映画『モービウス』日本語吹き替え版モービウス役・中村悠一さんインタビュー|医師でありヴィランである「人間臭さ」が魅力
マーベルの新たなるヴィランを描く映画『モービウス』が、2022年4月1日(金)より日米同時公開となります。
原作コミックでは、スパイダーマンの宿敵として描かれるモービウス。しかし、その素顔は命を救うことに情熱を注ぐ天才医師マイケル。血に飢えた<ヴィラン>と<命を救う医師>という二つの顔を持つ彼を、徹底した役作りで知られるアカデミー賞R受賞俳優のジャレッド・レト氏が演じます。
今回、本作の日本語吹替版で主役・モービウスを演じる声優の中村悠一さんにインタビューを実施!
本作の見どころや、モービウスというキャラクターについて。実写吹き替えとアニメにおける「アフレコ」の違いなどたっぷりとお話を伺いました。
『モービウス』『キャプテン・アメリカ』2つの作品で主演を務める驚き
ーー中村さんは『キャプテン・アメリカ』で日本語吹き替えも担当なさっていますし、マーベル作品がお好きだと聞いています。今回の出演が決まったときはいかがでしたか?
中村悠一(以下、中村):『キャプテン・アメリカ エンド・ゲーム』までキャプテン・アメリカを演じていたのでお話いただいた際には驚きました。
ただその時はソニーさんが僕がキャプテン・アメリカやったこと知らない可能性があるなと思って……(笑)。
ーーまさか(笑)。
中村:「え! やってたの! それはちょっとダメだわ!」と言われる可能性も考えて真っ先に確認をとりました。
「その上でお願いしたいです」という事だったので、最初は少し驚きはあったものの、素直に新しいキャラクターを演じられることは嬉しかったですね。
ーーファン目線では「いつか中村さんのモービウスとキャプテン・アメリカが……」という意見もありますが。
中村:ゼロではないと思いますが……マーベル作品のファンの方たちで、原作の展開や取り扱われ方を事細かく把握している人たちはどうなるのか予想が付いているようでしたね。
ユニバースとしても分かれていて、『スパイダーマン』の派生としても枝別れしている。スパイダーマン自体はどちらの世界にも登場するけれど、また新たな軸のユニバースとして物語が進んでいくような感じなんだと思います。
ファンの方たちの反応もそれぞれ受け取り方の違いが見えて面白かったです。
モービウスは本能と理性のせめぎあいを常にしている
ーー今回、演じたモービウスに対しての印象はいかがでしたか? 特に今回は病弱なシーンとスーパーパワーを使った派手なシーンなど幅が広いキャラクターでしたよね?
中村:もともとこのキャラクターは原作でも「ヴィラン」として描かれていて、今公開されている予告などでも、闇に取り込まれてしまって人の道を外れていく様子が見て取れると思います。
事前情報がない方の印象としては「悪い人」に変化していく人物に見えるかもしれません。
でも、モービウスには「医師」という側面があって、「医師」としての彼と、一個人として「病気をなんとかしたい」と思っている彼がいる。
どちらも悪意はゼロなんです。特別な力を得たら生まれ変わって世の中をどうにかしてやる、ということではなく「同じ難病で苦しむ人達を助けることができないか?」という思いから行動をしています。
作品の雰囲気はダークですが、人間としてのモービウスは誠実で真っ直ぐな人なのかなと思っています。
ーー今回はキャッチコピーでもモービウスの善悪を問うようなものになっていますが、中村さんの中ではどう思っていますか?
中村:完全に善だと思いますけど、能力の代償として血を欲してしまう故に、人間を襲いたくなるという衝動が出てしまいます。
だからこそモービウスは常に本能と理性のせめぎあいをしていて、そこがみどころですね。共感はしづらいかも知れませんが理解して見てもらいたいポイントです。
ーー自分の意志を持ってして悪を働くキャラクターでは決してないですよね。
中村:コウモリの血清を入れてから凶暴性が増しているような描写もあるので、今作だけではわかりませんが、もしかしたら続編や別の作品で登場する時はその症状が「進行」していくのかもしれません。
正直、今回の1本だけだとモービウスとしては未完といいますか、まだ彼の今後がはっきりしていません。
ーー血液も飲むたびに効果が薄れていっていますね。
中村:そうなんです。完全に効かなくなったらどうするんだろうと思いますけど、その話は今回全くしていないんですよね。なので今後、終盤で出てきた“ヤツ”と組んでどうにかするのかなと想像しています。
ーー善悪どっちにも振れ幅があるキャラクターなので、演じる面白さもありましたか?
中村:そうですね。次出てきた時どうなっているかっていうワクワクもありますね。