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- 笹本千尋
- 1998年生まれのフリーライター。アニメ文化とアンティーク雑貨と絵を見ることが好きです。

累計発行部数3000万部を突破し、第45回講談社漫画賞少年部門も受賞した、原作・金城宗幸先生、漫画・ノ村優介先生の豪華タッグによる大人気コミックス『ブルーロック』。2022年にアニメ化、2024年には劇場版も公開された人気作品です。
そんな本作は、最も“エゴい(エゴイストな)”FW(フォワード)選手を生み出すべく、300人の若き高校生たちが「ブルーロック(青い監獄)」に入寮し1人1人が同じゴールを目指し突き進んでいくといったサッカー漫画。
生き残れるのは1人だけという境遇の中、選手たちに芽生える絆。しかしW杯優勝に必要な“たった1人の世界一のストライカー”になるべく、争い合う選手たちの姿に胸が熱くなってしまう方も少なくはないはず。
今回はそんな魅力的なキャラ達の究極の状況から誕生した最もエゴい&イカれた名台詞・名シーンをご紹介!
※本記事では原作コミックス19巻までの内容が含まれます。
この物語は日本フットボール連合(JFU)新入職員の帝襟アンリのこの一言がなかったら始まっていません…!
近年の日本代表の世界の舞台での残念な結果を受け、次に行われるW杯(ワールドカップ)へ向けた強化案を会議内で提示した際の言葉。会長の不乱蔦は“日本代表ブランド”から得る連合の金銭的な利益しか考えておらず、サッカーに対してアツい感情は持ち合わせていませんでした。
他の職員も日本代表のW杯優勝なんて夢にも思っていない中、帝襟だけが本気でした。会長からは「本気で信じてんの?日本がW杯優勝できるって!?」と自身の夢であるW杯優勝を馬鹿にされ、そこで具体的な案としてこの物語の最重要コーチ(キーマン)となる絵心甚八を投入することを、この言葉とともに皆の前で発表します。第1巻から目まぐるしい展開…波瀾万丈の予感しかないです…!!
絵心は日本をW杯優勝させるために雇われた人物。そんな絵心が独断と偏見で選んだ18歳以下(高校生)のストライカー(FW選手)300名の中から、世界一のストライカーを創る実験をするための施設が“青い監獄(ブルーロック)”です。この言葉は“ブルーロック”入寮前の300名の目の前で挨拶をした際の発言でした。
「世界一の」ということは残りの299名を蹴落として1番を獲得するということ。さらには蹴落とした299名はこの先、一生日本代表になる権利を失ってしまいます。
そこで絵心は世界一のストライカーを例に挙げて「20世紀最高のフットボーラー エリック・カントナはこう言った チームなんてどうでもいい 俺が目立てばいい と」「史上最高のフットボーラー ペレはこう言った 世界一のFW 世界一のMF 世界一のDF 世界一のGK どれを訊かれても自分だと答える と」と話しました。
革命的なストライカーは皆、稀代の“エゴイスト”であるという共通点を示し、今の日本サッカーには足りないのはその“エゴ”だと。そんな世界一になるための真理を聞かされた300名の選手全員が戸惑いながらも、“エゴ”の片鱗をチラつかせ、飢えた獣のように入寮への扉へ歩んでいく姿に読者はワクワクとしてしまうこと間違いなし!
