春アニメ『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー役:早見沙織さんインタビュー|殺し屋&母親役を演じることから見えた家族の関係性【連載第3回】
めいっぱい揺れ動いた表現が人の心を揺り動かす
ーー本作では家族となったフォージャー家の人々との交流、成長が描かれています。早見さんが家族からの言葉で、心に残ったものがありましたらお聞かせください。
早見:私が20歳になった時だったかな。たぶん直接言うのが気恥ずかしいからだと思うんですけど、父がメールでメッセージをくれたんです。
ささやかなものなんですけど、「人生はいろんなことがあるよ。上り坂もあれば下り坂もあるし、まさかという坂もあります。そういうこともあるけど、その都度その都度、そういうことも起こるんだと思って過ごしていけば、大丈夫ですから」という言葉をもらって、それが父らしい言い方だなと思ったんです。
父はあまり重く考えすぎない人なので、「あるがままで、いろんなことが起こって当然と思っておけば、下り坂が来ても、まさかという坂が来ても、そんなに焦らずに生きていけるよね」というメッセージなんですけど、今になってジワジワと染みてくる言葉ですね。
ーー役柄を演じられる上で、大切にされていることがありましたら、教えてください。
早見:私は「自分の心を動かす」ということが役柄を演じたり、いろんな表現をする上では大事なポイントだと思っています。見てくださっている方々にもそれが伝わるか、伝わらないかは別として、自分自身がこの仕事を続けていく上では、自分の心をちゃんと動かしていかないと続けられないなという思いはありますね。
演じるキャラクターと同じように自分の心を揺らすというのもそうですけど、それだけではなく、いろんなものに日々触れたりとか、見たりとか、人との会話だったりとか、そういったことで自分の心が揺れ動く瞬間というものが必ずあるんです。それは良い部分も悪い部分もありますし、私はけっこう揺れやすいタイプで大変なところもあるんですけど、一つ一つを大切にしていきたいと思っていますし、そういう自分だからお芝居ができると思って大事にしています。
昔知り合った作品の関係者の方がおっしゃっていたんですけど、その方は物作りをされている方で、「自分の心が振動するものを表に出していくから、それに触れた人に振動が伝わって、人の心も揺れていく」というお話を聞きました。
そのお話を聞いた時に、そういったことが起こるんだったら、すごく素敵だなと思って、めいっぱい揺れ動いた表現が人に伝わって、人の心も何かいい形で揺り動かすことができれば、役者冥利に尽きるというか、この仕事をやっていて良かったなと思える要素の一つかなと思っています。
ーーありがとうございました!
[取材・文/宋 莉淑(ソン・リスク)]
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TVアニメ『SPY×FAMILY』作品情報
2022年4月9日(土)〜
テレビ東京ほかにて放送開始
ストーリー
人はみな 誰にも見せぬ自分を 持っている――
世界各国が水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた時代。
東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)は、十数年間にわたる冷戦状態にあった。
西国の情報局対東課〈WISE(ワイズ)〉所属である凄腕スパイの〈黄昏(たそがれ)〉は、東西平和を脅かす危険人物、東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドの動向を探るため、ある極秘任務を課せられる。
その名も、オペレーション〈梟(ストリクス)〉。
内容は、“一週間以内に家族を作り、デズモンドの息子が通う名門校の懇親会に潜入せよ”。
〈黄昏(たそがれ)〉は、精神科医ロイド・フォージャーに扮し、家族を作ることに。
だが、彼が出会った娘・アーニャは心を読むことができる超能力者、妻・ヨルは殺し屋だった!
3人の利害が一致したことで、お互いの正体を隠しながら共に暮らすこととなる。
ハプニング連続の仮初めの家族に、世界の平和は託された――。
スタッフ
原作:遠藤達哉(集英社「少年ジャンプ+」連載)
監督:古橋一浩
キャラクターデザイン:嶋田和晃
総作画監督: 嶋田和晃 浅野恭司
助監督:片桐崇 高橋謙仁 原田孝宏
色彩設計:橋本賢
美術設定:谷内優穂 杉本智美 金平和茂
美術監督:永井一男 薄井久代
3DCG監督:今垣佳奈
撮影監督:伏原あかね
副撮影監督:佐久間悠也
編集:齋藤朱里
音楽プロデュース:(K)NoW_NAME
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
制作:WIT STUDIO×CloverWorks
OP:「ミックスナッツ」Official髭男dism
ED:「喜劇」星野源
キャスト
ロイド・フォージャー:江口拓也
アーニャ・フォージャー:種﨑敦美
ヨル・フォージャー:早見沙織
フランキー・フランクリン:吉野裕行
シルヴィア・シャーウッド:甲斐田裕子
ヘンリー・ヘンダーソン:山路和弘