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- 笹本千尋
- 1998年生まれのフリーライター。アニメ文化とアンティーク雑貨と絵を見ることが好きです。
このセリフ自体は6巻ですが、この言葉の真相は15巻123話で明らかとなります。
天才・糸師 冴の弟として昔から扱われてきた凛、凛は兄を誇らしく思っていました。サッカーを始めたきっかけも兄の影響で、「俺は兄ちゃんと世界一(ストライカー)になるんだ」と幼いながらも心に秘めていました。2人でサッカーを始めて数年、高みを目指すべく冴は13歳にしてスペインにある名門クラブチーム「レ・アール」に入団します。その後凛と4年ぶりに再会を果たしますが、ここから2人の関係は大きく変化します。
再会で冴は凛に「世界一のストライカーじゃなく 世界一のミッドフィルダーになる」と話しました。これに対し、凛は「嫌だ」と「俺が一緒に夢を見たのはそんな兄ちゃんじゃない…!!」と反論。
そんな凛の様子を見て、冴は呆れたように「ぬるいな」と言います。そして、「この1on1でお前が勝ったら俺はもう一度お前と夢を見てやる でも俺が勝ったら俺たちの夢はここで終わりだ」と提案をしたのです。提案に乗った凛は冴と1on1をしますが、世界レベルを経験した冴に手も足も出ず2人の夢は儚くも散りました。
負けた後、凛は兄と夢が追えないならサッカーをする意味がないと正直に話したのですが冴からは「だったら辞めろ」「ぬりぃんだよ 慰めてもらえるとでも思ったか?欠落品が」「もう二度と俺を理由にサッカーなんかすんじゃねぇよ」と辛辣な言葉が返ってきました。幼い自分にサッカーを教えたのは兄で、そんな憧れの兄とのサッカーしていた大切な思い出まで否定された気持ちになり、徐々に凛の中に「自分の人生を狂わせた糸師冴を潰す」という感情が沸々と湧きあがったのです。
しかしこの怒りや憎しみの根源にあるのは、憧れていた兄に“認められたい”という弟の健気な気持ちなのかもしれません。17巻の終盤、冴との会話の中に凛の弟心が伺えるシーンがあります。
U-20日本代表vsブルーロック選抜チームにて。今まで単独プレーを好んでいた凛が、コート上で自身のプレーについてくるメンバー全員に不快感を覚え「FLOW(物事に集中し、脳がワクワクとしている状態)」に入った時の心情です。
元々メンバーに対して友好的では無い性格の上、自身の不可侵な領域に入られたため本来の凛の性質が現れます。その性質とは、兄である冴が魅せる相手を「美しく壊す」サッカーとは反対に、相手が最も強みとする武器をわざと出させ、相手よりも上のパフォーマンスでその自信を踏みにじる「醜く壊す」サッカーを好むこと。
今までの凛の洗練されたプレーを見ていた他のメンバーからしたら、コート上の破壊者(エゴイスト)としての覚醒はかなり驚くことです。絵心からは「狂ってんなぁ」、対戦相手の愛空からは「歪んだ性癖してんなぁ 天才の弟ちゃん」との言葉も上がっています。
その後の「もう理解(わか)ったろ凛 お前は世界一にはなれない 俺の影として生きていくカス弟だ」と煽られ始まる糸師兄弟の数ページにも及ぶセリフのない1on1のシーンには息を呑んでしまいます。
冴は少し前まで世界有数の名門クラブチーム「レ・アール(スペインクラブチーム)」の下部組織に所属していましたが、18歳未満の海外選手とはプロ契約を禁止するという規定により日本へ帰国していました。冴は新世代世界11傑にも選ばれている超有望なMF。そんなMFが帰国しているということで、日本のサッカージャーナリストから取材を受けていた際にでた発言です。
初登場からエゴ発言が止まらなかった冴ですが、コート上でどんなプレーを魅せてくれるのか期待が高まります。
U-20日本代表vsブルーロック選抜チーム。ブルーロックが勝てばU-20の座を奪える代わりに負ければブルーロックは消滅するという一戦にて、ある条件付きで冴はU-20日本代表として出場することになりました。
この言葉はU-20日本代表との初の顔合わせで現役FW選手・閃堂秋人に「口を慎め 現時点じゃ俺の方が上なんだよ」と言われ、返した言葉です。