ブルーロックセントラル会議室にて、JFU会長・不乱蔦率いる役員全員の前で二次選考の概要を報告した際に絵心が不乱蔦に発言した言葉です。
1巻の頃から変わらずサッカーでお金儲けのことしか考えていない不乱蔦に対し、「どこまでも金儲けしか考えてねぇ年寄り共だな…お前らはそうやって何人の“天才”を潰してきた?」と問いました。続いて、連合がビジネス的に“仮そめの天才”を生み出すというループを断ち切らない限り日本は未来永劫三流のままだとも話しました。
絵心はブルーロックのメンバーに対し日々シビアな言葉を放っていますが、それは本気で取り組んでいるからこその厳しさなのです。このシーンでは絵心の「本気で世界一を志す日本の選手たち」に対し真摯に向き合っているという姿勢が伝わってきます。
ブルーロック初の選手生命を懸けた入寮テストで、ランキング(※ランキング上位5名は無条件で6ヶ月後に行われるU-20W杯のFW登録選手になれます)暫定下から2番目(299位)の潔が「人生を変える」と決意した時の心情描写で出てきた言葉です。テスト内容は“鬼ごっこ”。最後にサッカーボールを当てられた選手は退場になるというシンプルなものでした。
そんな場面で潔は、全国高校サッカー選手権大会でつい最近敗北した――自分よりも強い相手である吉良涼介に最後の最後でボールを当て退場させました。なぜ自分が蜂楽 廻からパスされたボールを吉良に当てたのか、本人も無意識に身体が動いたといいます。
潔自身の中では、日本サッカー界期待の若手(ホープ)とも呼ばれていた吉良を退場させたことへの罪悪感よりも、誰かの夢を終わらせたことへの感情の昂りの方が大きく、「それでも1番になりたい」という潔のエゴが初めて見えた瞬間でもありました。
U-20日本代表vsブルーロック選抜チーム。ブルーロックが勝てばU-20の座を奪える代わりに負ければブルーロックは消滅するという一戦。
激戦の中、最後に自身がゴールを決め3-4で勝利したブルーロックチームを代表し、TVインタビュアーの「今後の意気込みは?」との質問に答えたセリフです。夢が実現しだしたブルーロック。これにてブルーロックプロジェクト第一段階が完遂します。
ブルーロック内で行われた一次選考は、入寮テストで合格した275名が壱、弐、参、肆、伍棟に分けられ、その同棟内5チーム(11人×5グループ)による総当たりグループリーグでした。全10試合終了時の勝ち得点上位2チームは勝ち残り、ほか3チームは退場(しかし、各グループ内の得点王だけは勝ち残れます)となってしまいます。一次から5棟×25名で計125名しか残れません。
一次選考の最終戦でもある、潔率いるチームZと凪 誠士郎率いるチームVの試合の終盤。この試合に負ければチームZ全員のサッカー人生が終了するという非常に重要な局面の最中。凪という天才的かつ圧倒的なトラップテクニックを持つ強大な壁に打ち当たり、そのトリッキーさゆえ「絶望的に勝てる気がしない…」とチームのモチベーションが下がっていく中、蜂楽だけはひとり静かに燃え上がっていました。
チームZの他の誰もが自チームの勝利を信じることが出来ない状況下で、「いいね!いいね!楽しくなってきた♪」と軽快に話すのです。その後、このセリフと共に蜂楽は皆に喝を入れるかの如く5人抜きのスーパースペシャルゴールを決めました。チームZ初得点、3-1という勝利への希望が見えた瞬間でした。
短いながらもこの台詞からは、蜂楽のおちゃらけているけど向上心が高いという性格がビシビシと伝わってきますね!
