
10周年を越え“ClariS第二章”が幕開! アルバム『Parfaitone』ClariSインタビュー「今までの私たちらしさも、これからのClariSも、全部感じていただける、パフェのような1枚に仕上がりました」
『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』の収録曲は3曲連続で
──ではアルバムについて具体的に教えてください。『Parfaitone』は本当に個性豊かな曲が揃っています。中でも『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズとの再タッグとなる『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』のアニメ・アプリのタイアップ曲「ケアレス」「アリシア」「シグナル」が3曲目から5曲目まで連続で収録されていることも、今作の特徴なんじゃないかなと。
クララ:『マギアレコード』の楽曲は3曲ともメッセージ性が強いですし、それぞれのキャラクター性を汲んでいる歌詞が多いんですが、普段の日常生活にも寄り添ってくれる言葉があって。元気を与えたいという「Fight!!」 (TVアニメ『はたらく細胞!!』EDテーマ、7曲目収録)とはまた違った曲調だと思うんですけど、そんな中でも、寄り添って、背中を押してくれるような楽曲だなと。
「シグナル」「アリシア」「ケアレス」の順にリリースさせていただいているんですけど、光の見えなかったところから実際に掴んでいくところまでが見える3曲になっています。こうして3曲並んで聴けるというのもアルバムならではだなって。
カレン:そうですね。キャラクターの成長もそうですけど、私生活で迷いや葛藤がある中で、そこから抜け出すために決意できるような歌詞があったり、一歩を踏み出した先の景色があったり。どんどん前向きになっていくような歌詞になっています。この3曲はセットで聴いてほしいです。
──『まどマギ』シリーズとお付き合いが長いClariSさんだからこその深みのある表現になったと思います。
クララ:ありがとうございます。『まどマギ』の映画振りなのでかなり久しぶりになるんです。やっとというか。また関わることができるんだなという嬉しい気持ちでいっぱいの気持ちです。『まどマギ』シリーズの楽曲として愛していただけることもとても嬉しいですね。
──今お話にあったTVアニメ『はたらく細胞!!』の「Fight!!」は、「アリシア」の作詞、作曲を手がけられた毛蟹(LIVE LAB.) さんが編曲を担っている曲。応援歌というべき曲で、『まどマギ』シリーズの曲とは良い意味でまったく違った明るい雰囲気に。
クララ:そうですね(笑)。歌っていて自分も元気をもらってしまうくらい、すごく力をもらえる曲になっていて。笑顔になれるような、思わず身体が乗ってしまうようなアップテンポの曲で、皆さんの日常に幸せなひとときを与えられていたら良いなと思う曲です。キャッチーなメロディでもあるので、普段の日常で口づさんでいただけたらその日1日がハッピーになるんじゃないかなと。元気がないときはもちろんなんですけど、元気がある時に聴くとさらに元気になると思います(笑)。
──そういう意味では、栄養ドリンクにも近い最強なハッピーソングですね(笑)。
クララ:はい、最強のハッピーソングです(笑)。『はたらく細胞』にちなんで、ふたりとも身体の細胞に掛けるように歌っているので、身体の中から元気になれると思います。同時に、自分の身体とも改めて向き合って、見直して、自分のことも大事にできるような楽曲にもなっているんじゃないかなと。
新たな挑戦が詰まった新曲盛りだくさん!
