春アニメ『社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。』OPテーマ「Cherish」石原夏織さんインタビュー|「忘れがちなことに気づかせてくれるフレーズが特に好きです」
声優・アーティストとして多彩な活躍をみせる石原夏織さんの8thシングル「Cherish」が、2022年4月27日(水)にリリースされます。
表題曲は、TVアニメ『社畜さんは幼女幽霊に癒されたい。』のオープニング主題歌。ブラック企業で残業三昧を送る伏原さんと、その体調を心配する幽霊ちゃんたちが織りなすハートフルストーリーである本作を、ポップで可愛さ満点の楽曲が彩っています。石原さんは主題歌だけでなく、伏原さんの隣の部屋に住んでいる倉橋さん家のメイド幽霊・リリィ役として出演しているのも注目です。
幽霊ちゃんたちの可愛さに癒やされている人が続出の本作。そのオープニングを歌う石原さんに、楽曲の聴きどころやMVのこと、カップリング曲「Remember Heart, Remember Love」のことなど、たっぷりとお話をうかがいました。
「Cherish」はライブ初披露から一体感がすごかったです
――石原さんのInstagramを見たら、浅草の有名な甘味処で黒みつきなこ白玉を食べていましたね。
石原夏織(以下、石原):そうなんです。かなり並んでいましたけど、美味しかったです!!
――そういった写真だけでなく、今回の「Cherish」のジャケットを9分割して載せるなどしていたのも面白いと思いました。
石原:あれを作ったのはスタッフさんですけど(笑)、今回の楽曲はSNSと上手く組み合わせてやろう、と思ってやってみました。
――ぜひSNSもチェックしてもらいたいですね。そんな今回のシングルですが、表題曲の「Cherish」は先日の石原夏織 LIVE 2022「Starcast」でライブ初披露となりました。実際にお客さんの前で歌ってみていかがでしたか?
石原:「-Vega-」と「-Altair-」の公演で計4回披露したのですが、「振り付けにも注目してくださいね」と言って歌ったから、最初はみんな一生懸命見てくれていて。でも、回を重ねるごとにノリ方がわかってきたみたいで、最終公演はリリース後なんじゃないかってぐらい一体感がありました。初めて歌った感じがしなかったです。
――自分も最終公演となる「-Altair-」の夜の部を見ましたが、一体感がすごかったです。
石原:かなり出来上がっていましたよね!
――注目して欲しいと言っていた振り付けは手の動きも印象的ですよね。踊るのは難しかったですか?
石原:考え方次第なんですけど、私は全身で踊る方がやってきた歴が長くて楽に感じるタイプなので、手だけで踊るのは難しかったです。全身でのダンスなら、この音に対してはこういうポーズで足はこんな感じだったなと全体として覚えられるんですけど、手だけだと(手が)同じ場所にありつつ形が違うから混乱しちゃうんですよ。
――手の動きが歌詞と連動しているのも面白いです。
石原:そうなんです。ぜひ見てもらいたいです。
忘れがちなことに気づかせてくれるフレーズが特に好きです
――そんな表題曲「Cherish」は、最近の格好いい系や雰囲気たっぷりのシングルとはまた違った可愛くポップな楽曲です。アニメのイメージもあるのかなと思うのですが、どのようなモチーフで作っていったのでしょうか?
石原:この曲は、アニメの制作チームから「幼くて可愛くてスピードの速い曲」というオーダーがありました。それを聞いた時、自分自身の“幼い”がわからなかったんです。これまで自分の年齢に合った曲を歌ってきましたので、私の“幼い”とはいったいなんだろう……? って。それでいろいろ考えた結果、ヒゲドライバーさんだったら、可愛くてポップで明るくて幼さもある曲を上手く作ってくださるのではないかとスタッフさんに提案していただき、お願いしました。
――確かに、最近のシングルは大人っぽさや格好良さも印象的でしたからね。だからこそ、ヒゲドライバーさんのポップでキャッチーなメロディがある種の懐かしさと新鮮さを生み出したというか。ヒゲドライバーさんの楽曲は結構聴いていたのですか?
石原:私は誰が作っているのか見てから聴くタイプではないんですけど、「回レ!雪月花」は印象に残っています。
――曲を聴いた第一印象はいかがでしたか?
石原:自分では自分の幼くて可愛いところは全く想像できなかったですけど、周りの人から見たらこうじゃないかと、すごく腑に落ちたというか。幼さもありつつ楽しくて、(アニメの主題歌としてだけでなく)石原夏織が歌うものとしても成立する楽曲だなと思いました。自分の引き出しをひとつ開けてもらった感じでしたし、「なるほどな」というのが第一声で出た言葉でした。
――アニメの主題歌ということで、ある程度想像していたわけではなかったのですね。
石原:曲を作っている段階では、まだアニメのテンション感はわからなくて。原作を読んで、もっともっとゆったりした曲になるのかなというイメージだったんですよ。
――癒しとか、そっちの方向ですね。
石原:そうです。ほわほわとした感じなのかなと思っていたので、こういう曲調だったのが予想外でした。でも、アニメの制作が始まってからは、ちっちゃい幽霊ちゃんたちが楽しそうにしている様子にとても合っているし、歌詞も伏原さんと幽霊ちゃんたちのやり取りが見えるような内容だったので、作品にもリンクしていくだろうなと感じました。
――歌詞は磯谷佳江さんが書かれていますが、特に印象に残ったフレーズを挙げるならどこでしょうか?
石原:作品の曲としてなら、〈優しさと優しさが リンクして増えてく その度に少しずつ 世界が変わっていくよ〉のフレーズが特に印象的ですね。社畜さん(伏原さん)はクマを作って苦しみながら仕事しているけど、幽霊ちゃんたちのおかげでどんどん優しくなっていくんです。なので、このフレーズはすごくハマっているなと思いました。
――石原さん個人の曲、という意味ではまた違うところが?
石原:はい。私としては、2番のAメロからBメロにかけてがすごく好きなんです。作品にももちろんリンクして欲しいんですけど、単純にこの曲を聴いた方も(作品と関係なく)癒されて欲しいなと思っていて。〈大事な人 大事にしたいな それって 自分もちゃんと大事にすることかも〉のフレーズは忘れがちなことに気づかせてくれますし、〈シアワセなぬくもりを〉チャージしなきゃいけないよって警鐘を鳴らしてくれるのがいいですよね。自分自身、歌いながら「そうだよね」って納得しちゃいました。
――それって忘れがちですけど大切なことですからね。レコーディングはいかがでしたか?
石原:この曲はメロディやリズムが2番になると変わっていくので、自分なりに全部解釈して作ってからレコーディングに臨みました。もし解釈が違っていたら、その解釈に寄せていこうと思って、迷うことはなかったです。ただ、可愛さを推すならキャラソンみたいに歌った方がいいのかは、やってみないとわからなかったので、歌い方を2パターンやってみてスタッフさんと決めていきました。
――最終的にはどっちに?
石原:キャラソンではなく、自分寄りの方になりました。
――主題歌として、実際にアニメとして流れたのを見てどうでしたか?
石原:私は先行上映会で先に見たのですが、アフレコの時に「本編よりもオープニングの方がキャラクター達が動いているよ」と聞いていたので、すごく楽しみにしていました。ワクワクして見てみたら、キャラクターが歌詞を口ずさんでいたり、オリジナルの踊りをしていたりと可愛さがてんこ盛りで。楽曲をここまで解釈して作ってくださったことが本当にありがたいです。