春アニメが放送終了した今こそ作品【イッキ見】のススメ! アーニャの愛らしさに溶け、孔明の名言に感銘、バレエの美しさに心奪われた──2022年春アニメ3選のときめきポイントもご紹介
『パリピ孔明』
次はタイトルからして衝撃的なこちらの作品、『パリピ孔明』。
こちらは『週刊ヤングマガジン』で連載中、原作・四葉夕卜先生、作画・小川亮先生による同タイトルのアニメ化作品です。
学校教育で必ず耳にする歴史的人物、諸葛孔明がパリピに!?
というなんとも言えない奇想天外さですが、そのアゲアゲすぎるタイトルに騙されることなかれ。その魅力とは──
現代でも冴え渡る孔明の計略とその人生観
戦乱の中国・三国時代の中で、天才軍師・諸葛孔明は生涯を閉じた……はずだった。舞台は現代日本・渋谷。そこに降り立ったのは、時空を越えた孔明まさにその人物。
当時の衣装そのままに、若かりし日の姿で転生して来た孔明は、歌手を志す英子と出会います。英子の歌声に感動を覚えた孔明は、英子に仕えることを誓い、夢を叶えるべく計略を謀ることに──
天才軍師の名を馳せた孔明の計略は、時を超えた現代の音楽業界でも冴え渡り、英子が夢への階段をのぼる後押しをして行きます。その様子は実に愉快痛快! アッと驚くその計略に、視聴者も思わず「そう来たか!」とうならせられます。
実は筆者、孔明の名こそ知っているものの、世界史にはまったく明るくなかったのですが、作中ではそんな私でも実にわかりやすく、孔明の計略が解説されています。本作に触れたことで、実際に孔明が行った計略をもっと勉強してみたい! と思うほど、天才軍師の意味を見事に体感させられました。
しかし、そんな計略の鮮烈さに隠れがちですが、特筆しておきたいのは孔明の勉強っぷり。
第1話で孔明は英子に「スマホ」や「音楽のジャンル」等について教えを乞うシーンがあります。また、職を得た店の休みの日に新しい音楽を聞く姿なども見せていて、実はそこかしこに努力の片鱗を見せているのです。
天才と謳われる孔明ですが、こういった努力家な一面に触れられるのも、視聴者の心をつかんでいる一因かもしれません。
また、命のやりとりをしていた三国時代を生きた孔明だからこそ学んだ人生観は、視聴者の心にも大きなエモーションを与えてくれます。
第1話の、素直な言葉で英子を称える孔明の「率直な意見、素直な感想は生きているうちに語ってこそ」という言葉や、第3話の、部下からの最後の宴の誘いを断ってしまった心残りから生まれた「人生は一瞬です。我々も楽しみましょう」という言葉に、筆者は大いに心を打たれました。
そんな孔明の言葉たちは、自信をなくし夢を諦めようとしていた英子の気持ちをも救い、視聴者の心にまでも届くものとなっていて、そんなところにこの作品の魅力が詰まっていると言っても過言ではないでしょう。
ぜひイッキ見をして、あなたの「孔明の名言」を見つけてみてください!
進化するED曲と心躍る優れた楽曲たち
歌手を目指す英子のシンデレラストーリーともいえる『パリピ孔明』は、作中で扱う楽曲がバラエティ豊か、かつ、どれも心の琴線に触れる「ときめく」メロディになっています。
特に、テンションアゲアゲなED曲「気分上々↑↑」を聴いて懐かしさを覚える世代もいれば、初めて耳にして新鮮に感じる世代もいることでしょう。「気分上々↑↑」は2006年にmihimaru GTがリリースした楽曲であり、本作では出演している声優陣がこの楽曲のカバーをしています。
実はこのED曲、話数を重ねるごとに進化を遂げていることをご存知でしょうか。
第1話からは「英子」の歌唱パートを担当する96猫さんがメインで歌い上げ、「孔明」役の声優・置鮎龍太郎さんが誇る安定した歌唱力での合いの手で構成されていました。
ところが第5話、ラップ界で圧倒的実力を誇っていた「KABE太人」が登場すると、ED曲は太人の声を担当する千葉翔也さんの歌唱とセッションするようになります。
さらには、第7話で英子のライバル的ポジションに立つ「七海」が登場すると、七海の歌唱パートを務めるLezelさんが参加する楽曲へと大きく進化して行きます。
そして実は、楽曲の進化にともなってED映像にも変化が……!
イッキ見をするからにはそんな部分にもぜひ注目していただきたいところです。
そのほか、中毒性があり「クセになる」と大いに話題を呼び、最終回直前では96猫さんやLezelさんのほか、Kis-My-Ft2の宮田俊哉さんまでもが「踊ってみた」動画を配信することとなったOP曲「チキチキバンバン」からも目が離せません。
また、話数を重ねるごとに完成に近づいていき、ついには聴く者すべての心をもつかむ楽曲へ変化を遂げていく、英子作「六本木うどん屋(仮)」や、太人VS孔明、太人VS赤兎馬カンフーのラップバトルなど、「推し」楽曲を挙げれば枚挙に暇がありません。
心に沁みたり、クセになったり、エモーショナルだったり……そんな魅力的な楽曲があふれんばかりに詰まっているのがこの作品の大きな特徴です!
「自分探し」に思わず共感! 魅力あふれるキャラクターたち
第1話の序盤では、英子が「また」オーディションに落ちるシーンがあります。そして「歌手やめようかな」「そろそろ潮時」とまで自信をなくす姿も。
のちに仲間のひとりとなるKABE太人も、ラップ界での連勝により生まれた過度な期待感と多大なプレッシャーからストレスが生じ、ステージを降りようとしています。
そんな2人は作中、それぞれの夢の前に大きく立ちはだかる壁「自分探し」を始めます。
実際、現代社会においても「個性」を求められる場面が多く、この2人のように「自分らしさとは」と悩みを抱えている人も少なくないと思われます。
一方、「七海」はそんな2人とは真逆に「自分らしさ」を明確に持っていながらも、ビジネスという波にのまれ、自分を失いかけています。
そんな3人が悩み、現実にもがきながらも、懸命に模索していくひたむきな姿に、視聴者も思わず共感! 自分を重ねてしまったり、心が洗われる想いにさせられるのは、明るく頑張る英子の天真爛漫さなどに代表されるような、キャラクターたちそれぞれの魅力にほかなりません。
またメイン以外でも、多彩な個性を持つキャラクターたちが多く登場するのが『パリピ孔明』の魅力のひとつ。
実は英子の才能をいち早く買っていた三国志オタクでもあるオーナー小林や、太人のよきライバルであり続ける赤兎馬カンフー、英子の楽曲のレコーディングを担当するイケメンマDJ・スティーブ・キド、七海所属の「AZALEA」をプロデュースする唐澤などなど、どれも「一癖」アリな強烈な個性を誇っています。
ちなみに、筆者の個人的「要チェックキャラ」は、英子のファン1号でもある「密偵」くんです。第11話にして初めて声を発した彼ですが、実は第2話から登場していた……!?
そんな小ネタにもぜひ注目して視聴してみてください。