音楽
堀江由衣『文学少女の歌集II-月とカエルと文学少女-』発売記念インタビュー

堀江由衣さん11thアルバム『文学少女の歌集II-月とカエルと文学少女-』発売記念・堀江由衣さんインタビュー「アルバムは短編小説を読むような感覚で気軽に楽しんでください」

 

「スタートライン」は作詞あさのますみさん、作曲大川茂伸さんのゴールデンコンビ作。学生感あふれる中に壮大さも

――「スタートライン」も在校中のことを振り返り、卒業してお互いに違う道へ進むことの寂しさを感じながらも新しい一歩を踏み出す歌です。

堀江:作曲は大川茂伸さん、作詞はあさのますみさんという私の中のゴールデンコンビです。この曲もアルバム制作の序盤に大川さんから曲をいただいて、このアルバムの道筋を作ってくれました。きれいなメロディで、その中に学生感やエモさがあって。

でもサビになるとロングトーンが映える壮大なメロディがあったり、大川さんらしい曲だなと思いました。ディレクターさんとも「大川さん、さすがですね」と話した覚えがあります。

――あさのさんの歌詞は「制服で駆けぬけた若葉の日々」などきれいな表現ですし、タイトルに関わる「今 飛行機雲ほら ああスタートライン描くように伸びてく」という発想も素敵ですね。

堀江;写真を渡しして簡単なイメージしか伝えていなかったので、「どんな曲がいいの!?」と何度か尋ねられたのですが、「あの感じで」とフワッと答えると怒られて(笑)

でもあさのさんは本当に素敵な歌詞を書いてくださるので、私がアレコレ言うよりもお任せしたほうがいいかなと。ひらがなのあさのますみさんに会いたいなっていつも思うんですよね(笑)。

でも、あさのさんと歌詞の話をした時、「いろいろな人が、いろいろな想いで受け取れるように」と話してくれて、想像力が働く世界観をいつも作ってくださってくれて感謝しています。

――「君とさよなら」は、シティポップっぽいオケのおしゃれ感がありながら歌っているのは終わった恋なんですよね。

堀江:今回のアルバムで初めてご一緒した吉岡大地さんの作詞作曲で、普段ならあまり選ばないタイプの曲調ですが、今回すごくいいなと思って。恋愛の歌詞ですが、あまり大人っぽくなりすぎないように意識してアレンジしていただきました。

――「誰も慰めてくれやしないよ」や「ただたゆたって」など文語調の歌詞も珍しいなと。

堀江:そうですよね。コンペの時はデモ曲の中から選ぶ時は先入観が出ないように作家さんの名前は見ないようにしているのですが、この曲の制作中も、他の収録曲の「チャイム」と「1/60フレーム」とも吉岡さん作曲とは知らなくて。

この曲では作詞と作曲をしていただきましたが、曲について知り尽くしているからこその言葉選びの上手さも感じました。

――「選ぶ言葉 あの子の真似事」や「瞬きしたとき 私とあの子が何かの間違いで入れ替われたなら」なんて悲しいし、サビの「夜静かに歌う恋の歌~吐く白息」から冬の夜に一人、歩いているんだなと思ったらせつなくて。

堀江:身も心も寒く、苦しい帰り道だったでしょうね。

 

「チャイム」はアッパーで少し激しく落ち込んでから踏み出した曲。「1/60フレーム」は記憶に残る景色や想いをしっとりと

――「チャイム」はエレキギターが効いたイントロなどアッパーなバンドロックですね。

堀江:どういう方向に持っていったらいいのか、一番悩んだ曲かもしれません。この曲も吉岡さんが作曲されているんですが、もう1曲の「1/60フレーム」のデモを聴いた時に私に刺さったポイントが似ている気がして。

どちらもアルバムに入れたかったので、「チャイム」は少しテンポ良く、マイナーっぽさも意識して作っていただいて、「1/60フレーム」はゆったり、しっとりした感じにして「雰囲気を差別化しましょう」と両極端に振っています。

――歌詞の主人公は「何が正解かわからなくなって」と悩んでいたけど、「『変わりたい』と思った瞬間 響く始まりのベル」と一歩踏み出し始めています。

堀江:私が歌詞を書くと、曲の頭から前向きになってしまうんですけど、この曲のAメロのような落ち込み具合や、ここまで最初落ち込んでから飛び込んでいったり、走り出すような歌詞って私の曲にはあまりないかなと思って、選ばせていただきました。