蜂楽がいう“かいぶつ(ともだち)”とは、蜂楽にしか見えない存在・イマジナリーフレンドのこと。幼い頃からサッカーが大好きだった蜂楽ですが、自分と同じくらいサッカーができる同級生が周りにはいなかったため、いつしか“かいぶつ”とサッカーをするようになりました。(側から見たら1人でおしゃべりしながらサッカーしているように見えます)
元々、“かいぶつ”はサッカーの楽しさを思いっきり共有できる、蜂楽が求める理想のサッカープレイヤーの形です。
そして、この言葉は今まで自分にしか見えない“かいぶつ”に匹敵する存在・潔にブルーロック入寮テストで出会った時の心情になります。「もしこの中にも“かいぶつ”に敵う人間なんていなくて もしこの中にも――理解し合える人間がいなかったとしたら――その時はまた死んでしまいそうなくらいに寂しい あの毎日に戻ってしまうってコト――…それだけは嫌だ!!」という言葉と共に、潔にパスを回し吉良にボールを当てるアシストをしています。
潔に出会う前は、“サッカーの楽しさ”を信じ続ける反面、時折、心の底からサッカーの楽しさを共有できる存在に出会えなかったとしたら…と蜂楽は1人寂しく考え込むことがありました。蜂楽は出会った直後から潔を信頼していますが、その理由は今まで信じてきたかいぶつ(イマジナリーフレンド)に「パスを出せ 潔世一がかいぶつだ」と教えられたからです。
この回は、蜂楽に対し「初めてサッカーの楽しさを共有できる友達に出会えて良かったね…」としみじみ感じてしまう読者も中にはいるのではないでしょうか。
二次選考2ndステージは、1stステージ通過者の中で3人1組のチームを組むこと。そして3rdステージは、その組んだチームで試合をし勝ったチームが負けたチームから1人選手を奪うことができる(いわゆる花いちもんめ)システムで勝つこと。3rdステージで勝つとメンバーは4人となり4thステージに上がります。5人メンバーを揃えたら5thステージ到達で二次選考クリアとなります。
そんな凛・蟻生・時光・蜂楽vs潔・凪・馬狼・千切の最終戦。この試合に勝ったチームはメンバーが5人揃うので二次選考5thステージクリアとなります。
試合中、蜂楽はあることに気づきます。今までは蜂楽は潔(または別のメンバー)と連携してゴールを決めることが多く、潔とサッカーすることが蜂楽の存在理由になっていた節がありました。蜂楽はその自分の欠点に気づき、“かいぶつ”が蜂楽の中に誕生する前のひとりぼっちでもただボールを追いかけているだけでも楽しかった幼い頃を思い出します。“かいぶつ”なんて必要なかったあの頃の自分を。サッカーをする理由なんてボールと一つになりたいという気持ちだけでも良いのだということに。
ここでまた新たに蜂楽は1人でもゴールを決められるプレースタイルを見出しました。潔がいなくても大丈夫。もう潔と連携しなくてもゴールは決めることができる。だから1人の選手として胸を張って「潔とサッカーが出来たらより楽しい」と言うことが出来たのです。
一次選考、第伍号棟第7試合「チームW vs チームZ」の試合。対戦するチームWには千切の高校のサッカーのチームメイトである鰐間兄弟が居ました。千切は高校サッカーで右膝前十字靭帯断裂をしていて、もし再断裂した時にはもう選手として生きていくのは難しいと医者からも言われていました。
ブルーロックに入寮した理由も、夢を諦める理由を探しにきたと話しています。“才能がある”ともてはやされた高校生活も、靭帯を断裂させてからというもの、自分の思うようにプレーができなくなってしまった千切。そんな千切に追い討ちをかけるように鰐間兄弟が「才能のぶっ壊れた走れないお前になんの価値がある?」と煽るのでした。
今まで「この足で世界一になれる」と信じて疑わなかった分、ショックは計り知れません。本気でプレーをすることに対し臆病になっていた千切が、この第7試合中の潔の「世界一になる」と信じて疑わない熱いプレーに過去の自分の面影を重ね、再び走り出すことを決意した際の心情です。
