声優
浅沼晋太郎フォトブック「みちのおく」発売記念連載第3回

声優の浅沼晋太郎さんが東北6県を巡るフォトブック「みちのおく」発売記念連載インタビュー|第3回は宮城県出身の声優の佐藤拓也さんと対談!学生時代の思い出から地元への想いなど、それぞれの考えを語る

改めて故郷を思うきっかけになった。東北大震災のこと

――佐藤さんは高校卒業後に上京を?

佐藤:そうです。東京の声優専門学校に通っていました。“野球やるならメジャーリーグに行きたい”じゃないけど、アニメ文化の中心地に行きたいと思って。それで東京に行くことにしたんです。

浅沼:親御さんに反対されたりしなかったんだ?

佐藤:うちは“何事も経験が大事”という家庭なんです。地元で安穏とするのではなくて、挑戦してみなさいと言ってくれて。30歳までに手応えがなかったら、その時にあらためて今後のことを考えようと。

浅沼:心強い味方になってくれたんだね。僕も高校卒業後に上京したんだよね。実家は盛岡にあるし、仙台に長いこと寄れずにいたら、知らぬ間にさらに栄えていて驚いた。

佐藤:進化し続けていますよね。それは街が生きている証拠だから嬉しいけれど、その反面、自分が通っていたお店がなくなったりもしていて。

故郷の思い出が、僕の中にしかなくなっていくような、東京という日本の最先端の街にいるはずなのに、仙台から取り残されているような、寂しい気持ちもあるんですよ。

浅沼:その気持ちわかるなぁ。浦島太郎みたいな気持ちになるんだよね。実は、高校卒業後にゆっくり仙台を見たのは、震災の後。仲間と一緒に物資を持って向かったんだけど、その時になって初めて、僕がいた頃は地上を走っていた仙石線が地下鉄になっていること、よく通っていたゲームセンターがずいぶん前になくなっていたことを知って。

仙台は第2の故郷みたいに思っていたのに、このタイミングで街の変化を知った自分にショックというか、反省するというか……。

▲「みちのおく」掲載カットより 宮城県気仙沼市の御崎岬

▲「みちのおく」掲載カットより 宮城県気仙沼市の御崎岬

佐藤:実家がないと、なかなか行く機会がないですもんね。僕も、あの日が故郷にあらためて向き合うきっかけになりました。

浅沼:拓ちゃんが住んでいた亘理郡は、津波の被害が大きかったんだよね。

佐藤:大きかったですね。家族は今造成地のほうに引っ越して暮らしているけれど、僕が生まれ育った家は、もうありません。あの当時、ものすごく悔しかったんです。

今ほど仕事を持っていなかった僕は、浅にぃみたいに物資を運びにいくこともできませんでした。何かを伝えたくても、ネームバリューのない僕が何かを発信したところで…という思いもあって。

何をしたらいいのかもわからず、自分の無力さを痛感したし、故郷のために何もできないことが、とにかく辛くて。早く僕も、何かできる人間になりたいと思ったんです。

浅沼:何をしたらいいのかわからなくなるのは、すごくわかる。当時の僕を思い返すと、物資を運びにいったのは、ただ居ても立ってもいられなかったから。どこか自分を安心させたい気持ちもあったとも思うし。行動することで“誰かと繋がっている”と確認しないと、自分がおかしくなってしまいそうで。でも当時はいろいろ言われたなぁ。『偽善だ』『パフォーマンスみたいなことするな』って。身近にいる人にまで言われて。

佐藤:僕は、偽善だなんて思わないですよ。行動できること自体が、すごいことですよ。やらない人に何がわかるんだと思いますから。

浅沼:ありがとう。あれから11年、僕も拓ちゃんも今ならできることも増えた気がするんだよね。

佐藤:そうですね。宮城の人として知ってもらえる機会も、仕事で訪れることも増えましたし、力になれることができたらいいなと思っています。

浅沼:今では僕らも『機界戦隊ゼンカイジャー』で世界を救うヒーローにまでになれたしね(笑)。ヒーローといえば、東北にはご当地ヒーローがものすごく多いんですよ。

――「みちのおく」でも岩手のご当地ヒーロー『鉄神ガンライザー』と共演していましたね。

佐藤:『鉄神ガンライザー』の存在は僕も知ってます。

浅沼:以前『鉄神ガンライザー零』に出演させていただいて、それつながりで今回「みちのおく」に登場してもらったんだ。仙台には『破牙神ライザー龍』がいるよね。『破牙神ライザー龍』は、僕が高校時代にバイトしたヒーローショーの会社が企画したんだよ。

