声優の浅沼晋太郎さんが東北6県を巡るフォトブック「みちのおく」発売記念連載インタビュー|福島県出身の俳優・早乙女じょうじさんをゲストに迎え、福島トークを展開!話の中で思いついた“あること”とは?
声優の浅沼晋太郎さんが、故郷・岩手県を含む東北6県を巡るフォトブック「みちのおく」を3月31日に発売。撮影を通じ、より東北のことを知りたくなったという浅沼さん。
アニメイトタイムズでは、そんな浅沼さんの思いを6回に渡ってお届け。東北6県出身のゲストを迎え、トークを繰り広げる。
第4回のゲストは、福島県出身の俳優・早乙女じょうじさん。10年来の付き合いのお二人は、共にサウナ好き。“楽しい”を詰め込んだ「みちをおく」のページをめくり、トークするうちに、あることを思いついたようで……?
自分の存在を通して地元の“楽しい”“美味しい”を伝えられたら
――お二人は付き合いが長いんですか?
浅沼晋太郎さん(以下、浅沼):出会いは僕が演出・脚本を務めたVISUALIVE『ペルソナ4』(2012年3月)です。じょうじが出演してくれて、そのときに東北出身って聞いたんだっけ?
早乙女じょうじさん(以下、早乙女):そうですね。だから付き合いはもう10年近くになります。僕の出演舞台を観に来てくれたり。あと、お正月には“あけおめ”メールをくれますよね。毎年期待するんですけど、来ない年もある……。
浅沼:本当に? 毎年送ってるつもりだった(笑)。ごめんね?
早乙女:いえいえ、連絡くれるだけで嬉しいですよ(笑)。
浅沼:(笑)。今回、『みちのおく』の撮影で福島を訪れたんだ。ハワイアンズに行こうという話も出てたんだけど、許可を取るのとかなかなか大変じゃない? そんなときに、福島出身でこの本の撮影をしてくれた小林(裕和)さんが『鶴ヶ城の紅葉は綺麗ですよ』って教えてくれて。
早乙女:鶴ヶ城いいですね。福島って四季折々を楽しめる土地なんです。紅葉もすごく綺麗だし、雪の中佇む鶴ヶ城も素敵ですよ。
浅沼:あと、白虎隊や新撰組の存在も欠かせない。そうそう、今でも厳しいおうちだと、鹿児島や山口の方には距離を取るところもあるって話を聞いたんだけど本当?
大阪出身の知り合いが会津出身の方の実家にご挨拶しにいくとなったとき、『芋焼酎は絶対に手土産に持ってこないで』と言われたらしくて。
早乙女:そういう古いしきたり、あるところにはあるでしょうね。これが理由で、会津にはふぐ料理屋がないとも言われていますから。
――早乙女さんは最近、福島に帰りましたか?
早乙女:本当は昨年末に実家に帰りたかったんですけど、やっぱりこのご時世なので控えたんですよ。
浅沼:なかなか帰りづらいよね。実家はどこらへんなの?
早乙女:福島市ですね。実家が桃農家を営んでいるんですよ。
浅沼:そうなんだ! 桃好きだなぁ。福島の桃は名産品だもんね。
早乙女:昨年の東京オリンピックで、アメリカソフトボールチームの監督が「福島の桃を6個食べた。とてもデリシャスだった」とコメントして話題になったんです。桃というと山梨のイメージが強いかもしれないけれど、福島の桃も最高なので、ぜひ食べてほしいです。
浅沼:お、これはじょうじの実家の桃をいただける流れ…?
早乙女:はい、お母さんを紹介しますね。
浅沼:それはちょっと緊張するわ(笑)。じょうじから買わせてよ。
早乙女:(笑)。福島で美味しいもの食べました?
浅沼:馬刺しも食べたし、喜多方ラーメンも食べた。あと、なみえ焼そばも!
早乙女:いいですね。僕の住んでいた地域は、喜多方も浪江も離れていたし、高校卒業を機に上京したので、どちらもあまり馴染みがなかったんですよ。
浅沼:高校時代って、お金もないもんね。近所になければ、食べる機会がないかも。
早乙女:でも、2019年に劇団ナイスコンプレックスの舞台『YAhHoo!!!!』に出演させていただいて。
浅沼:東京公演観に行ったなぁ。
早乙女:そうなんですね! 僕は、いわき公演にのみ出演したんですよ。
ヴィジュアル解禁 #YAhHoo!!!! #ナイコン #ヤッホー
— ナイスコンプレックス (@gekidan_naikon) April 26, 2021
【風露草太 役(共通)】 昨年に引き続きましてこの方!!!! #早乙女じょうじ さん
地元の視点と先輩としての視点の両方で優治と木蔦を温かく見守ります!!
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――どんな作品なのですか?
早乙女:『YAhHoo!!!!』は浪江町が舞台で、震災後の福島の復興を描きつつ、福島を元気にしてくれるような作品です。劇中になみえ焼きそばが出てくるんですよ。それまで僕、福島出身なのになみえ焼きそばを知らなくて。
こうやって地元を離れた後だけど、福島のことを知るきっかけができたのは、幸せな経験だったなと感じているんです。
浅沼:地元なのに知らないことって結構多いよね。 “東北人なのに東北を知らなすぎる”っていうのも『みちのおく』を作ったきっかけのひとつで。東日本大震災は、これまで漠然としていた“故郷を思う気持ち”に向き合うきっかけになったよね。
それは、このコロナ禍でも感じたんだよ。僕のことを知らない人なんてまだたくさんいるし、故郷に錦を飾れるような存在には全然なれていないけど、昨年“希望郷いわて文化大使”に任命されて、今なら少しは東北の力になれるのかもしれないって。
それで、自分も知らない東北の地を巡る姿をまとめて、行きたいと思ってくれる人がいたらいいな、楽しいと思ってくれたらいいなって。
早乙女:『福島出身です』と言うと、反応が分かれるんですよ。『福島って素敵な場所だよね』と『あのとき、大丈夫だったの?』の二つ。今でも、後者のほうが圧倒的に多くて。なんだか調子がくるうというか……福島のいいところを知らない人のほうが多いんだということを目の当たりにするような。
桃が美味しくて、海鮮が美味しくて、鶴ヶ城が美しくて、ということを知ってほしいなって。僕が東北のお仕事をするときは、自分を通して“楽しい”とか“美味しい”とか、良いところを知ってほしいと思いながら臨んでいるんです。まさに『みちのおく』は、その気持ちに通じるものを感じられて素敵です。
浅沼:わぁ、嬉しい。