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- おかもとみか
- 2021夏デビューのオトナ女子新人ライター。ミドル層の男性声優さん関連記事を書くことが多いです。
みなさんは音声ガイドをご存知でしょうか。
音声ガイドとは、美術館や博物館等において、展示物の詳しい紹介を音声で来場客に提供するサービスです。
昨今では声優人気を反映してか、こうした美術館や博物館等の音声ガイドに声優が起用されることが多くなって来ています。また声優がガイドを担当することで、声優・アニメ業界のファンが美術館等へ足を運ぶことも多くなって来ているようです。
最近話題となっている、声優による音声ガイドのひとつが「芸術×力 ボストン美術館展」。本展の音声ガイドを務めているのは、声優・鈴村健一さんと櫻井孝宏さんです。鈴村さんはその展示物の見どころや技法などを解説する「オモテ」ガイドを、櫻井さんは展示物にまつわるエピソードなどを紹介する「ウラ」ガイドをしているとのこと。
「ボストン美術館展」は2022年7月23日(土)~10月2日(日)まで、東京・上野にある東京都美術館において開催されています。本展は元々、2020年に同美術館で開催の予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっていました。
しかし、2年後となる2022年7月に再度開催が決定され、現在多くの人々がその美術品の魅力に惹かれ足を運んでいます。本展の見どころは、古今東西の美術品を有するボストン美術館の展示品の数々、ではありますが、その「音声ガイド」を人気声優が務めていることでも注目を集めているのです。
筆者はこれまで、ごくたまに美術館を訪れる程度の知識しか有さず、決して美術品に造詣が深いわけではありませんが、「鈴村さん、櫻井さんのガイドが聴ける」という触れ込みに惹かれ、「ボストン美術館展」で生まれて初めての音声ガイド体験をして来ました。
本稿では、美術館・博物館における音声ガイドの魅力などをお伝えするとともに、音声ガイドとともに巡った「ボストン美術館展」のおもしろさなどもご紹介。また、現在全国各地で聴くことの出来る、声優が担当する音声ガイドを採用している美術館、博物館等をまとめています。
厳しい暑さが予想されている2022年の夏、涼しい美術館・博物館等で素晴らしい美術品・展示物を、魅惑の音声をお供に楽しんでみてはいかがでしょうか。
音声ガイド、みなさんは体験したことがありますか。
これまでは、解説が録音されている専用端末を館内で有料にて貸し出していましたが、スマートフォンやアプリが一般化した昨今では、アプリをダウンロード(有料)することによって利用出来るというサービスも始まっています。新型コロナウイルス感染対策の観点からも、他人と機器を共有することなく楽しめる、というのも魅力のひとつとなっています。
もちろん、こういった音声ガイドがなくても、展示品には詳細な紹介文が一緒に掲示されていることがほとんどなので、通常通り楽しむことが可能です。また、自分の視覚を通して感じたことから、その展示品にまつわる想像を膨らますことも、楽しみ方のひとつではあります。しかし、展示品の鑑賞に音声ガイドを取り入れることで、より直感的に作品を楽しむことが出来るようになります。
人物を描いた絵画を例に取ってみましょう。
この絵画について、いつの時代に活躍した画家がこうした背景で描いた作品であり、描かれている人物は誰で、身につけている衣装のこういった部分が富の象徴である……といった紹介文が掲示されている場合、すべての説明文を読んでから絵を鑑賞することになります。
しかしガイドがあると、音声でこうした詳細な説明を直接耳にしながら、絵をじっくりと鑑賞することが可能になるのです。そうすることで、より一層作品に対する理解が深まり、親しみを覚えたり作品に共鳴することが出来るのが最大のメリットです。
また、一度聞いただけでは理解が追いつかなかったり、もう一度聞き直したいといった場面にも、自分のペースで何度でも繰り返し聞けるのが音声ガイドならではの特色といえます。音声ガイドは、展示品を楽しむための”自分専用の案内人”といったところです。
さらに、この音声ガイドをプロの声優が担当している場合は、何より心地よいトーンと聞き取りやすいナレーションが大きな魅力となります。展示品鑑賞を手助けしてくれると同時に、美しい日本語も楽しめる。そこが、声優による音声ガイドをおすすめする理由です。
では、筆者が音声ガイドを初体験した「ボストン美術館展」の魅力もご紹介させてください。
「ボストン美術館展」では実にあらゆる地域の美術品が所蔵されており、その一部が今回海を渡って日本にやって来ています。しかも、展示品の中には日本の絵巻までもが含まれていて、「ボストン美術館」に所蔵されてから初めての「里帰り」となる作品もあるとか。
地域や年代が多岐にわたっていると、それだけの知識量も必要となるところですが、知識の乏しい筆者の鑑賞の手助けをしてくれたのが、今回の鈴村さん、櫻井さんによる音声ガイドでした。
前述した通り、鈴村さんが「オモテ」ガイドとして作品の紹介をしてくれるため、まずは作品に対する知識をそこで得られます。「右側に描かれている○○は……」のような詳しい説明を、その絵を鑑賞しながら聞くことが出来るので、知識がなくとも気軽に作品を楽しめます。
さらに、櫻井さんの「ウラ」ガイドではその展示品にまつわる、いわゆる「知っていたらちょっとおもしろい」エピソードが語られるため、その展示品が創造された時代の人々に対して親近感を持ったり、その展示品と自分との距離が縮まる感覚までも味わえる気分でした。
今回の本展の目玉のひとつである「里帰り」した日本の絵巻についても、長い絵巻を目で楽しみながら、どういった描写がされているかの解説を耳で知ることが出来て、まるで紙芝居を見ているかのような気軽さで「国宝級」の作品を楽しめるのも、大きな魅力です。
また、絵画等に限らず、本展ではジュエリーや陶器、衣装までもが展示されています。そうした「富の象徴」でもある展示品の数々に目を奪われつつも、その展示品を介して繰り広げられた人間くさいエピソードによって、過去の偉人たちが自分たちと変わらない感情を有していたことを想像出来るなど、実に興味深い体験をさせてくれるのが、この音声ガイドであるともいえます。
なお、本展公式サイトでは鈴村さん、櫻井さんの「音声ガイドの楽しみ方」や来場する人への「メッセージ」なども聴けますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
◆[文/おかもとみか]
2021夏から駆け出した新人ライター。大人になってから乙女ゲームに触れたことがきっかけで、男性声優さんに興味を持ち、本格的にアニメを見始めた文学部出身のオトナ女子。初めての乙女ゲームは『ときめきメモリアルGirl's Side(1st)』。作品などの聖地巡礼やコラボカフェも好き。ミドル層の男性声優さんやKiramuneレーベルについての記事を書くことが多いです。