お気に入りの原画はファンの魂が入った天宮奏のあのシーン!? 村野佑太監督がアニメ放送当時を振り返る! 「ドリフェス!R サイコー超えてる!アニメ原画展」開催記念インタビュー
2次元のキャラクターと3次元のキャストが密に連動した5次元アイドル応援プロジェクト『ドリフェス!』。
本作は、新人アイドルが夢のステージ『ドリフェス!』を目指して切磋琢磨していくストーリー。2次元の男性5人組アイドル“DearDream”など実際のキャストとキャラクターが連動し、ファンは2次元と3次元をまたぎながら彼らにエールをおくり、彼らがそれに応えることでアイドルとして成長。その過程を見守り、共有していきます。
そして現在、8月21日(日)までアニメイトアネックスにて、アニメ『ドリフェス!』『ドリフェス!R』の原画展が開催中です。約200枚にも及ぶ生原画やキャストが着用した舞台衣装などが楽しめます。
そんなファンにとっては嬉しい原画展の開催を記念して、本作で監督を務めた村野佑太さんにインタビューを実施しました。実際に原画展をご覧になられての感想や当時の思い出話など語っていただきましたので、ぜひチェックしてください。
ファンの魂が込められている『ドリフェス!』
——まずは、原画展全体をご覧になっての感想をお願いします。
村野佑太監督(以下、村野):とても懐かしいです。そもそも監督という立場上、絵コンテやレイアウトはその都度チェックしますが、原画自体は演出さんや作画監督さんにお任せしていて自分がチェックする機会はあまりないんです。そういう意味で言うと、ここに展示されている画は新鮮な気持ちで見られますね。楽しかったことや辛かったことも込みでやりがいのある現場だったなと当時の記憶が蘇ってきました。
——監督自身、初めて見る原画も?
村野:たくさんありましたよ。勿論、自分で演出を務めたパートや監督チェックにまわしてもらったカットの原画は見ていますけど。いくつか自分の文字が書き込まれている原画もあったので、“懐かしいな~”と思いました(笑)。
——生原画にどのような内容が書かれているのか、足を運ばれる方はチェックしておきたいポイントですね! 当時の思い出が蘇ってきたとお話されていましたが、印象に残っている制作エピソードはありますか?
村野:『ドリフェス!』という企画を最初にBNPさん(バンダイナムコピクチャーズ)から託していただいたときに、「熱いアニメにしよう!」と言われました。他のアイドルアニメよりも熱くて、それこそ青春で、体から湯気が湧き出てるような感情が伝わってくるアニメにしたいと。
たぶん、他の同じようなアイドルアニメよりも、割と表情が強烈に出ている画が多かったかなと思うんです。改めて、原画展で画を見たらキリッと眉毛を釣り上げていたり、大口を開けていたり、そういう表情が強烈に出ている画が結構たくさんありました。
やっぱりそういう画があると、よりキャラクターの人間味みたいな感情が伝わってきて熱い想いが込み上げてくるので、すごく面白かったです。200枚近くの原画を見ただけで、このアニメがどういうことを目指そうとしていたのかがよくわかるものになっていました。
——他にもぬいぐるみ撮影コーナーや衣装展示など盛りだくさんですが、注目してほしいポイントやコーナーがあれば教えてください。
村野:やっぱり原画の1枚1枚を見ていただけたら嬉しいです。あと、僕がファン目線で見たときに、衣装はすごく見ごたえがあるなぁと思いました。
言ってしまえば『ドリフェス!』という1つのコンテンツですが、3次元のほうは僕も割とファン目線で見ている面もあって。衣装の塗装が少し剝げていたり、シミや汚れがついていたりするところを見ると、当時これを着て7人はすごく頑張っていたんだなと伝わってきて、綺麗なものを見るよりもグッと来るものがありました。
——確かに。よく見たら“使用感”がちゃんと出ていて“リアル”を感じました。そして、原画展ならではの要素といえば、来場者特典です。監督描きおろしの「4コマ」イラストを使用したポストカードがプレゼントされます。
村野:最初、峯岸プロデューサーのほうから来場者プレゼント用に日常の一コマをテーマにした1枚絵を描いてほしいとオーダーをいただきました。でも、日常を1枚絵で表現するスキルが僕にはなくて、1枚絵で描くのが難しいと(笑)。
実は、オンエア当時からサンクスイラストは僕が描くことになっていましたが、1枚絵で何かを表現するイラストレーターとしての能力がなさすぎて、だんだん漫画みたいになってしまいました。
漫画だったらセリフやコマ割りで表現できるところがあったので、『ドリフェス!』の原画展まで足を運んでくださるくらいの熱心なファンの方だったら、たぶん僕のイラスト1枚絵よりも漫画風の絵のほうが馴染みがあるだろうなと思ったので、4コマイラストにしよう!と。
“本編の一コマ”という依頼でしたが、せっかくファンの方が見るのであれば“その後”が気になっていると思うので、“その後の彼らはこんな感じで日常を過ごしていますよ”と監督としての立場からお伝えできれば良いのかなと思い、このような形になりました。
——彼らの“その後”が描かれているのですね!
