『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』ククルス・ドアン役 武内駿輔さんインタビュー|アムロ・レイ役の古谷徹さんに言われた嬉しい一言に救われた
ククルス・ドアン役に抜擢! 持っているすべてを注ぎ込んだ収録
ーー『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』をご覧になった印象を教えてください。
武内:やはり安彦良和監督が描くキャラクターたちですよね。先日、副監督のイムガヒさんとお話する機会をいただいたのですが、やはりアニメーターの皆さんの、ひとりひとりのキャラクターへ対する思いが素晴らしいと思いました。
子供たちが一斉に同じところに集まって何かをするシーンは必見で、みんな違う演技をしているし、それぞれの子に生い立ちがあり、いろいろなことがあってここにいるんだなというのがすごく伝わってきたんですよね。
それって簡単なように見えて、アニメーターさんたちの腕がないと実現不可能なことなので、それだけの熱量を持って完成したアニメーションのクオリティにはすごく感動しました。あとはBGMですよね。初代の音楽とか、ザクの起動音を当時の音をアレンジして使用していたりするんです。
そういうところも含めて、当時すでに素晴らしかったものを、現代の多くの人たちに楽しんでもらうために作り直す。その意味が、この映像を見ていただくと納得できるのではないかなと思うくらい、素晴らしいクオリティと取り組み方だなと思いました。
さらに細かいところだと、爆発のエフェクトも手描きなのが僕的には熱くて。やはりCGよりも手描きの爆発のほうが荒々しくて現実味を増すと思うんです。かと思えばモビルスーツの戦闘シーンはほぼ3DCGで作られていて、その2Dと3Dのミックスってうまくいかないこともあるけど、うまい具合に馴染んでいたんですよね。イムさんによるとエフェクトもものすごくこだわったそうで、細かく調整したとおっしゃられていたので、新しいアニメーションの形としても良いものになったのではないかなと思います。
ーー爆発の手描きエフェクトが良いという発言が、武内さんの年代から出てくるのがとても意外です。
武内:そこは親の影響が強くて、両親がアニメ好きなんですよ。母親は松本零士さんの作品、親父ならば永井豪さんの作品が好きなので、僕も『デビルマン』などの影響を受けているんです。僕が子供の頃は今のように配信などはなく、その代わりにレンタルビデオ屋さんがたくさんあったんです。そこで1巻ずつ借りて見るのが楽しかった。そういう意味では昔の作品に触れやすい環境だったんです。そこから配信で見ていたりするので、あの時代の作品は、ずっと自分のベースになっているんですよね。
ちなみにアニメだけでなくて、『8時だョ!全員集合』とかも見ていたし、音楽も昔の曲を聴いていたり、ゲームも最新ゲームは買ってくれなかったのに、ファミコンやスーパーファミコンはあったので、それをやっていたんです(笑)。
ーー20年くらい時代がズレていますね(笑)。では今回、『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』でククルス・ドアン役が決まったときの気持ちをお聞かせください。15歳のアムロと掛け合うことになるわけですが。
武内:正直、ワクワクしましたよね。なかなかない機会というか。ガンダムの新作に関わる機会というのはあったかもしれないですけど、当時のガンダムですからね。
スタッフも安彦良和さんを始めとする方々で、役者も古谷徹さん(アムロ・レイ役)や古川登志夫さん(カイ・シデン役)、池田秀一さん(シャア・アズナブル役)……、当時活躍していた方たちがもう一度新しいものとして生み出す取り組みに、自分がダブル主演の一人として参加させていただく機会って、本当にこれから先何度あるかわからないようなことだと思うんです。
自分が子供の頃にヒーローだと思っていた存在と一緒に仕事ができるということで、プレッシャーよりは、光栄な機会をいただいたと思い、自分自身が今持っているすべてを注ぎ込んで取り組もうと思いました。
ーーアムロよりも年上の役というのも面白いですよね。
武内:これは声優ならではの面白さで、余計な考え方かもしれないですけど、声優というカルチャーが好きな方には、こういうことがあるから声優という文化は面白いんだよ!って思っていただける作品になったのかなと思います(笑)。