TVアニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』リコ役・富田美憂さん×レグ役・伊瀬茉莉也さん×ナナチ役・井澤詩織さんインタビュー|リコ、レグ、ナナチが単独行動する中で見せる活躍に注目!
ここまでの第2期で印象深かったシーンは?
――第4話まで放送されましたが、印象深かったシーンを挙げるとすればどこでしょうか?
富田:まず第3話でマアアさんがメイニャを傷つけてしまった時の「精算」のシーンです。この六層がどういうところなのかをわかりやすく物語っていたシーンだったので印象深いです。
あとは第4話の食堂で、私が好きなムーギィさんと出会うシーンを、ムーギィさん役の斉藤(貴美子)さんと一緒に収録させていただいたのも印象に残っています。
第1期の時に私は10代で、お芝居についてもまだ理解できていなくて。そんな時、伊瀬さんに「五感をたくさん使って、お芝居するとすごく楽しいよ」と教えていただいたのですが、それをうまく、わかりやすくできたシーンだったなと思います。
食堂ではいろいろな音がして、たくさんの人がぎゅうぎゅう詰めで座っているから他の人の温度が感じられるはず、「香ばしくて、ちょっと辛い匂いがするんだろうな」など、いろいろな想像を膨らませて演じたので、すごく楽しいシーンでした。
井澤:私は第1話冒頭からガンジャ隊が島を見つけるところまでに、「ちょっと不気味だけど好奇心をそそられる」という『メイドインアビス』の世界観が詰め込まれている気がしました。
原作の構成と変えているところもアニメならではだと思いますし、『メイドインアビス』を見たことがなかった人も、あのシーンを見ただけで、「何だこの作品は!」と驚きと衝撃を受けるような、インパクトが強いシーンだと思います。
あとは第4話の最後のシーンですね。まさかのミーティとの再会は、ナナチにとっては衝撃的な出来事ですから。原作を読んでない方はビックリしたと思います。
伊瀬:私、アビスのOPが大好きで、飛ばせないんですよ。毎回、見入っちゃう。今回の第2期のOPも大好きで、メロディも歌詞も歌声も最高だし、ガンジャ隊とリコ隊が時空を超えてリンクしてるのがすごく良いですよね! ヴエコとイルミューイが抱き合うところでいつも泣いてしまいます。
物語の中で特に印象的なのは、第4話でのファプタとレグの対面。ロボットであるレグと人間のリコは、時の流れ方が違うのでファプタから「これからも一緒にいるつもりなのか?」と問われた時、以前の自分だったら何て答えてたんだろう?今と変わらない答えを出すのだろうか…と自問自答するシーンが印象的でした。
――第1話の開始10分近く、主人公が出てこないアニメも珍しいですよね?
富田:確かに(笑)。
井澤:「リコたち、どこに行ったの?」ってなりますよね。
――また第1話からヴエコ役の寺崎裕香さんのモノローグ風のナレーションが何度か入っていましたが、中盤まで進んだ後に見返してみたら、一言一言につながりや意味があったことに気付き、驚きました。
富田:情報量が多い作品なので、1回見ただけではわからないことも多いですよね。
井澤:伏線とか見逃してしまうと思うので、何度も見ていただきたいです。
富田さんのファブタ役のキャスト予想は大正解! ヴエコはこのシリーズを代表するキャラ
――第2期からの新キャラクターであるファブタ、ヴエコ、ワズキャン、ベラフの印象をお聞かせください。
富田:第2期の収録が始まる前から「ファプタは絶対、久野美咲さんだ!」と勝手に思っていたらビンゴでした(笑)。別の現場でご一緒した時、「実は『アビス』の現場に行くことになって」と教えてくださって、「当たった!」と嬉しかった記憶があります。
ワズキャンは第1話から人の姿で出ていましたが、第4話の食堂シーンで「ワズキャン」という名前が聞こえてきたけれど……。
キャラが増えた分、新しいキャストさんも増え、第2期の収録もすごく新鮮でした。コロナ禍のため(数人ずつアフレコを行う)グループ収録でしたが、毎回違うキャストさんとご一緒させていただきました。
井澤:この作品では日常を題材にした作品などではなかなか見ることのできない声優さんのお芝居が見られるので、声優オタク、演技オタクな私は見ていてめちゃめちゃ楽しかったです(笑)。
ファプタは怒りが強いキャラなので、「演じてすごくエネルギーを使うだろうな」と思いました。
ヴエコは作中でベラフから言われたように、暗い目をしていて。性格が暗いわけではないですが、芯の部分では悲しくて、でも愛情もあって……と第2期を代表するキャラだと思います。
ワズキャンは第4話が終わった時点でも解明され切っていないと思うので、今後の彼の言動に注目していただきたいです。
ベラフは、もし冒険して同じ境遇になった時、皆さんが一番共感できるキャラかもしれません。
伊瀬:ファプタは見た目がもうズルいですよね。可愛さと美しさと怖さを併せ持った魅力の塊です。ヴエコは見るからに気弱で自信無さげで…アビスの過酷な環境下で生きていくには優しすぎるんじゃ…と心配でしたが、守りたい大切な存在(イルミューイ)ができたことによって精神的に強くなれる、母性溢れる女性だったんだと気付きました。
ワズキャンは自分の憧れや欲にどこまでも素直、故に残酷な決断も厭わない、探窟家らしい人だと思います。ベラフは誇り高い孤高の王子様!目の輝きが美しい…。アビスの中でも1、2位を争うイケメンだと思います!
