特にこだわったのは「手」の描写!? アニメで描かれなかった平野と鍵浦の話がなんと……? アニメ『佐々木と宮野』石平信司監督 インタビュー
「だれかを好きになること」を応援してくれる、爽やか青春男子高校生LIFEを描いた人気漫画『佐々木と宮野』(著者・春園ショウ)。本作のTVアニメ化作品が2022年1月から3月まで放送されました。
アニメイトタイムズでは本作で監督を務めた石平信司さんにメールインタビューを実施! 原作の魅力や全12話を振り返った感想など、原作・アニメをもう一度見返したくなるお話をたっぷり伺いました。
いかに再現するかにこだわりました
――『佐々木と宮野』の原作を読んだ感想や魅力を感じた点をお聞かせください。
石平信司監督(以下、石平):読んで真っ先に「絵が可愛い」という印象を受けました。キャラの造形そのものも、表情もとても可愛らしく、「これはアニメ映えするぞ」と思いました。ストーリー展開も絶妙に先が気になる構成で、憎まれ役も不在で暖かい気持ちになり、読み心地がいいなーと感じました。
――今作に関わることになった経緯をお聞かせください。また上野助監督やシリーズ構成の中村能子さん、キャラクターデザインの藤井まきさんなどのスタッフ組みのポイントをそれぞれ聞かせください。
石平:「このマンガのアニメ化の打診が来てまして、監督携わってみませんか?」と単行本を渡され、1巻に目を通して引き受けますと即答しました。どちらかというとファンタジーやバトル系をメインに監督してますが、スタジオDEENさんで以前「SUPER LOVERS」という作品を監督した経緯もあって、僕が起用されたのだと思います。中村能子さんは「SUPER LOVERS」でご一緒しており、再びシリーズ構成をお願いしました。助監督はスタジオDEENさんに「若手で活きのいい方を」とオーダーしたら上野壮大君を連れてきてくれました。キャラクターデザインの藤井まきさんもスタジオDEENさんの紹介ですね。
――アニメ化の際に意識された点や苦戦した点などありましたら教えてください。また原作の春園ショウ先生や編集サイドからオーダーはありましたか?
石平:フィルムの空気感や雰囲気を大事にしたいということと、とにかく原作の良さをいかに再現するかにこだわりました。カラー原稿のイメージも再現したかったので、色彩や発色は助監督の上野君にかなり頑張ってもらいました。
あとは「手」の描写。春園先生からも手の表現にこだわりがあると聞いていたので、アニメでも注力しました。先生にはコンテもチェックして頂きました。細かい表情などは直接メモなど描いて頂き、おかげでキャラクターをつかみやすくなり、大変助かりました。アフレコも毎回参加してくださって、台詞のニュアンスなどもその場で確認しながら作業できたので、そういった積み重ねがフィルムに反映されたと感じています。
――全話通してお気に入りのシーンやエピソード、キャラクターを教えてください。
石平:佐々木と宮野二人のエピソードはもちろん色々印象深く残ってますが、二人をとりまく友人たちとのワチャワチャしたやりとりが楽しくて好きですね。登場キャラはみんな好きです。でもやっぱり女装がらみの8話のエピソードで佐々木が鍵閉めるあたりが「うっわ」となりましたね。ED曲もかけない演出、余韻を残す終わり方になったかと。