劇場版『からかい上手の高木さん』大原ゆい子さんインタビュー|大原さんが歌う主題歌「はじまりの夏」は夏感とせつなさを帯びた曲で、劇場ならではのギミックも!?
劇場版にビックリ&主題歌担当に感謝! 予告編を見て「予告の破壊力」と思わずツイート
──劇場版が決まった時の感想をお聞かせください。
大原:劇場版になるとお聞きした時はすごくビックリしました。でもファンの皆さんやスタッフさんたちにどれだけ愛されているのかがわかっていたので、すぐに納得しました。
ただ主題歌については、ここまでTVシリーズの楽曲を歌ってきたけど、劇場版となると別の方が歌われるケースもあるので、あまり期待せず、控えめに「なったらいいな」くらいの気持ちでした。
そしたら主題歌のお話をいただいて、「ありがとうございます」という感謝の気持ちと「皆さんの期待に応えられる楽曲を作らなければ」と気合が入りました。
──『高木さん』ファンの方も、「アニメのOP曲は大原さんじゃないと」という認識だったのでは? だから今回の主題歌を担当されることも自然に受け止めていたと思います。
大原:そうだったら嬉しいですね。私が主題歌を担当すると発表した時、「やったー!」とか、「また歌ってくれるんですね。ありがとうございます」という声をSNSなどでたくさんいただいて。
『高木さん』ファンの方の温かさも感じましたし、作品と一緒に応援していただけているありがたさも感じました。
──現在、予告編が公開されていますが、ツイッターで「予告の破壊力」とツイートしていましたね(笑)。大原さんが歌われている主題歌「はじまりの夏」が流れている映像をご覧になってどう感じましたか?
大原:クオリティが高いなって。TVシリーズも素晴らしかったけど、スタッフの皆さんの気合も感じました。またTVシリーズはほぼ1話完結でしたが、劇場版は長尺でつながったお話になっているし、気になるシーンもいくつかあって。すごくドラマチックな映画になっていそうだなと思いました。
エモショーナルなシーンのバックで「はじまりの夏」を流していただいて、まるで曲に合わせていただいたみたいで、ありがたかったです。
──主題歌「はじまりの夏」も、今まで同様に大原さんご自身が作詞、作曲されていますが、どのようなイメージで制作されたのでしょうか?
大原:映画のプロットを元に曲を作りました。中学3年生の初夏、夏休みが始まる前からの物語ということで、曲名も「はじまりの夏」にしましたが、ポスターのキャッチに「小さな出会い はじまりの夏」と入っていて驚きました(笑)。
今までのOP曲は1クールのストーリーに合う曲、限られた時間やシーンではなく、1クールの中で移ろう時間や季節で描かれる、どのお話にも合う曲を意識して作ってきました。でもこの劇場版ではひと夏の物語が描かれているので、そこにフィーチャーして作りました。
メロディについては「こんな感じで」というオーダーがあり、試行錯誤の末にこうなりました。歌詞は、ここまでのOP曲と同じように「この歌詞のここはあのシーンかな?」という部分を散りばめつつも、高木さんたちが暮らす島の情景や、夏のジリジリ感などを入れていて。
ここまで『高木さん』に関わってきたことで培われたもの、教えてもらったことがあるからこそ、作れた曲かなと思っています。
──思い起こせば、3期は中学2年生の2学期のスタートから始まり、クリスマス、そして春の訪れまで描かれていました。そのため3期のOP曲「まっすぐ」はさわやかで疾走感がある曲になっていました。今回の「はじまりの夏」は、さわやかさはあるけど、どこかせつなさも感じさせて。
大原:中学3年生の夏はかなり特別なものだなと思っていて。夏休みが始まるけど、「中学生の夏はこれが最後なんだな」という感情がせつなさにつながっている気がします。
──そのほかで「はじまりの夏」の聴きどころを教えてください。
大原:1期のOP曲「言わないけどね」からのOP曲の編曲をしていただいている吉田穣さんに今回も編曲していただいていますが、小豆島でギターを弾いてくださったり、曲の中に波の音や風の音、鳥や虫の鳴き声など、いろいろな自然な島の音が入っています。
サランドシステムが備わった劇場の素晴らしい音響で、映像を見ながら聴くことで、『高木さん』の世界観にひたれるギミックになっています。ぜひ劇場で感じてもらえたらと思いますが、1回目でそこまで余裕がなかったら、二度、三度と見た時に耳をそばだてて聴いてもらえたら(笑)。
聴いてくださる皆さんにとって想い出の1曲になったり、『高木さん』を思い出すための1曲になったらいいなと思っています。
(C)2022 山本崇一朗・小学館/劇場版からかい上手の高木さん製作委員会