もう右足が壊れることなんてどうでもいい。鰐間兄弟をブチ抜いてからの爽快なゴールは、トップスピードの天才・千切豹馬の復活を意味していました。右足に爆弾を抱えながらのサッカーは、精神的にも負担が大きいはず。その部分を克服して、「もう一度、夢を追いかけよう」とする姿に胸が熱くなってしまう読者も少なくはないのではないでしょうか。
「U-20日本代表vsブルーロック選抜チーム戦」後に始まったブルーロック第二段階は「世界最高峰欧州5大リーグ(イングランド・スペイン・イタリア・フランス・ドイツ)」で活躍中のプロフェッショナルの下で各々トレーニングに参加し「新英雄大戦(ネオ・エゴイスト・リーグ)」で自身の価値を証明することが求められます。
潔は憧れであるドイツ「バスタード・ミュンヘン」世界最高選手の称号を持つ指導者(マスター)ストライカーのノエル・ノア選手の下で学ぶことを決意しました。
また、絵心はブルーロック第二段階開始と同時に、二次選考3rdステージにて脱落した國神を召喚します。絵心が企てた「ノエル・ノアと同じ肉体を持つ“器”を創り出す実験」という名の敗者復活ルートを経て、國神はブルーロックに舞い戻ってきました。
國神も潔と同じドイツチームのトレーニングに参加するということで、「おかえりヒーロー!」と声をかけますが國神からは「俺はもうヒーローじゃねぇ そんな青臭ぇ戯言なんて地獄に捨ててきた 覚悟しろ潔…」と返ってきました。「スーパーヒーローになりたい」と無邪気に語っていた姿の影すら見えません。
絵心は「強制的に異なる哲学をブチ込んだ」と話しています。本人も言うように敗者復活ルートという名の地獄を見てきたようです。
二次選考1stステージクリア後に待ち受けていた2ndステージでは、まず1stステージ通過者の中で3人1組のチームを組むという指示がありました。
潔が蜂楽と組むことを決めた後、一次選考最終戦の相手だった凪から「俺らと組まない?」と誘われます。凪はすでに高校の同級生でもある御影玲王と組んでいました。蜂楽を見捨ててまで凪とはチームを組むことが出来ないことを凪に伝えると、「じゃあ俺が潔のチームに入る」と思いもよらない言葉が凪の口から出たのです。
凪をサッカーに誘ったのは玲王でした。2人で世界一になると語ったことだってありました。でも一次選考最終戦で2人は潔たちに敗北しました。「俺たちは最強じゃなかった」と玲王に話し、玲王を置いて高みを目指すことを決意した言葉でもあります。
今まで敗北や悔しさを知らなかった凪が、自分が敗北した潔と共にサッカーがしたいと。今までその才能を持て余していた凪の中にある好奇心や向上心を潔が呼び起こしたのです。
二次選考3rdステージの最初の試合で潔・蜂楽・凪のチームは糸師凛のチームに敗北してしまい、花いちもんめシステムによって蜂楽は凛チームに引き抜かれることになりました。自陣のメンバーを5人に増やしたところで二次選考クリアになりますが、負け続け最後の1人になったら強制的に脱落となってしまいます。
残った潔と凪。次の試合の勝敗がこのブルーロックでの人生を変えるという大事な場面。対戦する相手は馬狼&成早ペアでした。
試合は凪vs馬狼の戦いとなり、一次選考よりも成長した馬狼に初得点を許してしまいます。しかし点を取られた次の瞬間、凪は「超絶トラップ+背後で受ける」という今までのトラップとは異なる、1対1で相手に勝つオリジナルの方程式を見出し馬狼を華麗に出し抜きゴールを決めました。
この言葉はその際の凪の心情描写になります。サッカー歴半年にも関わらず、その持ち前の天才的な才能とセンスにより凄まじい速度で成長していく凪に対し潔の驚嘆した様子が描かれているのも印象的です。
U-20日本代表vsブルーロック選抜チームの戦い。やはりU-20日本代表のチームは一筋縄では行かず、先制点を許してしまいます。
