春アニメ『サマータイムレンダ』ヒロインの妹である小舟澪役・白砂沙帆さんインタビュー|「私も和歌山県出身なので作品に思い入れがあります。澪役に受かったと聞いて号泣してしまいました。 “声優になって良かった”と思いました」
ヒロイン演じる永瀬アンナさんは「ストイック」
――ヒロインを演じる永瀬アンナさんは東京出身。白砂さんからアドバイスされることはあるんでしょうか。
白砂:全然ないです(笑)。基本的に音響監督や方言指導の先生、原作者の田中先生がご指導してくれるので。田中先生が伝えてくださったことを練習しているときに少しお手伝いをすることはたまにあります。アンナちゃん自身が本当に努力家で、ストイックで!潮そのまんま。本当にすごいです!
1話のときは少し苦戦していた様子でしたが、2話からは完璧に和歌山弁を入れてきていて。お芝居もすっごく素敵だし、「住んでたの!?」っていうくらいイントネーションが完璧で。私が普段聞いてきた和歌山弁が「ああ、こんなに素敵な言葉だったんだ」ってアンナちゃんに気付かされるくらいです。
――1話を拝見させていただいたんですが、まったく違和感なかったです。
白砂:ないですよね! 自然と出ている言葉という感じがします。花江(夏樹)さんも見ていて思うんですが、「すごいなぁ、嬉しいなぁ」って。
――小西克幸さんは和歌山出身。アフレコは感染対策の都合で全員ご一緒というのは難しいかもしれませんが、何かお話されましたか?
白砂:一度ご一緒させていただいたときに、お互いに和歌山出身ということでお話をさせていただきました。私自身は和歌山弁を喋ることはできますが、それを人に説明するとなると難しいです。でも小西さんは、他の役者さんが方言で苦戦されているときに、物凄く丁寧に伝えられていて。「ああ、こうやって伝えたらいいんだ!」って気付かされました。方言指導の先生がいらっしゃらない時にも、パッと「今ので合ってるよ」と伝えたり、「この部分を強くすると和歌山弁に聞こえるよ」とイントネーションをアドバイスされたり。周りをすごく見てくださっているんですよね。本当に頼もしくて、場を明るくしてくれます。大先輩の多い現場なので、私は恐縮してしまうんですが、南方ひづる役の日笠陽子さんと小西さんは現場をすごく盛り上げてくれるんです。休憩中には和歌山の話をよくしています。
――例えばどんなお話をされているんです?
白砂:先日、私とアンナちゃんで和歌山にロケに行ったんです。その直前のアフレコで小西さん、日笠さんとご一緒できたので、「和歌山に行くんです!」というお話をしたら、小西さんが和歌山の良いところ、行ったほうがいい場所を私達にたくさん教えてくれて。小西さんがめちゃくちゃ詳しいんですよ! 「アドベンチャーワールド(白浜町のテーマパーク)のパンダの柵はこうなってるから、こうやって見るんだよ!」とか(笑)。それで日笠さんが「えーっ、行ってみたい!」って。そんな感じで和気あいあいとしているので、アフレコもすごく楽しいです!
――そのロケで舞台となる「日都ヶ島」のモデル、友ヶ島にも行かれたそうですね。
白砂:はい。この潮風を浴びて、土を踏みしめて、澪たちは生きているんだって思うと感動で泣きそうになってしまいました。すごく素敵な島です。ぜひ聖地巡礼してほしいですね。
――離島でありながらも意外と行きやすいとうかがったことがあります。
白砂:そうですね! 見るところもたくさんあるので、いろいろなところに寄りながら行っても楽しいと思います。ぜひ、原作も一緒に持っていって欲しい…(笑)。私はひづるさんがぶら下がっていた木を見て、ものすごいテンション上がりました! 作品、キャラクター、和歌山の魅力を知っていただける機会になると思うので、ぜひ遊びに行って欲しいです。美味しいものもたくさんあります!
花江さんは「慎平のよう」
――改めて澪のキャラクター性についても教えて下さい。
白砂:(姉の)潮とは正反対な所が多いなと。とっても素直で、健気で、等身大の16歳。すごく良い子なので応援したくなるし、見守ってあげたくなります。きっと嫌いと思う人はいないんじゃないかなぁ。でもその中にちらつく、潮に対する憧れからくる感情、嫉妬もあって。ただ純粋にいい子なだけではなく、いろいろなことを考えているところも好きですね。
――本作には“影”と呼ばれる、人間をコピーした存在も登場します。澪にも影が存在しますが、影ミオを演じるときはどのような意識のもとで演じ分けられているんでしょうか。
白砂:影ミオには澪の黒い部分が詰まっています。原作だと漢字とカタカナで表記が分けられているのでわかりやすいところだと思うんですけど、アニメだと見た目的には一緒。いわゆる一人二役的なところはあるので、緊張しました。
澪を演じるときは、セリフにない部分にアドリブで息を入れさせていただくことがあるんです。一方、影ミオの時は息は極力なく、淡々と……1話のときは「極妻みたいなイメージで」って言われました(笑)。
影ミオのお芝居で苦戦したのは、「人を殺したいほど恨んだり、憎んだりした気持ちを思い出して」というディレクションをいただいたときに、「20代前半なのでさすがにそういうことはまだないかもです!」と(笑)。そういうお話をしつつも、影ミオはそれくらい強い憎しみを持ちながらも、淡々と演技するというか。感情を入れてお芝居をすると「もっと淡々と」というディレクションをいただくことが多いので、そこは意識するようにしています。
また、いつもの澪のシーンでも、感情が揺れ動いたときに、影ミオがちらつく瞬間も作りたいなとも思っています。逆に、影ミオを演じる時も普段の澪を意識することも。影ミオはまったく無のところからはじまった人格ではなく、あくまで澪の影で別人ではないということは意識しています。どちらの澪も好きになってもらえたら良いなと思っています。澪もミオも私は大好きです!
――役柄的に花江さんとのやりとりも多いと思うんですが、花江さんとはどのようなお話をされていますか?
白砂:役として掛け合うシーンが多いので、アフレコではいちばんご一緒させていただいていると思います。特に1話、2話は慎平と澪が喋るシーンがたくさんあって。私自身がお芝居で躓いてしまうこともあったんです。花江さんはもうオッケーが出ているので帰っても問題ないんですけど、「相手がいるほうがやりやすいから」ということで、私の芝居にオッケーが出るまで優しく掛け合いに付き合ってくださって。
――すごく良い先輩ですね。
白砂:本当に! 役どころ的にも主人公ですし、慎平の人柄ともリンクして、本当にヒーローのようというか。作品を引っぱってくださっています。