この記事をかいた人
- 篭法
- 内向的で口下手、典型的な陰の者。テーマやメッセージ、登場人物の心情を考えさせられるアニメが好み。小説も好き。
――先ほど、水瀬さんもライドウくんのように頭の中でシミュレーションするタイプと仰られていましたが、なにか“妄想エピソード”のようなものはありますか?
水瀬:(れいなちゃん役の)テープオーディション通過後のスタジオオーディションで、スタッフの方がものすごく丁寧にご挨拶をしてくださったんです。その瞬間に心の中の私が「え、これはもしかして、かなりいい線いっているのでは!?」と思ってしまって(笑)。
「そんなことを考えたら欲として出てしまう! フラットに!」と(脳内で)一番大人な私が、期待に浮かれている私を斬ってくれて、無事平常心になれたと思います。合格の知らせを聞いたときは心の中でみんなで胴上げしていました(笑)。
――阿波連さんは大食いですが、水瀬さんは大食いエピソードのようなものはありますか? もしくは最近、好きなものをいっぱい食べた、といった機会などはありましたか?
水瀬:あれも食べたい、これも食べたい、というときに“自分の中のエクストラセット”を計画して、実行することがありますね。「明日の昼は絶対にやる!」と前の日の夜に計画し、それが叶えられたときはめちゃくちゃ達成感があります(笑)。夢にまで見たものが机の上に広がった瞬間の、「どれから食べてやろう?」という大魔王気分は何物にも代えがたい幸せです。
あとは私、「毎日食べたい」と思うくらいチヂミが大好きなんです。スナック感覚で食べられて、野菜も海鮮も摂れる神の食べ物だと思っています(笑)。なので、スンドゥブも食べて、お米も食べて、サムギョプサルも食べて、チヂミも食べて、と韓国料理をいっぱい食べたときは格別ですね。
――ライドウくんは高校入学を機に友達を作ろうと意気込みますが、水瀬さんは新しい環境に入ったとき、キャラクターを変えようと思ったことはありますか?
水瀬:入学式などでは自分も意識していたかもしれませんが、「こうしよう!」というよりは「目立たないようにしよう」みたいな気持ちのほうが大きかったかもしれないです。
でも私は「悪目立ちしないようにしなきゃ」と思っていてもそれが空回りしてしまう感じで、事務所のオーディションを受けたときも「なるべく目立たないように」と思っていたらコードに引っかかって転びました(笑)。「〇〇しないようにしなきゃ」と考えるとそっちに行ってしまうことが学生時代は本当に多かったですね。
あとは、自動車の免許を取りに行くタイミングで、「教習所では絶対になめられないようにしよう!」と思いました(笑)。年齢としては社会人の年齢だったのですが、声や身長などで大学生、高校生くらいに思われてしまうことも多々あったので。……結果は聞かないでください(笑)。
新しい場所に行く、というのは今までの自分を変えられるきっかけになるので、この作品をご覧になっているみなさんの転機にぜひつながってほしいですし、背中を押せたらと思います。
――ライドウくんは阿波連さんに積極的に話しかけに行きますが、水瀬さんは、現場で初めて会われる方には積極的に話しかけられますか?
