十五周年だからこそ言える当時の収録・制作秘話も! 声優・櫻井孝宏さん、中村健治監督、山本幸治プロデューサーが登壇したTVアニメ『モノノ怪』十五周年記念祭をレポート
2022年6月18日(土)にTVアニメ『モノノ怪』の15周年を記念したイベント「十五周年記念祭」が開催されました。
TVアニメ『モノノ怪』は2007年7月より放送され、和紙のテクスチャーやCG処理を組み合わせて今までにない斬新な映像を生み出し話題になった作品。今もなお国内だけでなく、世界各国から根強い人気を誇っています。
本イベントには、薬売り役の櫻井孝宏さん、監督の中村健治さん、プロデューサーの山本幸治さんが登壇。15周年を迎えた今だからこそのトークやファンにとっては嬉しい情報がお届けされました。
当時の収録現場や作品づくりを振り返る
放送から15周年を迎え、抽選で選ばれた会場のファンたちと一緒に櫻井さん、中村監督、山本プロデューサーもどこか感慨深い気持ちになっている様子。
3人は久しぶりに会ったそうで、イベントが始まるまでに楽しくおしゃべりをしていたとのこと。櫻井さんと中村監督が同窓生(代々木アニメーション卒業生)だったことが発覚し、当時の思い出に花を咲かせていました。
そんな和やかな雰囲気の中、早速ハッシュタグ「#モノノ怪秘話」で事前に募集した質問に答えていきます。
「モノノ怪の世界観を生み出す際に参考にした場所や作品等があれば教えてください」という質問に目黒の雅叙園にある“百段階段”(※1)が第1話・第2話の「座敷童子」の参考になっているとのこと。そのほか、『犬神家の一族(1976年)』や『十二人の恐れる男』など古い作品からイメージをつかんでいたそうです。
※1 百段階段:東京都指定有形文化財になっている厚さ約5cmのケヤキ板を使用した99段の長い階段廊下。階段で結ばれた7部屋には、それぞれ著名な画家たちが創り上げた美の世界が描かれていることで有名。
「薬売りを演じる際に気を付けていること、独特なセリフの間の取り方の秘訣を教えてください」という質問に対し、櫻井さんは「“このようになる”のような一言で言えるセリフも“この”“ように”“なる”と分けて書いてあるんです。それがある種の指示になっています。」とのこと。
最初の収録では本人も少し戸惑いを覚えたそうですが、作品のマナーや世界観のルールを理解するようになってからは、勘や嗅覚で薬売りを演じていたそうです。中村監督自身、「最初にどういう話なのか全部キャストの方に説明しますが、その後は割と役者さんが持っている引き出しをもらう側になっています。」と話します。
どこか音楽的なディレクションを感じさせられる『モノノ怪』の収録現場ですが、“音”も重要な要素になっているという話になると「モノノ怪は効果音で時間を埋め尽くしたい」と強く言い放つ中村監督。確かに、『モノノ怪』をご覧になった方はわかるように、この作品は他作品には感じられない“音”があちこちに散りばめられているように感じます。
また、初めて櫻井さんの薬売りの声を聞いたとき「これが正解だ」と中村監督は思ったそうで、その言葉に櫻井さんも嬉しそうな笑顔を向けていました。
そして本作は、キャラクターを演じるキャスト陣も濃い面々が勢ぞろいしています。第3話〜第5話の「海坊主」で登場した関智一さん(柳幻殃斉役)がすごかったと話す櫻井さん。この回は中尾隆聖さん(源慧役)や浪川大輔さん(菖源役)、若本規夫さん(海座頭役)など錚々たるキャストが出演しており、アフレコ現場で圧倒されてはすごく楽しかったと語ります。
その話をニコニコしながら聞いていた中村監督は「若本さんがコントロールできませんでした」と当時を振り返ります。その後も櫻井さんの収録現場で印象に残っているエピソードや制作中に起きた不思議な出来事など、ここでしか聞けない貴重な話が飛び出てきてはファンの皆さんも静かに聞き入っていました。
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