とてもシビれます。これに尽きるのですが…。なんと言っても冴のすごいところは17歳にして人生の全てをサッカーに捧げると決意しているところです。
ブルーロック1の問題児。最高にトリッキーです。すぐに手が出てしまい揉め事も多い士道ですが、U-20日本代表vsブルーロック選抜の試合で絵心が凛と士道どちら(2人とも個性が強くて同じチームにすることは出来ないと判断の上)でチームを構成しようかと考えていたほどには能力が高いです。
そして最終的に絵心が凛メインのチームで構成し士道は切り札として使うことを決断した直後、日本フットボール連合(JFU)の方から「士道龍聖をU-20日本代表の選手として出場させたい」との連絡がきます。これが冴がU-20に出場する際に出した条件です。冴は「“青い監獄”にひとり組んでみたいFW(バカ)がいる」と、士道をU-20として出場させるなら俺も出ると話したのです。「この国には俺のパスを受けられるFWがいない」と話していた冴が認めた人物という解釈も出来ますね。
初対面の際には、冴に「…“青い監獄(このカゴ)”はお前には狭いだろ 俺が出してやる…お前のエゴが欲しい 俺のために暴れろ」とも言われています。
このセリフは、U-20チームの士道が冴からの超ロングパスで超絶ロングバックヘッドシュートを決めた際の心情です。冴が“青い監獄(ブルーロック)”では扱いきれなかった士道のポテンシャルを引き出したと言っても過言ではありません。冴と士道のコンビネーションのことを潔は“天使と悪魔の狂宴”とも表現しています。ゴール直前、士道は「FLOW」に入り、この言葉で己の持つ美学を読者に対し明らかにしました。
U-20日本代表vsブルーロック選抜の試合後半。ブルーロックチームとせめぎ合う中、日本代表キャプテン・愛空も「FROW」へ入りゴール前で雪宮剣優のジャイロシュートを止めます。
愛空は元々世界一のストライカーを目指してFWをやっていました。しかし指導者からは自分が思い描くサッカーをすることが許されず、いつの間にかサッカーが楽しくなくなってしまったのです。このことは「気付いた時には 咲き方を忘れていた」という言葉からも伺えます。
そこで愛空は思うのです。「指導者らが大量生産しているつまらないストライカーをDFとしてブチ壊したい」と。
自分に向かってくる凛をブロックしながら出たこの心情には、今はDFをしている愛空がFWだった頃の自分が叶えることができなかった夢の続きをブルーロックチームに託しているようにも見えますね。優しさと威厳が含まれたこの言葉に感動した読者も多いのではないでしょうか。
U-20日本代表vsブルーロック選抜チームの試合後の強化トレーニングにて、ドイツチームを選んだ潔たちの前に現れたのは冴と同じ新世代世界11傑に選ばれたドイツのミヒャエル・カイザーでした。このセリフは登場時の言葉です。
また、同じく18巻の157話では潔たちに向かってこう挨拶の言葉を述べました。
カイザーはノエル・ノアも認める世界一の振り速度を誇る右足シュートの持ち主。トップクラスのその強いエゴは、19巻で行われる新英雄大戦(ネオ・エゴイスト・リーグ)「ドイツvsスペイン」戦にて先制を許してしまった際に、チームメイトのMFアレクシス・ネスに「こっからどーするカイザー?」と聞かれ「死刑。」とだけ呟き、その後点を決め「執行」とだけ言い放ったカイザーの無慈悲な表情からも伺えます。
皆さま、いかがでしたでしょうか?
作中には今回挙げたもの以外にも胸が熱くなる非常に“エゴい”台詞がたくさん。『ブルーロック』をご存知ではなかった方も、本記事をきっかけに知って頂けたら光栄です……!
そして、『ブルーロック』読者の皆さまへ。本記事で彼らの軌跡を振り返って「こういう出来事があったよなぁ」と感じていただければ幸いです。
今後、潔をはじめとする選手たちはどのように活躍し成長を遂げていくのか…。皆さまと同じように彼らの夢が現実となる日を心待ちにしております!
[文/笹本千尋]
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