観客や実況者までもがU-20日本代表応援ムードの中、凪がブルーロックチーム初得点を決めた際の言葉です。誰もブルーロックチームが点数を取れるとは思っていなかったのか、ゴール直後の観客の唖然とした沈黙からの「ウオォォォォ」という大歓声はかなりスカッとします。
言葉の通り、初めて日本全国にブルーロックチームのパフォーマンスの高さを知らしめた瞬間でした。
二次選考3rdステージの試合の潔&凪vs馬狼&成早にて潔たちに敗北し、花いちもんめシステムにより引き抜かれたのは、より高いスペックを持っている馬狼でした。二次選考3rdステージでは負け続け最後の1人になってしまった際は脱落となってしまい、成早はその1人でした。
同じ元チームZで一次選考を共に乗り越えた潔と成早の仲だったとしても、同情で成早を選ばなかったという所に潔の高みを目指したいという強い意志が感じ取れます。
成早朝日について、成早は6人兄弟ですが両親を亡くしています。最年長の姉が兄弟たちの面倒を見ていて、いつも苦労をかけていることを知っている成早は、将来サッカー選手になってたくさんのお金を稼いで楽な生活を家族にさせてあげたいという想いを心の内に秘めていました。そんな、成早なりの“サッカー選手になる”という夢に終止符が打たれました。
「死ぬまで勝ち続けろ」という言葉は成早から潔に最後に贈られた言葉です。自身の前を過ぎ去ってゆく潔・凪・馬狼の後ろ姿を眺めた後に、歯を食いしばるように、静かに涙をこぼすシーンは胸がキュッと締め付けられます。
二次選考2ndステージの初期に組む3人1グループで、玲王は凪が自分を選ばずに潔と蜂楽を選んだことに対しショックを受けていました。元々、凪の才能を見出し、凪をサッカーに誘ったのは玲王だったので裏切られたという気持ちが大きかったと思います。そして次第にその気持ちは憎しみ(復讐)へと変わっていき……。
この言葉をきっかけに、潔・凪・馬狼vs千切・國神・玲王の試合が始まります。一次選考では仲間だった潔・千切・國神(元チームZ)と、凪・玲王(元チームV)が敵チームになるというまさかの展開です。
一次選考、第伍号棟第1試合。潔たちはチームZ。同棟チームXは馬狼照英率いるチームでした。そんな「チームZvsチームX」の試合は、チームが負けても得点王として生き残ろうとする選手ばかりで敵味方関係なく「自分がボールを持つこと」にこだわった人ばかり…。選手たちがお団子状態でボールに群がる中、皆の前からボールを瞬時に奪い颯爽と駆け抜け、初ゴールを決めた際のセリフがこちらでした。
この言葉からは「ボールは自分を輝かせるためのただの一手段に過ぎない」という、馬狼の並々ならぬ自信を感じますね。初めて読んだ時に「球体下僕」の言葉に最高にシビれました…。
一次選考、第伍号棟による最終戦にて、潔率いるZチームと凪 誠士郎率いるチームVの対戦前に潔と馬狼の会話内で出たセリフになります。
潔は「世界的ストライカーは己だけのゴールの方程式を持っている」という絵心から言われた言葉を胸に、自身が進化する手掛かりを持っていると馬狼の元へ訪れました。馬狼は一次選考内の個人得点ランキング1位、通算10ゴールを決めている実力の持ち主。
コート内で自主練をしていた馬狼に対し、「どうすればお前みたいにゴールを奪えるストライカーになれる?」と質問するも取り合ってもらえず「俺がここで潰してやる」と急に1on1が始まりました。その1on1の最中、潔は馬狼の自由自在に、どこからでも決められるゴールの“とある方程式“を発見するのです。
これが絵心が冒頭で話していた馬狼オリジナルの「己だけのゴールの方程式」か…と。自分が成長するヒントをこの1on1から得た潔。そこで馬狼に対し感謝の言葉を口にしましたが、本人からの言葉は辛辣で、「教えたんじゃねぇ 思い知らせたんだ…「戦場(フィールド)には馬狼(オレ)がいる」才能ナシがサッカー辞めるには十分すぎる絶望だろ」と言い放ったのでした。
この馬狼の堂々とした姿勢に潔も思わず心の中で「カッケェ」と呟きます。絶対的な自信、揺るぎない自己愛。この言葉に馬狼照英の魅力が詰まっていますね。