水瀬:本質的には全然行けないタイプです。デビュー当時は今よりさらに人見知りでしたし、デビューが少し早かったのもあり、周りは大人ばかりで、大人に対する経験値が圧倒的に足りなかったので、ただひたすら怯えるような時間がありました。先輩たちが怖かったとかではなく、自分が何かを投げかけてもらってもうまく返せる自信がなかったので、「粗相をしないように」と思っていました。
ここ1、2年は、現場で困っている新人の子や、キャリアが若い子に「どうやったら自分らしく接しながら距離を詰めることができるかな」と考えながら現場にいることが増えましたね。私自身、いい意味でそこまで“先輩感”はないと思うので、話しやすさを意識して、積極的に新人の子には話しかけるようにしています。
自分が「先輩にこんなことを話しかけてもらえたら嬉しいな」と思っていることをできるようになりたいんです。無理して喋りかけているのではない、気を遣って喋るものではない、“普通に生まれた会話”を目指してコミュニケーションを取れないかな、とすごく考えています。
――最後に、改めて作品の見どころをお聞かせください。
水瀬:この作品の見どころは主人公、ヒロイン含め、不器用かつ人間らしい登場人物が織りなす“はかれない関係性”だと思います。“はかれない”からこそ生まれる距離感や関係性を大切に描いていて、人見知りやシャイだということがネガティブなポイントではなく、「それがあったからこそ世界がこんな風に見える」「私たちのこの距離のはかれなさだからこそ楽しめることがある」といった、変わるんじゃなく、そのままでいることでどんどん世界が広がっていく、ということを描いている点に、私は読んでいて勇気をもらえました。人見知りや緊張することが個性となって、あなたらしさであるということを存分に描いた作品だと思います。
入学や入社など新しいステップに上がる「4月」というタイミングで、れいなちゃんやライドウくんの頑張りを観ていただけると、ちょっと肩の力が抜けると思います。観終わった翌日に、会社や学校に行った際に、れいなちゃんやライドウくんのことを考えながら仕事や勉強に励んでもらえたら嬉しいです。
きっとみなさんの背中を押してくれると思いますし、一緒に成長していこう、という物語なので、ぜひふたりと一緒に一歩ずつ前に進んでいただけたらと思います。
[取材・文/篭法]
中学までは運動部だったが、だんだんインドア趣味になり、今では完全に陰の者。小説が好き。ライターを志すきっかけになったアニメは『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。その他に好きな作品は『91Days』『SSSS.GRIDMAN』『ワンダーエッグ・プライオリティ』など。アイドル系の作品にはあまり触れてこなかったが、1年ほど前から『シャニマス』にハマり、ライブにも足を運ぶようになった。
2022年4月1日(金)よりMBS/TBS/BS-TBS“アニメイズム”枠にて放送
TBS:4月1日より毎週金曜日深夜2:25~
MBS:4月1日より毎週金曜日深夜2:25~
BS-TBS:4月1日より毎週金曜日深夜3:00~
小柄で物静かな女の子、阿波連(あはれん)れいなさん。人との距離をはかるのが少し苦手。
そんな彼女の隣の席に座るライドウくんは、阿波連さんとの間に距離を感じていた。
ある日、阿波連さんが落としてしまった消しゴムをライドウくんが拾ったことをキッカケに、ふたりの距離は急接近!?
「遠すぎたり」「近すぎたり」予測不能な阿波連さん。
色んな意味で、『はかれない』密着系?青春ラブコメディの幕が上がる!!
原作:水あさと(集英社「少年ジャンプ+」連載)
総監督:山本靖貴
監督:牧野友映
シリーズ構成:吉岡たかを
脚本:吉岡たかを、久尾歩、兀兀
キャラクターデザイン:八尋裕子
総作画監督:八尋裕子、岩佐とも子、三島千枝、福地友樹
美術監督:倉田憲一(獏プロダクション)
色彩設計:田中千春
撮影監督:岩井和也(スタジオシャムロック)
特殊効果:木村実乃理(スタジオシャムロック)
編集:山田聖実(editz)
音響監督:阿部信行
音楽:神前 暁 & MONACA
アニメーション制作:FelixFilm
製作総指揮:夏目公一朗
プロデュース:藍沢亮
製作:bilibili
オープニングテーマ:TrySail「はなれない距離
エンディングテーマ:ハコニワリリィ「キョリ感」
阿波連れいな:水瀬いのり
ライドウ:寺島拓篤
大城みつき:M・A・O
石川:柿原徹也
佐藤ハナコ:楠木ともり
桃原先生:花澤香菜
宮平先生:小坂井祐莉絵
ふたば:指出毬亜
あつし:藤原夏海
『阿波連さんははかれない』
著:水あさと
少年ジャンプ+にて連載中
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