「デリシャスパーティ♡プリキュア LIVE 2022 Cheers!Delicious LIVE Party♡」開幕まであと少し! シンガー・五條真由美さんにインタビュー「ステージから見る景色って本当に特別なんです。お客さんが楽しんでくれている姿を見られることが、いちばん嬉しい」【連載第10回】
やりきっちゃったほうが正しい
──せっかくなので当時のお話をもう少しおうかがいさせてください。五條さんとしては、『ふたりはプリキュア』のお話をもらった当初はどのようなお気持ちだったのでしょうか。
五條:(ABC朝日放送の)8時30分の枠は『おジャ魔女どれみ』ちゃんの時に参加させていただいて。
『明日のナージャ』を1年挟んで『ふたりはプリキュア』がはじまったのですが、当初はどういう作品になるかは想像がつきませんでした。最初のたたき台には出てこなかった登場人物も出ていましたし(笑)。
曲と歌い手はコンペで決めていました。オープニングはもっとかっこいい、ちょっとクールな曲もあったそうなんですが、西尾さんが「DANZEN!ふたりはプリキュア」が良いよね、と。それで「DANZEN!だったら五條さんだね」と言ってくださったそうです。
──「DANZEN!ふたりはプリキュア」は名曲として現在まで親しまれていますが、当時はどのようなご印象がありましたか?
五條:あの当時、(曲の中で)番組名を連呼することが少なくなっていた時期だったんですよね。聴いた方たちは印象深かっただろうなと思います。
(作曲の)小杉 保夫さんが凄い方なので。なんだろうな……決して難しいことをやるわけではないんですけど、耳に残るメロディーを作られる作曲家さんなんですよね。いつも凄いなと思います。
正直、最初は少し恥ずかしさもありました。私は普段、洋楽が好きで聴いているので、そういった曲と比べると直球な展開で。でもいかにベタにやるのかが面白いなって。それは『プリキュア』シリーズで学ばせていただきました。
コーラスや掛け声も、やりきったほうが作品としては正しいというか。小さい女の子向けなので、その子たちに刺さるような歌い方にしたいなって。その歌い方を学ばせていただきました。
──制作陣から「こんなふうに歌って欲しい」というリクエストはあったのでしょうか。
五條:鷲尾さん、西尾さんからはなかったです。音楽ディレクターさんからは「こういうふうにいこうか」というディレクションを受けることはありました。
そのディレクターさんは、私の曲だけではなく、他の声優さんのキャラソンなども、物凄く真剣に向き合っていた方で。作品に向かう姿は鷲尾さん、西尾さんと通じるものがあったように思っています。鷲尾さんと西尾さんと、音楽ディレクターさんと一緒に話し合って作ったところもあったそうです。
──いろいろな方の、熱い思いが詰め込まれた曲でもあるんですね。ここまで受け継がれる曲になるとは、五條さんは予想されていたのでしょうか。
五條:いや……でも友達からは「朝にプリキュア見るとそのあと<プリキュア プリキュア>……が頭の中で流れるから止めてくれ」って苦情がきたくらいなので(笑)。ということは、1~2回聞いただけでも、サビが歌えてしまうくらいキャッチーな曲なんだなと思っていました。
また、いろいろな方面から「衝撃的だった」と言われたので、手応えは感じていました。アレンジを変えつつ、2年間同じ曲でやらせてもらったというのも大きいのかもしれません。
──2年目の『ふたりはプリキュアMax Heart』は新アレンジの「DANZEN!ふたりはプリキュア Ver.Max Heart」が主題歌に起用されていましたもんね。
五條:最近は1年で変わっていきますけど、あの時は鷲尾さんの英断だったんです。「アレンジ変えにしよう」と。「DANZEN!ふたりはプリキュア Ver.Max Heart」は<MaxHeart>という言葉がいっぱい入るので、お客さまがより歌いやすくなって。ライブで歌うのは、無印よりも「Max Heart」が多くなっています。
──余談なのですがその「Max Heart」を歌われていた『スター☆トゥインクルプリキュアLIVE2019 KIRA☆YABA!イマジネーションライブ』の時に、前にいる子どもたちに五條さんが優しい眼差しを向けられていたことを覚えています。
