音楽
土岐隼一1stフルアルバム「Good For」発売インタビュー

土岐隼一さん1stフルアルバム「Good For」リリース記念インタビュー!  歌詞やサウンドなど大人っぽく落ち着いた雰囲気漂うアルバムで、今までにない「土岐隼一」を表現!!

元気が出るけど大人っぽい雰囲気の表題曲「Good For」。イメージは「年上のなんちゃって風アドバイス」?

――その表題曲&リード曲の「Good For」ですが、スチールギターと派手なホーンの音色などリズムを刻みたくなる軽快な曲ですね。

土岐:「元気が出る曲だけど大人っぽい雰囲気」と、「聴いていて何も考えずに楽しくなれる曲」とお願いしました。歌詞は端的に言うと「大人からのアドバイス」のイメージです。
 
今までは同じ目線に立っていたり、背中を押してあげたり、引っ張ってあげたりなど寄り添う歌詞が多かったけど、今回は歌詞もちょっと大人の目線です。

年上の人と話した時に、これまでの経験則から出てくる何気ないアドバイスやひと言は、印象に残ることが多い気がして。すぐに刺さるまじめな助言ではなく、適当だけど的確な、「なんちゃって」風アドバイスをふわっと言える先輩は素敵だなと思って、そういう雰囲気をこの曲にも入れたくて、RUCCAさんに作詞していただきました。

――「此処から 君へと届けられる 願いを 音楽に込めるんだ」は土岐さんの音楽活動での想い、「今日も絶えず届く Mail box 匿名 “お悩み”」はパーソナリティとしての土岐さんを表しているのかなと。

土岐:僕のラジオ番組『Time With You』にも、自分の進路や友人との付き合い方などお悩みメールがたくさん届くんですけど、SNSなどで客観的な意見や評価を目にする機会が増えたことも大きいのかなって。でも遠慮したり気を遣っても、トラブルは起きるかもしれないし、外からの目を気にせずに行動してみた方がいいと思うんです。

失敗したらヘコむかもしれないけど、何とかなるものだよというメッセージを、陽気なリズムにのせて伝えれば、気軽に受け取ってもらえるかなと。みんなより少し年上の人からの、アドバイスでもないアドバイスとして聴いてもらえたらいいなと思います。

――「Good For」のMVのコンセプトや、どんな撮影だったのかご紹介お願いします。

土岐:曲のコンセプトと同じく、「ちょっとヤンチャしても何とかなるよ」というエッセンスがふんだんに盛り込みました。僕が電波ジャックして、勝手に自分の曲を流すなど、今まで以上に攻めたMVになっているので見てほしいです。

「Nonfictional」、「半端なDistance」、「original scenery」は、クリスマスコンセプトシングル「Party Jacker」の主人公のその後をイメージ

――では他の収録曲のお話も。まず1曲目の「Nonfictional」はジャジーでおしゃれ感があって、歌声もクールで達観した感じだなと思いました。

土岐:レコーディングの最初の方に録った曲です。大人っぽさについて考えた時、今、20代の頃を振り返るとやみくもに生きていたけど、年齢を重ねていくうちにできることが増えた分、ちょっとした変化には動じなくなってきました。

もっと冒険してもいいのかもと思いつつ、今の状況も悪くないし……その繰り返しが大人になることかなと、30代になってからふと思うことが多くなったんです。そんなふわっとしたイメージを曲にしてみました。大人の余裕が良くも悪くもある人の曲という感じでしょうか?(笑)

1月のライブでも披露させていただきましたが、自分が好きな曲調だったこともあり、初歌唱と思えないほど自然に歌えました。

――「半端なDistance」は、大人の男女のおしゃれな駆け引き、ラブゲームを歌っているような…。

土岐:この曲や「Nonfictional」、「original scenery」には裏テーマみたいなものがあります。2019年にリリースしたクリスマスコンセプトシングル「Party Jacker」の主人公が成長した未来の姿なんです。

「Nonfictional」ではすっかり落ち着いて、「半端なDistance」ではギラギラ感がより増した感じ、「original scenery」ではナイーブになっています。20代の頃はすぐ恋愛に結果を求めがちだけど、ある程度大人になると、ジリジリした距離感さえも楽しめるんじゃないかなと思うんです。

だからサウンドも「Party Jacker」のような疾走感ではなく、ゆったりとしたリズムの中に大胆な雰囲気を漂わせているのが、「半端なDistance」の魅力かなと思っています。

――「original scenery」はヒップホップとR&Bの要素が入った曲ですが、歌詞は故郷・郷愁を歌っているのがおもしろいですね。

土岐:「Party Jacker」のようなギラギラした若者も、年をとると落ち着いた魅力を見せるようになるものです。でも、心の中にはエネルギッシュさも残っていて、それを出さないのは大人の余裕なのかなと感じます。
 
タイトルは「原風景」を意味していて、20代の時は早く独り立ちしたいとか、故郷を抜け出したい、みたいな気持ちがあると思うんです。

そして独り立ちして、移り住んだ都会の色に染まり、また故郷に戻ってくると、昔は好きではなかったその場所に懐かしさや愛おしさを感じて、「自分の街も案外悪くないな」とか「自分の原風景ってここなんだな」と思えるもので…。そんなことをRUCCAさんにお話しして生まれたのがこの歌詞です。

――この曲を聴いたら、ふと実家に帰ったり、親に電話したくなりました。

土岐:そう思ってもらえたら嬉しいですね。30~40代になって都会の生活に疲れた人には、郷愁や愛おしさを感じてもらえるんじゃないかな。
 
10~20代の時は生きること、一人前になることに必死で、そこを超えた頃に振り返る余裕が出てくるんだと思います。僕と同じように実家にしばらく帰っていない声優さんも多くて、30代になってから帰ったというお話もよく耳にしました。

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