――一方の「1/60フレーム」は、これまで過ごした場所から離れることを惜しみつつ、「知らない自分見つけたい」と旅立ちに期待を膨らませる様子を優しく歌われています。「列車の窓の向こう」や「一駅過ぎる毎に」など、田舎にいた時の通学を思い出しました。

堀江:それは嬉しいです。私の列車のイメージは、席が向い合せになっているボックスシートで、窓側にペットボトルがギリギリ置けるくらいの小さなテーブルがあるちょっと古い列車でした(笑)。

実際の経験ではありませんが、これまでにアニメや映画を通して触れたことがあるような感覚で、私が表現したかった世界観に近いものがありました。

また何気ない日常を毎日繰り返していく中で、後から思うとかけがえのない時間だったことに気付いたり、ふとした時に思い出したりして。頭の中でシャッターを切った写真が何かのタイミングで見つかるような感覚です。

聴く人によって浮かぶ景色や想いは異なると思いますが、生まれ育った故郷や懐かしい景色を思い浮かべていただけたらいいですね。

――「25:00」もカッコいいバンドロックですが、むき出しの愛や感情を激しくエモーショナルに歌っているのが新鮮でした。

堀江:「月とカエル」が、私が表現したい世界観をどんぴしゃで描いてくださっていたのでお願いしたかったんですけど、ご自身のバンドのsajiの活動などお忙しいことはわかっていたので、ダメ元で「もう1
曲、作っていただけませんか?」とお願いしたら作ってくださって。

その時はある程度収録曲を選び終わった後で、「アルバムのバランスを考えるとこういう曲とこういう曲が少ないんですよね」とお話ししたら、その足りないと思っていた2曲を作ってくださいました。

そのうちの1曲がこの曲で、マイナーアップテンポの激しめの曲になっています。ただヨシダさんは歌がお上手なので、こんな難しい曲を作られるんですよね(笑)。曲はカッコいいけど、果たして私が歌えるのだろうかという不安が大きかったです。

――「侵食-けが-して」や「僕らの秘密-ゆめ-」などの読み替え表現が多いのも独特ですし、「傷付き血を流して」や「すべてを壊してしまいたい」など激しいフレーズも堀江さんの曲では珍しいなと思いました。

堀江:そうかもしれませんね。写真からイメージする女の子と照らし合わせてみるとちょっと強めな気もするけど、学生だからといって想いが弱いというわけでもないし、その年代ならではの周りが見えなくなる感じや突っ走ってしまう勢いもあると思うので、こういう激しめの楽曲があってもいいかなと。でも歌うのはすごく大変でした(笑)。

――この取材時点ではまだレコーディングが終わっていない2曲がありますが、可能な範囲でご紹介いただけますか?

堀江:1曲が「ラブアテンンション」という曲で、ヨシダさんがアルバムになかった要素のもう1つ、女の子っぽい元気な曲を作ってくださいました。ヨシダさん的には「25:00」とこの曲のどちらかが選ばれると思われていたかもしれませんが、私からすればとてもありがたいので2曲共、収録させていただきました(笑)。

ノリがよくて、元気で、明るく突っ走っていく感じの曲で、ヨシダさんが元気かつオシャレに仕上げてくださったので、アルバムのアクセントになるかと。

もう1曲の「Wake Up」は私が作詞を担当した楽曲です。休日の”やる気のない女の子”をテーマに作詞をした、こちらもまたベクトルの違った可愛らしい楽曲になりました。

 
 

――今回新録曲9曲に加えて、既に配信でリリースされている「Adieu」と「虹が架かるまでの話」も収録されていますが、どちらもアニメの世界観に寄り添っているのに、まったく違和感がなくて。むしろこのアルバムのことも見据えて作ったのではと思えるほどマッチしていますね。

堀江:「Adieu」は『SHAMAN KING』の第2弾エンディングテーマで、アニメの世界観や私が演じたジャンヌちゃんも特殊な役柄だったので、このアルバムだと「もしかしたら浮いてしまうかも」とも思ったりしていたんですが、そう言っていただけて安心しました。

「虹が架かるまでの話」は『先輩がうざい後輩の話』のエンディングテーマです。私が演じた優人くんは作品の中で唯一の学生の役でしたが、作品で描かれている社会人の不器用な恋愛に至るまでの過程を歌わせていただいた曲でした。

でも作中では学生のようなピュアな恋愛やもどかしさが描かれていたので、学生をイメージした今回のアルバムにもピッタリだったので良かったです。

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