春アニメ『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー役:早見沙織さんインタビュー|殺し屋&母親役を演じることから見えた家族の関係性【連載第3回】
話題のTVアニメ『SPY×FAMILY』が2022年4月9日23時よりテレビ東京他にて放送されます!
『SPY×FAMILY』は、『少年ジャンプ+』(集英社)に連載中の遠藤達哉さんによるコミックス。2019年3月より連載がスタートし、最新コミックス9巻までのシリーズ累計発行部数が1,500万部を突破している人気作品です。
本稿ではTVアニメ放送を記念して、フォージャー家を演じるキャストにインタビュー。第3弾はヨル・フォージャー役の早見沙織さんに、作品の見どころやキャラクターの魅力はもちろん、様々な観点から家族の関係性について語っていただきました。
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ロイドとヨルは対照的な二人
ーー原作を読んだ感想をお聞かせください。
早見沙織さん(ヨル・フォージャー役/以下、早見):最初はオーディションの時に原作を読んだんですけど、オーディションのために読んでいるという気持ちを取っ払って、ずっと読んでしまうぐらい引き込まれましたね。
作品は重すぎず、軽すぎず、ギャグもあり、シリアスもあり、キャラクターもバリエーションに富んでいる。良いバランスなので、ずっと読んでいられるんです。「今日はここまでにしよう」と決めて読みましたが、「次はどうなるんだろう?」と気になって、一気に最後まで読めるような作品になっていると思いました。
ーー早見さんが演じるヨル・フォージャーというキャラクターについてお聞かせください。
早見:ヨルさんはとても純粋で一生懸命な人だなと思いました。彼女は殺し屋という「THE裏稼業」の職業には就いていますけど、その経緯や思いを知ると、その響きとは裏腹のすごく純粋な気持ちがあって、まっすぐで魅力的な人だなと感じました。
ーーアーニャ・フォージャー(CV:種﨑敦美)についてお聞かせください。
早見:アーニャに関しては、とにかく動きや表情が本当にかわいい女の子だなと思いました。ただ、アーニャ本人が持っている能力があるので、時には暗躍するというか……(笑)。本人なりの年相応の子が考える大人たちのために暗躍する様子や頑張っている姿を見ていると、いじらしくて、かわいいなと思います。
ーーロイド・フォージャー(CV:江口拓也)についてお聞かせください。
早見:ロイドさんは『SPY×FAMILY』という作品の中で見せ始めた顔の方が、本当はイレギュラーなんだろうなと思いました。これまでの任務は、もっとスマートでクールにこなしてきたんだろうと思えるような人で、頭の切れる感じが随所に見られる人なんですよね。
でも、この作品は『SPY×FAMILY』なので、本来持っているロイドさんの切れ者の部分がどんどんからまわっていくんですけど、そこが「ロイドさんって、かわいらしいな」と読者として感じてしまいます。意図していないとは思いますけど、ロイドさんの二面性の部分を見ているというか、かわいらしい人だなと思いますね。
ーー演じてみて、改めて発見したことはありますか。
早見:原作を読んでいた時も思っていましたけど、『SPY×FAMILY』はキャラクターが心の中で思っていることとセリフに出ていることが違うので、そういうところで面白く見せていく作品ですよね。でも、ヨルさんはそんなに違わないというのがかわいいなと思います。
特に、もともとやっている殺し屋という稼業に対しての葛藤とか、普通の人の暮らしの感覚と自分は違う道に来てしまったんだという、そこに対するモヤモヤした思いというのはずっと抱えてはいますけど、まっすぐな人です。
たとえば、ロイドさんがミッションのために、自分の境遇(嘘)を話している時も、モノローグとかでは「何ていい人なんだろう」と思ったりするんですけど、それはそのまま表情に出ています。
人に対する印象とか、アーニャに対する会話の中でのやりとりも「自分はそういう仕事をしているから、人をだます」という気持ちが全くなくて、すごいなと思ったら、すごいなという表情になるし、モヤモヤってなったら、モヤモヤという表情になるし、意外に素の部分が連結している人だというのはアニメでけっこう感じましたね。
というのも、ロイドさんがけっこう真逆なんですよね。2話は仕立屋で出会ったロイドさんとヨルさんが会話するシーンがあって、その会話の中でお互いに探り探りやっていくんですけど、けっこうヨルさんはそのままのことを言って、そのままのことを思っているんです。
でも、ロイドさんは頭の中で全然違うことを考えながら、同時に口からは違うことを言っていて、それが成立させられるというのがロイドさんのすごいところだと思います。
たとえば、ヨルさんから「先程からジロジロと……何かご用ですか?」と言われて、ロイドさんのモノローグでは「視線まで気取られただと…!?」と言っているんですけど、セリフだと「あ…いえ、キレイな方だなと思って…すみません」と言えている。
ナチュラルにそれができるというのがロイドさんのすごいところなんです。自分の口から「まずはこういうことをしてみませんか?」と言いながら、脳内で「この先はこうして、まずはこうしてやっていく」というのを考えられる部分があって、それとは対照的に、ヨルさんの素直さみたいなものが出てくるのは、演じてみて初めて感じたことかもしれませんね。