このセリフ自体は6巻ですが、この言葉の真相は15巻123話で明らかとなります。
天才・糸師 冴の弟として昔から扱われてきた凛、凛は兄を誇らしく思っていました。サッカーを始めたきっかけも兄の影響で、「俺は兄ちゃんと世界一(ストライカー)になるんだ」と幼いながらも心に秘めていました。2人でサッカーを始めて数年、高みを目指すべく冴は13歳にしてスペインにある名門クラブチーム「レ・アール」に入団します。その後凛と4年ぶりに再会を果たしますが、ここから2人の関係は大きく変化します。
再会で冴は凛に「世界一のストライカーじゃなく 世界一のミッドフィルダーになる」と話しました。これに対し、凛は「嫌だ」と「俺が一緒に夢を見たのはそんな兄ちゃんじゃない…!!」と反論。
そんな凛の様子を見て、冴は呆れたように「ぬるいな」と言います。そして、「この1on1でお前が勝ったら俺はもう一度お前と夢を見てやる でも俺が勝ったら俺たちの夢はここで終わりだ」と提案をしたのです。提案に乗った凛は冴と1on1をしますが、世界レベルを経験した冴に手も足も出ず2人の夢は儚くも散りました。
負けた後、凛は兄と夢が追えないならサッカーをする意味がないと正直に話したのですが冴からは「だったら辞めろ」「ぬりぃんだよ 慰めてもらえるとでも思ったか?欠落品が」「もう二度と俺を理由にサッカーなんかすんじゃねぇよ」と辛辣な言葉が返ってきました。幼い自分にサッカーを教えたのは兄で、そんな憧れの兄とのサッカーしていた大切な思い出まで否定された気持ちになり、徐々に凛の中に「自分の人生を狂わせた糸師冴を潰す」という感情が沸々と湧きあがったのです。
しかしこの怒りや憎しみの根源にあるのは、憧れていた兄に“認められたい”という弟の健気な気持ちなのかもしれません。17巻の終盤、冴との会話の中に凛の弟心が伺えるシーンがあります。
U-20日本代表vsブルーロック選抜チームにて。今まで単独プレーを好んでいた凛が、コート上で自身のプレーについてくるメンバー全員に不快感を覚え「FLOW(物事に集中し、脳がワクワクとしている状態)」に入った時の心情です。
元々メンバーに対して友好的では無い性格の上、自身の不可侵な領域に入られたため本来の凛の性質が現れます。その性質とは、兄である冴が魅せる相手を「美しく壊す」サッカーとは反対に、相手が最も強みとする武器をわざと出させ、相手よりも上のパフォーマンスでその自信を踏みにじる「醜く壊す」サッカーを好むこと。
今までの凛の洗練されたプレーを見ていた他のメンバーからしたら、コート上の破壊者(エゴイスト)としての覚醒はかなり驚くことです。絵心からは「狂ってんなぁ」、対戦相手の愛空からは「歪んだ性癖してんなぁ 天才の弟ちゃん」との言葉も上がっています。
その後の「もう理解(わか)ったろ凛 お前は世界一にはなれない 俺の影として生きていくカス弟だ」と煽られ始まる糸師兄弟の数ページにも及ぶセリフのない1on1のシーンには息を呑んでしまいます。
冴は少し前まで世界有数の名門クラブチーム「レ・アール(スペインクラブチーム)」の下部組織に所属していましたが、18歳未満の海外選手とはプロ契約を禁止するという規定により日本へ帰国していました。冴は新世代世界11傑にも選ばれている超有望なMF。そんなMFが帰国しているということで、日本のサッカージャーナリストから取材を受けていた際にでた発言です。
初登場からエゴ発言が止まらなかった冴ですが、コート上でどんなプレーを魅せてくれるのか期待が高まります。
U-20日本代表vsブルーロック選抜チーム。ブルーロックが勝てばU-20の座を奪える代わりに負ければブルーロックは消滅するという一戦にて、ある条件付きで冴はU-20日本代表として出場することになりました。
この言葉はU-20日本代表との初の顔合わせで現役FW選手・閃堂秋人に「口を慎め 現時点じゃ俺の方が上なんだよ」と言われ、返した言葉です。
とてもシビれます。これに尽きるのですが…。なんと言っても冴のすごいところは17歳にして人生の全てをサッカーに捧げると決意しているところです。