佐藤:そうなんですか! まさかそんなつながりが。

浅沼:ヒーローたちの活動が活発になったのも、震災がきっかけのひとつだと思う。当時、ヒーローたちがSNSにメッセージを出してくれたりして、それが話題になったんだよね。

佐藤:そのメッセージで、勇気をもらった子供も多いでしょうね。

 

――なぜ戦隊ヒーローたちが勇気をくれるのだと思いますか?

浅沼:彼らの言うことは、説教くさくないからかもしれませんね。突然知らないおじさんに「諦めんな!」「立ち上がれ!」と言われても、まず「誰…?」と思うし、「なんでこの知らない人に言われなくちゃならないの?」と思っちゃうかもしれない。

佐藤:確かに、自分とは別の存在というのも大きいかもしれませんよね。たとえばウルトラマンなんかは宇宙人じゃないですか。“何かよくわからないが、とてつもない力を持つ存在”に「がんばれ」と言われたら、やる気が出そう。

等身大のヒーローの場合は、「そんな彼らも人知れず戦ってくれているんだ」と親近感が湧いて、「ならばがんばろう」と思えるかもしれない。

浅沼:彼らの言葉は、不思議とスッと心に入ってくるんですよね。それはいつの時代も変わらない。だから、彼らは“ヒーロー”なんでしょうね。

セクシーカットにびっくり!? 「みちのおく」の制作意図とは

佐藤:浅にぃはこの「みちのおく」で気仙沼を訪れていますが、誰かを元気にしたいとか、力になりたいという思いもあって制作をしたんですか?

浅沼:うん。過去を振り返るのではなくて、この11年の間に、東北がどう元気になったのかとか、「東北はこんなに楽しい場所だよ」を伝えたい気持ちが大きくて。宮城では、気仙沼と、僕がおすすめしたい宿を訪れたんだよ。“つなかん”という最高の宿。女将さんである菅野一代さんがとても素敵な方で。宿を出る際に大漁旗を振りながら「行ってらっしゃい」と声を掛けてくれるんだよね。「また帰って来たいな」って思わせてくれる場所だった。

数年前からサウナにどハマりしてるんだけど、ここはサウナ好きからも注目されている宿でね。

佐藤:だからセクシーなカットがあったんですね! ページをめくっていたら突然いい体の写真が現れて驚きました。

浅沼:実は、このためにちょっと鍛えたんだよね(笑)。ライブに出演する予定もあったし、ちょうどいいタイミングだったもんだから。

佐藤:めちゃくちゃいい写真です。ほかの地域も、春夏秋冬を感じさせてくれて、1冊まるまる“楽しい”が詰まった一冊ですね。

浅沼:そう思ってくれて嬉しい!僕らの故郷を楽しんでくれる人がもっと増えるといいよね。あと、宮城で拓ちゃんと一緒にお仕事できたらいいな。その時は一緒に宮城のうまいものを食べよう。

佐藤:いいですね。実は僕、仙台の名物の“せり鍋”を食べたことがないんですよ。食卓に並んだことがなくて。だから、一緒に行きましょう!

浅沼:それは意外! ぜひ行きましょう!

浅沼晋太郎-東北6県たびBOOK-「みちのおく」商品情報

発売日:2022年3月31日(木)
価格:3,300円(税込)

浅沼晋太郎オールプロデュースの旅行写真集。約1年をかけて東北6県を巡り、各地の魅力を紹介する。本人自らタイトル、表紙や本文の写真セレクト、ページ構成まで担当したこだわりの1冊。

 

アニメイト特典

・イベント参加券(4月23日 大阪開催特典お渡し会) / 【先着参加】浅沼晋太郎 東北六県たびBOOK「みちのおく」発売記念イベント

イベント詳細はこちら

・ブロマイド(6種よりランダム1枚)

※特典は無くなり次第、終了とさせて頂きます。ご了承下さい。

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