シャトーを追い詰めるサディスティックな喜びを大事にした|TVアニメ『殺し愛』リレーインタビュー│第7回:ジノン役 村瀬 歩
Fe原作によるTVアニメ『殺し愛』が、1月12日よりTOKYO MXほかにて好評放送中。アニメイトタイムズでは、本作の出演キャスト陣によるリレーインタビューを実施している。
豪華客船という「密室」の中で繰り広げられる血みどろの駆け引き――。シャトーとリャンハの前に現れた刺客、ジノンとは一体何者なのか? リレーインタビュー第7回は、ジノンを演じる村瀬歩さんに、彼の「底知れなさ」について語っていただいた。
なかなか尻尾を掴ませないところがジノンの魅力
――作品の第一印象はいかがでしたか?
村瀬歩さん(以下、村瀬):オファーをいただいたときに、一番驚いたのが『殺し愛』というタイトルです。とてもキャッチーな言葉なのに、今まで作品タイトルで聞いたことがありませんでしたし、「どんな内容なんだろう?」とタイトルを伺っただけで内容が気になってしまって、原作を読ませていただくのが楽しみでした。
内容はまさに「殺し」が当たり前のダークな世界観。でも、なかなか核心が見えないところが面白くて。なぜリャンハがシャトーさんに執着しているのか、シャトーさんの過去に何があったのか。それを知りたくてハラハラしながら読み進めました。どこへ辿り着くのかまったく予想できないところが魅力だなと感じます。
――村瀬さん演じるジノンの第一印象はいかがでしたか?
村瀬:最初は明るい印象を受けたんですが、原作を読ませていただくと、どこか冷酷な部分があったり、言葉の真意が見えなかったりと、底知れない怖さを感じました。
――いったい何者なんだろうという疑問がわきますよね。
村瀬:そうなんです。ぱっと見て年齢がわからないのも含めて(笑)、なかなか尻尾を掴ませないところが魅力だと思います。
――大庭秀昭監督や音響監督の髙桑一さんから、何かディレクションはありましたか?
村瀬:最初にだいたいの年齢感を伺ったくらいでした。お二人とも前にお仕事をさせていただいたことがあって、特に髙桑さんはミステリアスで底が見えない雰囲気の役でご一緒することが多いので、特に「こういうふうに変えてください」というディレクションはなかったです。こちらがお持ちしたものをそのまま受け入れていただきました。
――どういった役作りでアフレコに臨んだのでしょうか?
村瀬:屈託のない表情を見せながらも、そこに彼の心は本当にあるのかという空虚さを感じたので、その不気味さや怖さを大事にしました。もう一つは、楽しく仕事をしている様子です。ジノンは、ドニー一家ではそこまでイニシアチブを握れていないと思うんです。皆さん、個性派揃いなので(笑)。その立ち位置で、ドニーさんから花形とも言える仕事を任されたというのは、ジノンにとってきっと嬉しいはずでしょうし、その喜びとシャトーさんを追い詰めていくサディスティックな喜びは大事にしたいと思いました。
――シャトーとの会話では完全に彼女を翻弄していましたね。
村瀬:ジノンは人の道から外れた人間ではあるんですが、ちゃんと喜びや嬉しさという感情は持っているんです。シャトーさんとの会話の中でも相手をコントロールする気持ちよさを感じるだろうと思ったので、シャトーさんのお芝居や画から伝わってくる動揺に合わせて、僕も感情を強めに出したり、引っ込めたりという駆け引きをするようにしました。その意味では、シャトーさんから大きな刺激を受けました。
――アフレコの時点で画がほぼ完成していたと伺いました。完成した映像から伝わる情報も大きいのでしょうか?
村瀬: V(映像)チェックの段階で監督の作りたいもののイメージがしっかり伝わってきますし、ヒントがたくさん見えるので、とてもありがたいです。情報がしっかり提示されているという意味では、外画に近いかもしれないですね。外画はさらに音楽や音が乗っていますが、それと変わらないくらいの情報量でした。ただ、ボールド(セリフの尺を示すガイド)がないぶん、(口)パクがうまく合わないこともあって。そういうときはちょっと申し訳ない気持ちになります(笑)。
――アフレコで何か思い出に残っていることはありますか?
村瀬:アフレコブースに入れるのが三人までに限定されているんですが、ブースが二つあり音声と映像が同期されているので、最大六人でアフレコできるんです。他のキャストの方のお芝居を聞いて、それに反応してお芝居ができるという環境を作ってくださって、本当に頭が下がる思いです。