──新曲についてもおうかがいさせてください。2曲目「Twinkle Twinkle」は栗原暁(Jazzin’park)が手がけられたナンバー。全体的にレトロな雰囲気もありつつも、ブロックごとに表情がくるくると変わっていきますよね。
クララ:たくさんの曲の中を聴かせていただいた中で「好きだな。この曲は歌いたいな!」と思ったものです。80年代、90年代のレトロな雰囲気もありながら、現代っぽさ、洋楽っぽさもあって。私たちもレトロな雰囲気の曲を歌ってきたので、そういう意味では今までのClariS感もありながら、新しさもあるんじゃないかなと。楽曲自体は大人っぽい雰囲気なんですが、歌詞には可愛らしさもあって。今までのClariSの少女感もありながら、大人になって進んでいった先の私たちが組み合わさった楽曲だなと思っています。
カレン:これからの私たちが想像できる楽曲だなと思っています。最初は格好つけて歌ってみたり、Aメロをお洒落っぽく歌ってみたり。大人っぽくセクシーな一方で、ファンシーさやロマンチックさもあって、1曲の中でいろいろな私たちが出てきます。1曲を通して、いろいろな私たちが組み合わさっていて。このアルバムでいちばん表現したかったことが、伝わるのかなと思っています。
──聴いている側としてもいろいろな発見がある曲でした。ClariSとして今後の指針ともなる曲ですか?
クララ&カレン:そうですね。
クララ:これまでも大切にしつつ、また新しいところに進んでいくという私たちの思いを感じていただけるんじゃないかなと思っています。
──6曲目「missing you」はエモーショナルな曲ですね。
クララ:雨という天気って憂鬱な気分にさせるものがあって。でも切ない中にもその先の雨が止んだ先に見える虹だったり、光だったりという温かさもある曲で。その中でも私たちClariSが、2年間コロナで思うように活動できなかったことや、今の心情ともリンクするものがあって。Dメロは特にそうなんですが、この2年間さびしい気持ちを抱えていたけど、それでも見せたい景色があるという歌詞が今の私たちのファンの皆さんに対する気持ちにぴったりだなと感じています。作詞してくれた丸山真由子さんは今までも私たちの曲を書いてくださっているので、そんな思いを汲み取ってくれたのかなって。<迎えに行こう>って言葉選びがすごく好きで。近い距離感で、皆さんの手を取りに行くという雰囲気が出ているなと感じているので、曲を楽しみつつ、そんな思いも伝わればいいなと思っています。
カレン:聴く人によっていろいろな捉え方ができる楽曲だなと思っていて。クララの言っていたこともそうなんですが、私もコロナ禍になって会えない人がいて。それ以外にも、去年ワンちゃんが亡くなってしまって。そういうお別れにも重なるなって思っていました。形があるものっていつか無くなってしまったり、お別れしてしまったりしちゃうんですけど……例え無くなっても自分さえ覚えていればいつでも心のなかで会えるし、どこにでも一緒に行ける。<2人だけの永遠>という言葉が素敵だな、温かいなって感じています。いま会えない人だけではなく、もう会えなくなってしまった方、大事な家族、人も思い浮かぶのかなって思います。
GLAYのTAKUROさんとの初コラボレーション!
──10曲目の「瞳の中のローレライ」は、北海道つながりでもあるGLAYのTAKUROさんが作詞・作曲を手がけられています。アルバムの中でも、特に大きな挑戦と言える曲ではないでしょうか。
カレン:そうなんです!