五條:あははは、そうでしたか(笑)。子どもに接する機会って、普通に生きている中でそこまで多くはないですよね。でも『プリキュア』シリーズが始まってからは、大きいコンサートだけではなく、ショッピングモールの子ども向けのイベントにも出させていただく機会もできて。そこで子どもたちと触れ合うことができました。
それまではどう声をかけたら良いか分からなかったんです。でもショッピングモールだと子どもたちとの距離が近くて、すぐそこにいる子どもたちに対して歌うので、「こう歌うとこういう反応をするんだな」「こういうことしたら喜んでくれるんだな」って、一つひとつ学んでいって。大きな会場、大人向けのライブだけでは学べないことがたくさんありましたね。
「NO PRIDE, NO LIFE!」は「カッコいい曲」
──五條さんが最初に歌われた「シェアして!プリキュア」が、今『プリキュア』シンガーの方々に受け継がれていて。『ボーカルアルバム ~Welcome to Delicious Party~』では吉武さんが歌われていて、改めて良い曲だなと思いました。
五條:そうそう! みんなが歌ってくれていて。
「シェアして!プリキュア」には<世代も超えるプリキュア>という言葉もあって「ああ、そうなんだ」なんて思っていました。歌詞も良いですよね。私は先輩として歌っている感覚があったんですけど、そのあといろいろな方が歌われる中で、その時の立ち位置で歌われていて。同じ歌詞でも感じ方も表現も違うなって思いました。
──また、後期エンディングテーマの主題歌シングル「ココロデリシャス」には五條さん、Machicoさん、北川理恵さんによる「NO PRIDE, NOLIFE!」が収録されています。
五條:聴かれました?
──はい! 『ふたりはプリキュア』につながるような強さがあるような気がしました。曲調は違うんですけど、肉弾戦の力強さというか。ハードな曲ですよね。痺れました。
五條:うんうん。凄いですよね。昔は挿入歌にもバトル曲があったから。こういう曲を聴くと「プリキュア、戦ってるな」という感じがします。
でも最初に聴いたときは「難しっ!」って思いました(笑)。レコーディングでもずっと走っているような感じで。「ああ、走った〜!」って。コーラスも大変でした。
でもカッコいい曲になりましたよね。「NO PRIDE, NO LIFE!」もMachicoちゃんとふたりで歌うのかな、どうなるのかな、と今から楽しみにしています。
──今日はMachicoさんにもお話をお伺いしたのですが「五條さんの強さの中にある余裕がすごい」というお話をされていました。
五條:Machicoちゃんのああいう歌声は初めて聴いたんです。ソリッドで刺さる感じ。可愛く歌っている印象が強かったので「おお!」と良い意味ですごくビックリしました。北川さんはどう来るか、なんとなく想像がついたんですけど、Machicoちゃんの場合はまったく想像がつかなかったです。「ああ、すごく良いな」って。
──指定席のチケット特典のスペシャルCD(<ごちそうさまでしたParty♡盤/M1:NO PRIDE, NO LIFE! ~Mayumi Gojo Ver.~>)には「NO PRIDE, NO LIFE!」のソロバージョンが収録されているとのことで。きっと五條さんの力強い歌声が聴けるんだろうなと。
五條:そうですね。でも、3人で歌ってる延長という感じではあるのですが、コーラスが結構たいへんだったので、そこも含めて楽しんでもらえたらなと思っています。
──<生きる答えだから想いが導くまま>という言葉にグッときました。
五條:刺さりました?
──はい。五條さんの力強い歌声で言われるとより響くものがありました。
五條:それは嬉しい。歌詞がすごく素晴らしいので、歌詞を伝えたいと思っているんですけど、録音されたものを聴いたときに「意外とさらっと聴こえてしまうな」と思ってしまうことがあるんです。だからそう言ってただけると嬉しいです。
──五條さんほどの人でもそう思われることがあるんですね。
五條:はい。ライブだと熱く伝わっても、レコーディングだと「意外と綺麗にまとまってしまったかな」と思うことがあります。それは『プリキュア』シリーズの楽曲に限らずですね。