村野:彼らは僕の中で育っているんです。コンテンツとしてはアニメ放送後のまま保存されているわけですが、僕の中では年月が経っちゃっているので、彼らは現実の“DearDream”と“KUROFUNE”と同じぐらい年齢を重ねていて。そのときに彼らがどういう風になっているのか、何となく頭の中にあるのでそれをちょっと出しています。
と言っても、ちゃんとアニメ本編直後の一コマになっていますが、そういう想いも込めて見ていただけたら良いなと思って描きました。
——“その後”の様子はやっぱり気になりますから、4コマイラストにしていただけるだけでもありがたいです。
村野:本当はもっと描いてもよかったんですけど、そうすると集めるのも大変になっちゃうから逆に不親切かなって(笑)。なので、全部で6枚の4コマイラストになっています。
——描きおろしといえば、“DearDream”と“KUROFUNE”メンバーそれぞれの原画展描きおろしイラストも1人ずつ展示されていて豪華でした。
村野:アニメ本編のイラストではないので僕自身も初めて見ましたが、ファンの方たちにとっては新鮮でカッコいいイラストだと思います。
——描きおろしイラストはもちろん、本当にたくさんの生原画が展示されていますが、村野監督のお気に入りの原画はありましたか?
村野:『ドリフェス!R』第1話の冒頭で天宮奏くんが、耳に手を添えてファンの声を聴いている画です。あの画は結構思い出に残っています。
というのも、ファンのお客さんのリアルな声をアニメに使う手法を、第1期の9話で試験的に導入しまして。それは本当に偶然思いついた案で、第2期からは計画的にファンの生の声を採用していこうと制作していました。
そのファンの声を聞いた奏が、そのカットなんです。僕の中では2次元と3次元をどういう風に合わせていくか、3次元にいるファンの方たちの想いをどうやって2次元の彼らにまで突き刺していくのか、本来であればテレビによって分断されてしまう次元ですが、そこをさらに抜けていく作品にしたい想いがありました。
なので、ちゃんとその想いがキャラクターに届いた瞬間の表情はこういう表情だろうと結構考えて描いた画ということもあって、奏くんのそのカットはすごく思い出に残っています。
——なるほど……! 監督のお話を聞くと1枚1枚にしっかりと想いが込められているのだなと感慨深い気持ちになります……。
村野:やっぱりファンの方は、ちゃんと自分の想いを込めている声が想像ではなく真の意味でキャラクターに届いていることが嬉しいと思うんです。
当然、アフレコで収録するときに、キャストの7人にもあらためてファンの歓声を聴いてもらって、それに返す形でキャラクターに声をあててもらっているのでそういう意味でもちゃんとコール&レスポンスというか”声”が届いているところは、このアニメの特色だったと思います。
最近ではそういうのを取り入れているアニメもありますが、当時では割と初めての取り組みに近かったんじゃないかな(笑)。
——確かに! ファンの声を取り入れようと思ったきっかけというのは、やっぱりそれだけたくさんのファンの声があったからなのでしょうか。
村野:そうですね。最初は本当に高尚な追求心とかではなく、単純に音響さんが素材として使えそうだなと思って録っていたんです。やっぱり作り物の歓声よりも本物の歓声のほうが音域に厚みがあるので、音響さんの「もうちょっと良い音を揃えたい」というところからファンの声を拾い始めました。
その話を僕と峯岸プロデューサーが聞いたときに「それはすごく良いんじゃないか」と。単純に素材というものではなく、「奏く”ぅ”ーん”っ!!!」というその声に強いパトスが込められているので、ただの素材ではなく魂として作品に取り入れていったほうが良いだろうと考えたのがすべての始まりです。
——ファンの魂が入っているアニメ……素敵ですね。原画展の開催が発表されたときも、『ドリフェス!』ファンの皆さんから喜びの声がたくさんありましたから、それだけ愛されている作品だと実感します。
村野:本当に嬉しいことですよね。現在進行形で続いている作品ならまだしも、企画が始まってから6年、アニメが放送してから4年半が経過してからもこれだけ立派な原画展をしていただけるなんて……。
これは決して大げさなことではなく、ファンの方たちの熱量がものすごく高いからこそ出来ていることなんだなと毎回思います。
正直、武道館ライブの後で『ドリフェス!』関連で呼ばれることがあるなんて微塵も思っていなかったですから。この原画展のお話を聞いたときも「えっ、今2022年だよ!?」と(笑)。
普通はもう二度とお目にかかれない画たちが、まだこんなに残っていて、今回の原画展で展示されている原画も本当にごく一部だという話なので……本当に感慨深く感謝の気持ちでいっぱいです。