「〇〇色の表紙ってもしかして…」――BL漫画における表紙カラーとストーリー内容には関係性があるのか?BL好きライターが調査してみた!【ネタバレあり】
【大人の魅力漂う妖艶ブラック】
みなさんはブラックにどのようなイメージを持っていますか?
私は、黒には他の全ての色を呑み込んでしまう、何色にも染められない底の深さを感じます。底が見えないというか、他の色と比べても無機質な印象です。「ブラックホール」なんていう言葉もありますよね。
また、モノトーンな色合いであることから「シック」な印象を受けたり、「シック」から派生して「大人な雰囲気」などを感じたり。そして、色自体がとても暗い(黒より暗い色はない)ので「暗い(ダーク)」な印象を受けました。
これらはBLコミックスに於いても同じく、「奥深い(底が見えないからの派生)」「大人な雰囲気」「ダーク」なイメージがあります。
ピュア! というよりは、ちょっとアダルトな雰囲気と言いますか、黒が表紙のBLコミックスは作中に大人びている登場人物が多い気がします!
では実際にはどんな作品があるのでしょう?
黒か白か
考察レビュー
黒と言えば「大人な雰囲気」「ダーク」なイメージがありますよね。
本作『黒か白か』も、まさにその「大人な雰囲気」「ダーク」なイメージにぴったりの作品になっています。
芸能界が舞台となっている本作。 学生の頃から恋人同士だった慎(受け)とシゲ(攻め)ですが、“大人になった”2人のお話が描かれています。2人とも職業は「俳優」ということで様々な問題が襲いかかっていきます。
芸能界の裏の部分がリアルに描かれており、学生時代の純粋に相手を好きでいた頃とは裏腹に「好き合っているのに…」という芸能界で生きるからこその慎とシゲ各々の心境が複雑でどちらの立場で読んでみても考えさせられる作品です。
タイトルの『黒か白か』も、ある事情から慎を守るために芸能界に入りしたシゲが業界でホワイトでキラキラした印象の「皇子」と云われ、特撮モノで悪役(ダーク大佐)を演じ業界的にもヒール(ブラック)な印象がある慎、2人のことを指しているのかな? と感じました。
内容も2人の恋仲を邪魔するかの如く芸能界の裏の部分が濃く出ているのでブラックな印象はあっているなぁと。
恋するインテリジェンス
考察レビュー
黒と言えば「大人な雰囲気」にくわえ、「奥深い」イメージがありますよね。
本作『恋するインテリジェンス』も、まさにその「大人な雰囲気」「奥深い」なイメージにぴったりの作品になっています。
「カップリングの多さでいうと、丹下先生の『恋するインテリジェンス』の隣に出る作品はないのではないか?」と感じてしまうほど登場するカップリングが多数。本作はおよそ、29組のカップリングがあります。
舞台は外務省・財務省・厚労省・法務省となっており、官僚というスタイリッシュなキャラたちが織りなす“大人の恋愛事情”がオムニバス形式で進んでいきます。身体の関係ありきという設定なので“大人な雰囲気”がむんむんです。
官僚ということで黒いスーツ姿が多いキャラたちの姿を作中でもたくさん見るので(私服をあまりみない)モノトーンのブラックの表紙が、官僚という職業の知的さや“シックさ”を引き立てているように思えます。
最初に表紙をみた時は「難しい話かな……?」と思ったのですが、実際にはコメディ要素もふんだんに盛り込まれており「フフ」となってしまうこともしばしば。かと思いきやシリアスで奥が深く泣ける回も。
イキガミとドナー
考察レビュー
先ほどと同様、黒と言えば「ダーク」なイメージ。本作『イキガミとドナー』も、そのイメージにぴったりの作品でした。
鬼道(攻め)は自分に関して無頓着。国を守る最強戦闘種「イキガミ」という存在になってから希望というものを失ってしまっているように感じました。
作中、鬼道のドナーでもあり学校の教師である吉野(受け)に『未来の自分への手紙』という宿題を出されるのですが、イキガミといういつ死んでもおかしくない存在だからこそ未来を思い描くことが出来ず、何もかけず白紙で吉野に見せたシーンは印象的でした。
鬼道の生い立ちも相まって、“ダークでシリアス”な要素が強いですが、ほろ苦さを含みつつも、そんな2人の関係がドナーから恋人へと変化していく様子に心がじんと熱くなったりします。
そのほか該当作品
チョコストロベリー バニラ
【一言コメント】
ダークな三角関係。歪だけど癖になります。
少年の境界
【一言コメント】
ダークなオメガバース作品。苦しんで悩んで……というシーンがあり考えさせられます。
死神は殺せない
【一言コメント】
死神と人間のお話。死神の表情や仕草が大人びていて色っぽく感じます。
gift
【一言コメント】
ボクシングという業界にスポットを当てた作品。ダークで重ためな内容で考えさせられました。
囀る鳥は羽ばたかない
【一言コメント】
ヤクザという業界にスポットを当てた作品。シックな雰囲気を含みつつ、ヤクザならではの裏事情が盛り込まれています。
総合考察結果
ブラックな作品は、ある業界の裏事情やある業界自体にスポットを当てて描かれることもしばしばあるのかなぁと感じました。
1つの業界の深いところまで描かれていることがあるので、「奥深さ」や「大人な(社会人)」といったイメージを持つのかも知れませんね。
ほかにも、ブラックという色自体の暗いイメージ通り、「ダーク」な印象の作品もありました。