アニメ『はたらく魔王さま!!』10話放送後インタビュー:勇者エミリア/遊佐恵美役 日笠陽子さん |怒りがあるけれど、そこから葛藤していく姿は、第2期のポイント
『はたらく魔王さま!』(著・和ヶ原聡司/イラスト・029)。9年ぶりにスタートしたTVアニメ第2期『はたらく魔王さま!!』が好評放送中!
エメラダから、恵美の母であるらしいライラが日本にいるかもしれないという電話。そして鈴乃から、真奥をエンテ・イスラに戻さないため、真奥を守らなければならないと告げられた恵美はどう動くのか。真奥がテレビを買いに行くという中でも、いろいろなことが同時に進んでいく『はたらく魔王さま!!』の面白さが詰まった第10話。最後、千穂はどうなってしまったのか!
アニメイトタイムズでは第2期放送前に公開した連載に続き、第2期の終盤に向けて再びキャストインタビューを毎週掲載! 勇者エミリア/遊佐恵美役 日笠陽子さんに、これまでの印象的なシーンを振り返ってもらいました。
恵美を演じる上で大事にしたこと母の強さと、根底にある怒りと葛藤
――第2期のアフレコは、いかがでしたか?
日笠:第1期のときの、恵美が怒っている顔の印象が残ってしまっていたので、対真奥のときだけキレながら接してしまっていたんです。それで音響監督からキレ過ぎと言われることが多くて。
恵美もアラス・ラムスを介することによって変わってきているし、真奥は魔王なんだけど、そうでもない部分を第1期のときに見つけて、今、会話をしているんだなと思ったんです。本当にキレすぎて会話にならない感じだったので、会話はしようという感じで始まりました(笑)。
――アラス・ラムスの存在は大きかったですよね。「まま」「ぱぱ」と言われる存在だから、キレてばかりではいられないですし。母の優しさ的なところも出ていたのかなと。
日笠:私の母のイメージって実は強いイメージなんです。この男性社会の中の母像って、母性があって優しくて、何でも許してくれるようなものだと思うんですけど、そういう意味では恵美って、アラス・ラムスに対してはめちゃめちゃ優しいし、守ろうとする意思は強いんですね。
でも「母は強し」って言葉があるのには意味があって、私も母は強いものという印象があるので、アラス・ラムスを守るためにどうしたらいいのか、という芯の強さみたいなものは出せたらいいなと思っていました。実の子ではないんですけど。
――アラス・ラムスの木野さんのお芝居はいかがでしたか?
日笠:ドラマCDでは、アラス・ラムスを私が演じていたんです。なので、アニメになったら無理だーって思っていたんです(笑)。
木野日菜ちゃんの声ってすごく稀有で。声優界で、彼女のような声質の子はなかなかいないというか。ナチュラルという言い方ってあまり好きではないんですけど、あえて言うとするならば、ナチュラルになっちゃうんですよね。ナチュラルとアニメーションの中間にいられる子で、そこがすごいなって思うんです。
大人が赤ん坊のお芝居をしようとすると、あざといというか。アニメ過ぎるみたいなところが出ちゃうことが多いんですけど、彼女の持っているお芝居の能力と声質で、アラス・ラムスが本当にそこにいるような存在に聞こえるんです。木野日菜ちゃんは、アラス・ラムス役で会う前から結構推しだったので、こうやって一緒にやれて嬉しいです。
――10話までで印象に残っているシーンはどこですか?
日笠:アラス・ラムスに「まま」と言われたときの恵美の狼狽っぷりは見どころでしたね(笑)。最初の1~2話は『はたらく魔王さま!』らしいシーンが多かった印象です。
そこから物語が進んでいくにつれて、シリアスな展開も多くなるんですけど、その中でも印象に残っているのは、お母さんが出てきたり、エンテ・イスラの頃を思い返すところで……。やっぱり私の畑を焼いた魔王を許せないという話をするんですよね。
恵美の根幹って、そこにあるなと。恵美の怒りって、表で「わー!」って発散するものではなく、どんどん自分の中で練り固めている感じもあったので、怒りは消えないんです。でも、真奥を見ると変わっていっているし……。怒りがあるけれど、そこから葛藤していく姿というのは、今回の恵美のポイントになる部分だと思います。
――気持ち的には複雑ですよね。あの憎んでいた魔王と目の前にいる真奥が全然違うし、アラス・ラムスもいるし。
日笠:畑を焼かれ、両親も魔王に殺されたと思っているから憎んではいるんだけど、お母さんはどうやらいるらしいし?みたいな。
第1期のときは、戦いはあるんだけどもう少し日常に近い部分が描かれていたんですけど、今回は自分たちの生誕の秘密だったり、魔王の小さい頃の出会いから、どうやって魔王になったのかという経緯も描かれていたりするので、かなり踏み込んだ内容になっているなと思います。でも、まだ謎は謎のまま終わるんですけど。