夏アニメ『はたらく魔王さま!!』第2期放送記念:東山奈央さんインタビュー|絶妙だった第1期の終わり方。オトナな千穂だからこそ自然に演じられた
昨年3月に行われた『KADOKAWA ライトノベルEXPO 2020』でのTVアニメ第2期制作発表は、ファンに大きな衝撃を与えた『はたらく魔王さま!』(著・和ヶ原聡司/イラスト・029)。そんな本作が2022年7月、約9年ぶりにTVアニメ『はたらく魔王さま!!』として帰ってくる!
アニメイトタイムズでは、フリーター魔王さま、子育てをする!?波乱の庶民派ファンタジー第2幕のスタートを前に、キャスト陣の喜びの声をお届けするリレーインタビュー企画を実施中。第5回となる今回は、佐々木千穂役・東山奈央さんです。
9年前、『はたらく魔王さま!』の現場で掴むことができたこと。
――第2期の制作決定の報告を受けたときの率直な感想をお願いします。
東山奈央さん(以下、東山):涙が出ました! 青天の霹靂過ぎて! 1期のときに大きな反響をいただいていましたし、現場もお客さんもみんな“はたま”愛が深いなぁと思っていたので、もしかして続きを期待してもいいのかな?と思っていたんです。でも難しい事情もあり、なかなか現実になることはなくて……。
ただキャストはずーーっと仲が良くて、年に1度同窓会をしたりしていたんです。そんな私たちの様子を見て、スタッフさんたちが「しょうがないな~」って、ドラマCDを作りましょうと言ってくださったり、節目だから生放送をやりましょうって、お仕事の機会も作ってくださったと思うんです。もちろん、ちゃんとお仕事なので、それだけではないと思いますけど(笑)。
原作の和ヶ原聡司先生やイラストレーターの029先生も含めて仲良くさせていただいていて、『はたらく魔王さま!』の絆はずっと続いていたんですけど、アニメとして帰ってくるという夢は長年実ることはなく……。私は、『はたらく魔王さま!』は伝説になったんだ、って思うようにしていたんですね。
――そこから、どう知ったのですか?
東山:第2期決定の発表をしたイベントの予定がスケジュールに入ったときに、「これって何なんですか?」とマネージャーさんに聞いたら、「イベント台本を見て喜んでもらいたかったんですけど、実は第2期が決まりまして」と言われた瞬間、歩いていたのに立ち止まっちゃって! 「えっ!! 本当ですか。え? え?? 『はたらく魔王さま!』ですよね??」ってなりました(笑)。
今思い出しただけでも涙が出てくるんですけど、本当に衝撃的でした! また、ちーちゃん(佐々木千穂)を演じられることも嬉しかったですし、何よりスタッフさんたちですよね! 私たちはお会いするたびに、いつものテンションで「第2期やらないんですか?」「第2期まだですか?」と言っていたのを、オトナの微笑みで「やれたらいいんですけどね~」ってやんわり受け止めてくださっていたんですけど、実は裏では諦めずにずっと動き続けてくださっていたんだ!って。そのことにすごく感動してしまって、みんなが諦めていなかったんだと思って、すごく嬉しくなりました。チーム“はたま”は強いなぁって、あらためて思ったし、また「佐々木千穂役の東山奈央です!」って名乗れることが嬉しかったですね。
――東山さんが声優になって、わりとすぐくらいの作品でしたよね?
東山:3年目くらいだったかな? レギュラーが少しずつ決まり始めたけど、当時はまだ大学生で、就活もするのかな? そういう選択肢もあるのかな?っていう段階でした。
でも、2013年あたりが、今でも代表作として名前を挙げさせていただくような作品とのご縁に恵まれた年でもあって、役者としては大きな年だったんです。
――『きんいろモザイク』や『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』など、多くの作品に出演されていましたね。今もそうかもしれないですが、佐々木千穂のような、かわいい役を演じることが多かった印象があります。
東山:この頃ピンクで巨乳の役を演じることが多かったんです。声のイメージがピンクだったのかな……?(笑) かわいい役を演じられることは嬉しかったですし、ちーちゃんも本当にかわいい子でした。
でもかわいいだけではなく変顔キャラでもあって、意図的な作画崩壊がたびたび起きていたのが面白かったです。原作が面白いのはもちろんのこと、ああいう描写を見るとアニメだからこその笑いも生まれますし、アニメ化することで、さらに面白さが広がる演出だったと思います。
――演じていて、自分にとってこういうキッカケになった作品だったなぁというのはありますか?
東山:「はたらく魔王さま!」ってギャグ作品でもあるじゃないですか。それまでギャグってあまりやったことがなかったし、まだ台本と自分の世界になっちゃっていた時期なんです。いっぱい練習して現場に向かうんですけど、自分の演技プランが固まり過ぎていて、ほかの役者さんとの柔軟な掛け合いがまだまだ難しかった。
でも「はたらく魔王さま!」の休憩時間ではメインキャストの皆さんとずっとお話をしていて、先輩とこんなにポンポン会話が弾む現場って経験したことがなかったんです。いつも緊張してうまく話せなかったり、聞くだけになってしまったりしたんですけど、勇者エミリア役の日笠陽子さんはじめ、おしゃべりが上手な先輩しかいなくて、キャリアも年も離れていた新人の私に、いっぱい話を振ってくれて、声が枯れちゃうんじゃないかってくらい笑っていたんです(笑)。そのくらい楽しかったし、その空気感がそのままアフレコに活きていたんですよね。
だから、マイク前の時間だけではなく、そこに向かうまでの空気感含めて作品作りなんだなぁって思わせてくれた作品です。当時のマネージャーが「お芝居のキャッチボールがちゃんとできるようになりましたね」って褒めてくださったのを覚えています。そのキッカケをくださったのは、“はたま”のキャストの皆さんだったなぁって思いますね。
――アドリブも多かったのですか?
東山:特にエミリアはアドリブが多かったかな? 私自身は第2期のほうがアドリブしている印象があります。第2期だとスタッフさんたちも私たちのことをよく知ってくださっているので、うまいことやってくれるだろうと思っているのか、良く言えば信頼、悪く言えば雑なパスが来るんです(笑)。
――「このカットからこのカットまでアドリブでお願いします」みたいな感じですかね?
東山:何カットもあるんですけど~!っていう(笑)。しかも分散収録だから、アドリブで会話したいんだけど相手がたまにいないことがあるんですよ! とは言え、私たち同士も信頼しあって、いい感じに返してくれるかな?って思いながらやっています。本当にチームワークがしっかりしているなって思いますし、楽しくアフレコさせていただいています。