間隔が空き、悩みながら臨んだ収録で得た結論は「あまり深く考えないこと」!?
――アニメとしては2020年1月に公開された劇場版『メイドインアビス 深き魂の黎明』以来となりますが、収録に臨むにあたって意識されたこと、難しさを感じた点はありましたか?
富田:リコたちが登場する第1話のBパートのテストをした時、「テンション感や時系列を劇場版の最後に合わせましょう」というディレクションをいただき、収録本番前に2年前に(気持ちを)合わせる作業をさせていただきました。第2期でリコを演じるにあたって、前と同じものが出るかなという不安があったんです。
井澤:わかる!
富田:第1期などは10代の成長期に収録していたため、今と声もちょっと違っているし、「大丈夫かな?」という気持ちでスタジオに行って。でも結果的に何も考えずにやったほうがリコになると思いました。
普段の収録では、かなり細かく台本に書き込みをするのですが、そうしたほうがいい場合と、やらないほうがいい場合が演じるキャラによってはあると思っていて。リコは考えていることをすぐに口に出す子なので、「声の高さはこれかな?」みたいにモヤモヤ考えながらやるよりは、あまり考えずに感じたままやったほうがいいかなと思って収録に挑みました。
音響監督の山田(陽)さんも第1話の収録の時、「あまり深く考えず」と言ってくださいました。第2期に向けての不安は第1話で解消された気がします。
井澤:私も同じですね。「ナナチっぽく! ナナチっぽく!」と意識しすぎるとちょっと違ってしまって、逆にリラックスすると戻ってきてくれるんです。キャラを忘れてしまっているわけではないので、「普通にやればいいんだな」という結論にたどり着きました。
――ナナチは劇場版で自分自身の問題を解決できたことで、第2期でリコたちと冒険を続けていても心境の違いがあったのでは?
井澤:そうですね。最初にナナチが登場した時はリコとレグのことをすごく警戒して、距離もとっていましたが、ミーティの件で絆が深まって、劇場版でもっと深まって。
今は2人を支えたい気持ちになって、心を開いた分、感情などの幅が出てきました。でも幅が出たからといって、私があまり自由にやりすぎてもキャラではなくなってしまうので、そのバランスは難しいんです(笑)。結局、思ったまま、1回やってみるのがいいのかなと思っています。
伊瀬:劇場版から第2期は物語の中で大きく時が流れてるわけではないので、ボンドルド戦を終えたばかりのレグの心境を思い出し、第1話に臨みました。
あとこれは第1期から毎度お馴染みのやり取りで、音響監督の山田さんに「声が低くなってる。レグのイケメン度が上がってる」とご指摘を頂くので、第2期はそう言われないように高めの音を意識してました。すると「今日ちょっと違う」「もうちょっと低くしていいよ」と言われてしまったりして。さじ加減がなかなか難しいなと思っています(笑)。
――どなたと一緒に収録されることが多かったですか?
井澤:序盤は3人一緒に収録できましたが、(キャラが)それぞれ別行動になってからは違うチームでの収録でした。
富田:もちろん一緒に収録できるに越したことはないですが、そこまで不安でもなかったです。第1期、劇場版とやってきた中で、私たちキャストもスタッフさんも、いい作品を作るために同じ方向を向いているのは実感できていましたから。
井澤:私も不安はなかったですが、皆さんの演技が見られないことはただただ残念でした。声優&演技オタクなので(笑)。
富田:その点は私も悲しかったかも(笑)。
井澤:自分の収録の前後に、他の方の収録があれば見ることができるかもしれないけど、全然時間が違うと残っているわけにはいかないし。
伊瀬:もちろん一緒に録れることに越したことはないのですが、リコとナナチに関しては、これまで築いてきた信頼があるので、自然とお芝居のイメージが持てましたし、物語の中でもそれぞれ自分のやるべき事に立ち向かっているので、キャラクターとしては別々のアフレコで良かったんじゃないかなと思います。
キャスト同士の会えない寂しさが、キャラクターとリンクしてお芝居に良いエッセンスが加わってたりして(笑)。