アニメ映画『犬王』「平家物語」「実在の犬王」とは? これだけは知っておきたい重要キーワードをピックアップ
湯浅政明監督による劇場アニメーション『犬王』(配給:アニプレックス、アスミック・エース)が、5月28日(土)より絶賛上映中!
『平家物語 犬王の巻』(古川日出男著/河出文庫刊)を原作に、湯浅政明(監督)×野木亜紀子(脚本)×松本大洋(キャラクター原案)×大友良英(音楽)といったクリエイターが集結。室町の知られざるポップスター【犬王】から生まれた物語を、変幻自在のイマジネーションで描く“狂騒のミュージカル・アニメーション”です。
公開直後より多くの注目を集めている本作だが、一方で“『平家物語』
の物語や歴史上の人物を知っているとさらに楽しめる”“「アニメ『平家物語』見ていたから犬王の演目とすごくつながった”という声も。
そこで『平家物語』に関係する、これだけは知っておきたいキーワードをピックアップしました!
知っていれば『犬王』がさらにわかる!重要キーワードまとめ
壇ノ浦の戦い
平安時代の末期に長門国赤間関壇ノ浦(現在の山口県下関市)で起こった、源平最後の合戦。戦いに破れ、栄華を誇った平家は滅亡に至った。
アニメ『平家物語』ではその様子を主人公・びわが見届ける姿が描かれ、三種の神器の一つ「草薙の剣」は、この時安徳天皇とともに海に没したとされているが、200年後の『犬王』ではすでに合戦の残骸だけが海の底に沈んでおり、ある依頼を受けたことで友魚が失明する要因を作ることとなる。
湯浅監督がSNSでも源平の戦いの流れを紹介しているので要チェックです。
予習〜
— 湯浅政明 (@masaakiyuasa) May 22, 2022
「平家物語」よりここら辺を知っていると、より楽しめます。知らなくても楽しめるけど🤙🤙🤙#犬王 pic.twitter.com/6ME4Mpltls
【平家物語】
平家の栄華と没落、武士階級の台頭などを描いた大古典。
TVアニメ「平家物語」では平家を見届けたびわによってその物語が語り継がれるが、犬王と友魚はこの「平家物語」の隠された話をベースにした能楽で、誰も見たことのないストーリーとステージを作りあげ、人々を魅了していく。
【犬王】(実在の犬王)
南北朝~室町期に活躍し、歴史上でも知られる世阿弥と人気を二分した実在する能楽師。
将軍・足利義満からの寵愛を受け、「犬阿弥」・「道阿弥」の名でも知られ、広く人気を集めたが、本人が作った曲や資料は現存しない。
原作小説『平家物語 犬王の巻』は、そんな謎の能楽師・犬王をベースに著者・古川日出男氏の大胆な解釈が加えられた作品。
【能楽】
和歌や文学作品などを取り込みながら、演劇や歌舞劇として発達した日本の伝統芸能。能面を用い、歌と舞で構成されるのが特徴。
主人公の犬王は猿楽トップの一座である「比叡座」の棟梁の子として生まれた。『犬王』では将軍・足利義満が観阿弥が率いる一座の世阿弥(藤若)を寵愛し、一部の人からは「下世話な比叡座、優美な観世の座」と言われている様子も描かれる。
【琵琶法師】
琵琶を演奏しながら物語などを語った僧形の芸能者。
TVアニメ「平家物語」では主人公のびわが平家の物語を語り継ぐ姿が描かれるが、『犬王』では盲目の琵琶法師たちが「座」と呼ばれる組織を作って各地に残る平家の物語を語り継いでいる。盲目になった友魚は都へ向かう途中で偶然出会った琵琶法師・谷一に弟子入りし「覚一座」に迎えられることに。
【鯨】
■劇場アニメーション『犬王』劇中歌「鯨」歌詞付き映像
「平家物語」で壇ノ浦の戦いの最中に大きな鯨が押し寄せた。実際は1000匹ものイルカの群れといわれ、その様子を見た平宗盛は「イルカが進んだ方向にいる軍が負ける」と陰陽師の安倍晴信に予言されたという。イルカの大群はそのまま平家の軍勢に向かい、源氏の勝利へとつながったとされる。
TVアニメ「平家物語」でも壇ノ浦の様子が描かれるが、『犬王』ではさらに平家の魂たちから物語を拾った犬王が清水寺を舞台に現代のプロジェクションマッピングのような演出で壮大に魅せるステージが注目されている。
【面(おもて)】
面は能で用いる仮面のこと。面(おもて)をかけない素顔の状態を直面(ひためん)という。能面の種類は200を超えるとも。登場人物の顔そのものであり、使われる面によって演技・演出も変化するほど重要なもの。犬王は瓢箪の面で顔を隠され育った。
その他にも「三種の神器」、「腕塚」など見れば見るほど気になるワードが登場!
『犬王』公式SNS(https://twitter.com/inuoh_anime)でもこのほかの注目ワードが紹介されており、TVアニメ『平家物語』とのつながりも感じられる本作。
犬王の圧巻のステージに心躍らせながらも、キャラクターたちのさりげないセリフに隠されたこだわりや画面の隅々にまで描かれている細かな演出にも注目しながら楽しんでください♪
劇場アニメーション『犬王』作品情報
5月28日(土)より絶賛上映中!
あらすじ
室町の京の都、猿楽の一座に生まれた異形の子、犬王。周囲に疎まれ、その顔は瓢箪の面で隠された。
ある日犬王は、平家の呪いで盲目になった琵琶法師の少年・友魚と出会う。名よりも先に、歌と舞を交わす二人。 友魚は琵琶の弦を弾き、犬王は足を踏み鳴らす。一瞬にして拡がる、二人だけの呼吸、二人だけの世界。
「ここから始まるんだ俺たちは!」
壮絶な運命すら楽しみ、力強い舞で自らの人生を切り拓く犬王。呪いの真相を求め、琵琶を掻き鳴らし異界と共振する友魚。乱世を生き抜くためのバディとなった二人は、お互いの才能を開花させ、唯一無二のエンターテイナーとして人々を熱狂させていく。頂点を極めた二人を待ち受けるものとは――?
歴史に隠された実在の能楽師=ポップスター・犬王と友魚から生まれた、時を超えた友情の物語。
キャスト・スタッフ
声の出演:アヴちゃん(女王蜂) 森山未來 柄本佑 津田健次郎 松重豊
原作:「平家物語 犬王の巻」古川日出男著/河出書房新社刊
監督:湯浅政明
脚本:野木亜紀子
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英
総作画監督:亀田祥倫 中野悟史
キャラクター設計:伊東伸高
演出:山代風我
作画監督:榎本柊斗 前場健次 松竹徳幸 向田 隆 福島敦子 名倉靖博 針金屋英郎 増田敏彦 伊東伸高
美術監督:中村豪希
色彩設計:小針裕子
撮影監督:関谷能弘
編集:廣瀬清志
音響監督:木村絵理子
音響効果:中野勝博
録音:今泉 武
音響制作:東北新社
歴史監修:佐多芳彦
能楽監修:宮本圭造
能楽実演監修:亀井広忠
琵琶監修:後藤幸浩
アニメーション制作:サイエンスSARU
配給:アニプレックス、アスミック・エース