ブルーロック1の問題児。最高にトリッキーです。すぐに手が出てしまい揉め事も多い士道ですが、U-20日本代表vsブルーロック選抜の試合で絵心が凛と士道どちら(2人とも個性が強くて同じチームにすることは出来ないと判断の上)でチームを構成しようかと考えていたほどには能力が高いです。
そして最終的に絵心が凛メインのチームで構成し士道は切り札として使うことを決断した直後、日本フットボール連合(JFU)の方から「士道龍聖をU-20日本代表の選手として出場させたい」との連絡がきます。これが冴がU-20に出場する際に出した条件です。冴は「“青い監獄”にひとり組んでみたいFW(バカ)がいる」と、士道をU-20として出場させるなら俺も出ると話したのです。「この国には俺のパスを受けられるFWがいない」と話していた冴が認めた人物という解釈も出来ますね。
初対面の際には、冴に「…“青い監獄(このカゴ)”はお前には狭いだろ 俺が出してやる…お前のエゴが欲しい 俺のために暴れろ」とも言われています。
このセリフは、U-20チームの士道が冴からの超ロングパスで超絶ロングバックヘッドシュートを決めた際の心情です。冴が“青い監獄(ブルーロック)”では扱いきれなかった士道のポテンシャルを引き出したと言っても過言ではありません。冴と士道のコンビネーションのことを潔は“天使と悪魔の狂宴”とも表現しています。ゴール直前、士道は「FLOW」に入り、この言葉で己の持つ美学を読者に対し明らかにしました。
U-20日本代表vsブルーロック選抜の試合後半。ブルーロックチームとせめぎ合う中、日本代表キャプテン・愛空も「FROW」へ入りゴール前で雪宮剣優のジャイロシュートを止めます。
愛空は元々世界一のストライカーを目指してFWをやっていました。しかし指導者からは自分が思い描くサッカーをすることが許されず、いつの間にかサッカーが楽しくなくなってしまったのです。このことは「気付いた時には 咲き方を忘れていた」という言葉からも伺えます。
そこで愛空は思うのです。「指導者らが大量生産しているつまらないストライカーをDFとしてブチ壊したい」と。
自分に向かってくる凛をブロックしながら出たこの心情には、今はDFをしている愛空がFWだった頃の自分が叶えることができなかった夢の続きをブルーロックチームに託しているようにも見えますね。優しさと威厳が含まれたこの言葉に感動した読者も多いのではないでしょうか。
U-20日本代表vsブルーロック選抜チームの試合後の強化トレーニングにて、ドイツチームを選んだ潔たちの前に現れたのは冴と同じ新世代世界11傑に選ばれたドイツのミヒャエル・カイザーでした。このセリフは登場時の言葉です。
また、同じく18巻の157話では潔たちに向かってこう挨拶の言葉を述べました。
カイザーはノエル・ノアも認める世界一の振り速度を誇る右足シュートの持ち主。トップクラスのその強いエゴは、19巻で行われる新英雄大戦(ネオ・エゴイスト・リーグ)「ドイツvsスペイン」戦にて先制を許してしまった際に、チームメイトのMFアレクシス・ネスに「こっからどーするカイザー?」と聞かれ「死刑。」とだけ呟き、その後点を決め「執行」とだけ言い放ったカイザーの無慈悲な表情からも伺えます。
皆さま、いかがでしたでしょうか?
作中には今回挙げたもの以外にも胸が熱くなる非常に“エゴい”台詞がたくさん。『ブルーロック』をご存知ではなかった方も、本記事をきっかけに知って頂けたら光栄です……!
そして、『ブルーロック』読者の皆さまへ。本記事で彼らの軌跡を振り返って「こういう出来事があったよなぁ」と感じていただければ幸いです。
今後、潔をはじめとする選手たちはどのように活躍し成長を遂げていくのか…。皆さまと同じように彼らの夢が現実となる日を心待ちにしております!
[文/笹本千尋]

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