クララ:こういう機会をいただけて本当に嬉しいかったです。最初にお話いただいた時に、「本当に曲をいただけるんですか?」と。ClariSとTAKUROさんがコラボレーションすることが想像できなくて。
カレン:私たちがロックと交わることがなかったので未知の領域というか。本当に素敵な楽曲を作っていただきました。私たちはロックに初挑戦ということで、大きな意気込みを持って挑みました。
──雅やかさもありながら、力強いロックな曲で。
クララ:良い意味で私たちが歌ってなさそうな曲だったので、最初は「どういうふうに歌えばいいのかな?」ってワクワクと同時にいろいろな思考がめぐりました(笑)。でもそういう楽曲をいただけたからこそ気づけたことも。というのも、いつも通りに歌ってしまうとこの楽曲に負けてしまうんですよね。そういった意味でも挑戦の曲になりましたし、新しい挑戦になりました。
カレン:歌詞も「ファンの方から見たClariSの存在なんじゃないか」って言っていただけて。例えば冒頭の<謎が解けるこの瞬間>という言葉は私たちが仮面を外した瞬間だったり、<ローレライ><セイレーン>など歌姫に形容して私たちのことを書いていただいていたり。TAKUROさんからの愛を歌詞からも感じるような楽曲で歌うことが嬉しかったです。
──本当に愛にあふれていますね。それでいて、歌い方次第では曲に負けてしまうという、自分たちとの戦いでもある曲。
クララ:ClariSの楽曲でここまで力強く歌うってことはあまりなくて。さきほどお話した通り、キラキラした楽曲をメインにしてきたので、そういった(力強い)歌い方をまったくしてこなかったんです。したとしても一部分で。だからすごく気合いが入っていました。一つ一つの楽器の力も強いので、いつもと違う体力、気力を使って、燃え尽きるまで歌いました。歌い終わったあとはふたりとも燃え尽きたような感じになっていて。
カレン:本当にそういう感覚でしたね。
クララ:メロディがすごく速いわけではないんですが、畳み掛けるように歌っていて。難しい部分もたくさんあったんですけど、頑張って歌いました。新しい挑戦を早く皆さんに聴いてもらいたいです。
──重永亮介さんが手がけられたスカナンバー「新世界ビーナス」(8曲目)も挑戦といえる曲なのではないでしょうか。
クララ:そうですね。ここまで振り切ったアップテンポのスカ調の曲は少なくて。歌詞もすごく可愛らしくて、<私は未来製で新世界のビーナス>という、わかるような、わからないような(笑)、現代離れしたお話で。それこそキラキラした世界観を感じられる1曲だなと思っていて。私たちも歌う時は楽しい気持ちで歌いましたし、「新世界のビーナス」をイメージして、キラキラした自分になった気持ちで歌いました。
カレン:実は5年前くらいから温めていたものなんです。以前もらった時、シングルに合わせることができなくて「今回は歌えないけど絶対にいつか歌いたい」と思っていたんです。でも今回は絶対に歌いたいと挑戦しました。歌っているほうも、聴いている方も笑顔になれるハッピーな楽曲なので、ノリノリで歌って。楽しく歌うことができました。
──12曲目の「Mermaid」はすごく切ない曲ですね。
クララ:そうなんです。タイトルどおり、人魚姫の気持ちを歌った曲になっています。私個人としてはソロ曲で切ない恋の歌や、大人びた女性の感情の歌は歌っていたんですが、ふたりでここまで切ない楽曲に挑戦するのがはじめてだったので、そういった意味では、またひとつ新しいClariSを見せられる楽曲になったと思います。
カレン:この楽曲を作っていくときにディズニーの『リトル・マーメイド』の主人公をモチーフにした歌詞にしたいなとふたりで思っていて。主人公のアリエルは大きな代償と引き換えに自分の夢を叶えるじゃないですか。それってすごく勇気のいることだし、強くないとできないことだなと感じていて。女の子って言いたいことを秘めがちで、気づいてもらえるのを待ってたり、何も起こせないまま気持ちを閉じ込めたりすることが多いけど、一歩を踏み出すことでいろいろな選択肢が広がったり、思った結果とは違っても自分の中で変わったりすることがあるよねってクララとも話していて。そういった方の背中を押せるような楽曲になったと思います。
──この曲には「」がついたセリフの言葉があって。アルバム全体にセリフのある曲が多いなぁと思いました。そういう意味でも新たな挑戦なのかなと。
クララ:確かに! そういうものがあることで、さらに曲の厚みが増したり、それがキーワードになっていたりするので。
カレン:コロナが落ち着いて、みんながまた声を出せる状態になったら、セリフのところを言ってもらいたいなって。私たちが一方的に曲を届けるのではなく、一緒に参加して、その曲を作り上げることも私たちが好きなので。今回はセリフの部分がすごく多いので、皆さんに覚えていただき、できる時が来たら思いっきり叫んでいただきたいなと思っています。