声優の浅沼晋太郎さんが東北6県を巡るフォトブック「みちのおく」発売記念連載インタビュー|第1回では浅沼さんと同じ岩手県出身の声優・八代 拓さんとの対談が実現!貴重な地元トークが炸裂!
思い出の岩手グルメと──そば屋で見せた先輩の矜持。
――お二人は地元が同じだとうかがいました。
八代拓さん(以下、八代):そうなんです。高校を卒業するまで、盛岡市に住んでいました。
浅沼:しかも、住んでいたところが比較的近かったんだよね。これが今回撮影した岩手の写真なんだけど、思い出深い場所はある?
八代:ほとんどが思い出の場所です。岩手銀行、中津川、どれも懐かしい!
浅沼:「福田パン」にも行ったんだ。八代くんにも馴染みがあるでしょ?
八代:もちろんです。安くておいしくて、ボリュームたっぷり。学生時代、本当にお世話になりました。
浅沼:何味が好きだった?
八代:僕はチョコクリームですね。
浅沼:子供だなぁ。でも、チョコクリーム、美味しいよね。僕はブルーベリークリーム。
八代:大人だなぁ。
浅沼:人気の味だから、中学の購買ではよくブルーベリークリーム争奪戦が起こっていたよ。今では『福田パン』のコッペパンは盛岡駅でも売られるほど人気になって。
八代:そうなんですか? 身近なものが人気になると嬉しいですね。
浅沼:そうそう、人気が出たのも、久々に食べられるのも嬉しくて、いくつも買っちゃった。一個でもかなりのボリュームだから食べ切るのにはかなり苦労したけど(笑)。
――わんこそばを食べているショットもありますね。このお店は以前八代さんも訪れたお店なんだとか。
浅沼:岩手に住んでいても、わんこそばってなかなか食べないじゃない?
八代:そうですね。「今日の晩御飯はわんこそばにしようか」とはなりませんね。
浅沼:今回は旅の本の撮影でもあるから、観光向けのご当地グルメも食べようとなり、「そば処 東屋」でわんこそばに挑戦したんだ。
いざ食べようとした時に、そのお蕎麦屋さんの女将さんが話かけてくれて、「以前八代拓さんがいらっしゃった」と言うわけ。「お?」と。やっぱり、何杯食べたか気になるじゃない。
八代:(笑)。
浅沼:八代くんが130杯食べたと聞いて、ここは先輩として負けるわけにはいかないって、急にスイッチが入った。よく漫画とかであるじゃない、後輩と戦いながら「こいつ、いつの間に俺より強くなりやがった…」と寂しい気持ちになるやつ。まだその気持ちにはなりたくないなと。
八代:そこ、競います? 僕、わんこそばをたくさん食べられるから浅沼さんを尊敬しているわけじゃないのに(笑)。
浅沼:あの時は、譲れない先輩としての矜持があったんだよ(笑)。20年くらい前は80杯も食べられなかったけれど、過去の経験から薬味を使ってはいけないことも学んでいたし、めちゃくちゃがんばった。
八代:薬味がまためちゃくちゃ美味しいんですよね。だけど、味わっているとすぐに満腹になっちゃって、入らなくなってしまうという。
浅沼:そうそう。飲み込むように食べ続けて、ついに131杯目を平らげることができて。「八代くんより1杯多い! 勝てたぞ!」と喜んだのも束の間、新しいそばが器にぼちゃんと……。
八代:あるあるですね……。
浅沼:攻防を繰り返した結果、135杯に。
八代:めちゃくちゃ食べましたね! 掲載されているこのカットは、もしかして……?
浅沼:止められなくて絶望している僕。
八代:『もういいのに……』と顔に書いてますね(笑)。
浅沼:わんこそばは“戦い”だと改めて感じたよ……。ちなみにスケジュールの都合上、この後にじゃじゃ麺を食べに行くことになって。
八代:え!? 135杯の後にですか? じゃじゃ麺って、なかなかヘビーですよね。浅沼さんの胃袋は一体どうなっているのか……。
浅沼:かなりキツかった(笑)。だけど、めちゃくちゃ美味しかったよ。じゃじゃ麺を食べ終わった後、生卵を入れて麺の茹で汁をお店の方に注いでもらって、じゃじゃ麺を食べた後には欠かせない卵スープ・通称チータンタンの完成。これがまた美味しくって。
じゃじゃ麺は、僕が岩手を出て仙台の高校に通っている頃に流行りだしたご当地グルメ。だから子供のころはそこまで馴染みがなかったんだけど、八代くんはよく食べていた?
八代:家で父が作ってくれることもありましたが、どちらかというと冷麺のほうが馴染み深いかもしれません。
浅沼:冷麺は僕もよく食べてたなぁ。今回も、当時からよく行っていた「盛楼閣」にお邪魔したの。
八代:「盛楼閣」! 懐かしい! 地元民から愛されているお店ですよね」
浅沼:そうそう、相変わらず旨かった! ちなみに、盛岡には冷麺だけのお店ってないんですよ。今はどうかわからないけど、僕の知ってる限りは、少なくとも。
――そうなんですか?
浅沼:冷麺があるのは焼肉屋さんで、そこに冷麺を食べに行くんです。
八代:僕、子供の頃は“冷麺のほかに焼肉も食べられる場所”だと思ってたくらいですから(笑)。東京では焼肉の締めとして頼む人が多いんですよね。
浅沼:岩手だと肉より冷麺がメインになることも多いもんね。久々に帰って、冷麺が食べられたのは嬉しかったな。
八代:僕も地元に帰ると『冷麺食べたい!』と思いますね。
――そのほかに地元に帰ったら食べたくなるものはありますか?
浅沼:「お茶もち」ってわかる?
八代:お茶もち!! 大好きです!!
――どんな食べ物なんですか?
八代:串に刺さった平べったいお餅に、胡桃醤油を絡めたもので。
浅沼:ちょっと焼いてあって、甘じょっぱくて美味しいんだよね。
八代:岩手名物の中で一番好きなんです。あと、醤油団子も好きでした。東京の人にはなかなか馴染みがないようで、びっくりしたんですよ。こっちだと、醤油団子=みたらし団子という認識で。
浅沼:違うんだよね。味付けはお醤油だけなのが、岩手の醤油団子。
八代:お茶もちと醤油団子は、お団子屋さんに行ったら必ず買ってもらっていたんです。食べたくなってきました……。
浅沼:八代くんとは17歳も年齢差があるのに、思い出の食べ物が同じなのは嬉しいなぁ。
八代:これはこの先も岩手でずっと愛されていくんでしょうね。まだ食べたことのない方には是非食べていただきたいです!