前のことが上手くできないし、考えられなかったりするものなんです。なんせひとつの失敗が、自分の声優人生の命取りになったりするわけですから。そう考えると、「捨て身の覚悟でぶつかっていく」なんていうのは、やはりどうしたって怖いことなんですよ。

この作品の音響監督・明田川仁さんも、日頃からそういったオリジナリティのある表現を求められる方。収録中に「こうやってやってみてよ」とか「他ないの?」と演出を受け、様々なトライをさせていただくことが多いです。すべては「作品を面白くしたい」という思いのみ。素敵なことですよね。そんな仁さんの現場を通して鍛えられ、僕もこれまでに、自分でも想定していなかった音や芝居が生まれたことが何度もありました。

 
村瀬:すごくわかります。声優の芝居以外にも、能とか歌舞伎などの芸事には“基本”は絶対に必要じゃないですか。たくさんの声優さんがいて、先に演じた方の演技はもちろん勉強になりますが、梶さんには梶さんの、僕には僕の考え方や捉え方の違いがあるからこそ面白い作品が生まれるんですよね。

梶:同時に「それは違う」と言われた時に、すぐに修正できる力も必要かもね。アニメは一人で作るものじゃないからこそ、自分の発想にはなかった思いもよらない提案にヒントをもらえる。そうして、誰も想像できなかったような素晴らしい作品が生まれていくものなんだろうなと思います。

村瀬:それがこの仕事の醍醐味でもありますしね。

――最後に、作品を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。

梶:劇場版オリジナルアニメーションである本作、僕自身、完成を非常に楽しみにしていました。いよいよ公開を迎えるにあたり、出演者のひとりとして、とても嬉しく誇らしく思っています。本作アフレコでの時間と経験は、本当に充実したものでした。彼らのひと夏の大冒険が、皆さんの一生の記憶に残ってくれることを祈っています。映像、音、演出。どの要素をとっても、まさに映画館でご覧いただくにふさわしい作品になっていると思います。どうぞよろしくお願いします!

村瀬:今回参加させていただきまして、とても濃密で楽しい時間だったなというのと同時に、人間の時は不可逆なもので、元には戻れないとか、一回あったことはどうにも出来ないんだけど、そこから決まったこととかその上でどうしていくのかという、メッセージというかテーマというか。少年から大人になる、みたいなこととか時間の流れについて考えさせられる作品だったなと思います。頭空っぽにして観てもいい作品だなって観られるんですけど。

ぜひ一回観たあとに皆さんの感想とか、どういう風に思ったのかな、どう感じたのかなっていうのを聞きたいなという思いもすごくあり、皆さんの中でも生き続けてもらいたいなと思える作品です。ぜひご覧いただけたら幸いです。よろしくお願いします。


 

オリジナル劇場アニメーション『グッバイ、ドン・グリーズ!』作品情報

2022年2月18日 全国ロードショー

 

イントロダクション

その感動は世界へ――。

日本を飛び越え、世界中で絶賛された大ヒット作『宇宙よりも遠い場所』を手掛けたいしづかあつことMADHOUSEによる劇場アニメーション『グッバイ、ドン・グリーズ!』の公開が決定した。

本作で描かれるのは、少年たちの奇跡のような出逢いの物語。本作の舞台もまた南極大陸を目指した『宇宙よりも遠い場所』と同じく日本だけにとどまらない。いつもと違う夏休みから始まる冒険の果てに、少年たちがたどり着くのは、炎と氷の国・アイスランド。自らを見つめ、世界を超えて、少年たちが手にしたものとは……。

2022年、あなたの“LIFE(生き方)”を変える新たなアニメーションが誕生する。

 

あらすじ

東京から少し離れた田舎町に暮らす少年・ロウマ。周囲と上手く馴染むことができないロウマは、同じように浮いた存在であったトトと二人だけのチーム“ドン・グリーズ”を結成する。

その関係はトトが東京の高校に進学して、離れ離れになっても変わらないはずだった。

「ねえ、世界を見下ろしてみたいと思わない?」

高校1年生の夏休み。それは新たに“ドン・グリーズ”に加わったドロップの何気ない一言から始まった。

ドロップの言葉にのせられた結果、山火事の犯人に仕立て上げられてしまったロウマたちは、無実の証拠を求めて、空の彼方へと消えていったドローンを探しに行く羽目に。

ひと夏の小さな冒険は、やがて少年たちの“LIFE”(ルビ:生き方)を一変させる大冒険へと発展していく。

 

キャスト

花江夏樹
梶裕貴
村瀬歩

花澤香菜

田村淳(ロンドンブーツ1号2号)
指原莉乃

 

スタッフ

監督・脚本:いしづかあつこ
キャラクターデザイン:吉松孝博
美術監督:岡本綾乃
美術ボード制作協力:山根左帆
美術設定:綱頭瑛子、平澤晃弘
色彩設計:大野春恵
撮影監督:川下裕樹
3D監督:廣住茂徳、今垣佳奈
編集:木村佳史子
音楽:藤澤慶昌
音響監督:明田川仁
音響効果:上野励
アニメーション制作:MADHOUSE

主題歌:「Rock The World」[Alexandros]

 
公式サイト
公式ツイッター(@gb_donglees)

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