『メガトン級ムサシX』に『マジンガーZ』と『ゲッターロボ』が参戦! 原点と最新作から見るロボット作品の魅力とは?|永井豪さん&日野晃博さんロングインタビュー
あの映画監督も『マジンガーZ』の虜に!
ーー今回のコラボは日野さんも相当な思いがあったのでは?
日野:『メガトン級ムサシ』を発表した「LEVEL5 VISION 2016 -NEW HEROES-」で永井先生の応援コメントをいただいているように、企画の立ち上げの時から永井先生の実行した流れを継いだ作品を作りたいことをお伝えさせていただいていました。それが6年ほど前の話ですから、実は最近になって急に始まったコラボではないんですよね。
『メガトン級ムサシ』は永井先生のロボットが出てきて、ムサシとやり合ったりするところが見どころでもありますし。
永井:嬉しいです。昔のキャラクターを出していただけるなんてね。これなんだろうって思って、子供たちが昔を振り返ってくれればいいですね。
日野:『スーパーロボット大戦』とかでマジンガーZを知っている人もいるじゃないですか。最新のコンテンツに昔のキャラクターが出るのは、作品にとっても良いことだと思います。
ゲームに出るマジンガーZもこだわっています。普通のキャラクターは飛ぶ時にホバーで飛ぶんですけど、マジンガーZだけは両手を頭の上に伸ばして飛ぶんですよ。そこは原作ファンにも見てほしいポイントです。デモプレイしてくださった声優さんたちも大盛りあがりでした。
永井:声優さんたちも『マジンガーZ』を見てくださった方がいたんですね。嬉しいです。
海外でも人気で、アメリカではロケットパンチを真似していたりするんですよ。
日野:『パシフィック・リム』ですね! ギレルモ・デル・トロ監督も永井先生の大ファンですから!「ロケットパンチ!」って言ってますからね。
永井:ギレルモ監督も小学生の時にメキシコで見ていたらしいんです。
夢中になっていたらしく、「ロケットパンチ使わせていただきました」って事後報告でした(笑)。「あ、そうですか~!」ってしょうがないかなって許したんですけどね。
日野:なんか貰ったほうが良いですよ、それ(笑)。
永井:すごいお相撲さんみたいな体の人なんですけど、ギューっとハグされました(笑)。
日野:日本のエンタメ発明の多くを永井先生がやっていますからね。海外への影響も大きいですよ。『スパイダーマン』などのヒーローは海外かもしれませんが、ロボットは日本ですから。
幼少期に読んだ漫画がSFの入り口
ーー巨大ロボットはロマンがありますよね。
永井:SFに関しては生まれた時から手塚先生の作品を読んでいました。3、4歳の頃に初めて触れたと思います。『ロストワールド』と『メトロポリス』という作品を金沢の大学で寮生活していた兄がお土産で買ってきてくれたんです。
男5人兄弟で、僕は4番目。弟4人のために手塚先生の作品を買ってきてくれたんです。その中で兄弟で好きなものを選んでいいよと並べられたんです。
日野:どの本を取るかと?
永井:そうです。上の兄たちは優しいんでね、小さい子から取りなさいと言ってくれたんです。今はうちの社長をやっている弟が『拳銃天使』を選びました。兄は『メトロポリス』と『ファウスト』を取っていきました。僕は『ロストワールド』を選びました。前後編で2冊あったので、多いほうが良い! ということで(笑)。
『ロストワールド』は最初から完全にSFの世界です。これがすごく印象的でした。小さい時から繰り返しずっと読んでいました。
日野:それが手塚先生のSF世界との出会いなんですね。手塚先生は漫画というジャンルでたくさんの発明をしていますよね。
永井:そうですね。僕もその世界を堪能していました。
作品の中に女性が出てくるんですけど、それが植物から作られた女性なんですよ。2人出てきますが、ひとりは悪人に食べられてしまうんです。ロケット内で飢えてしまって殺し合いが起こってね。
子供向けの漫画でそんな展開が描かれるなんてすごいですよね。絵が可愛いからごまかされてしまいますけど。
日野:昔はそういう規定も無いですからね。
永井:今リアルに描いたらすごい話ですよね。そういうのを4歳くらいから見てました。字は読めないので兄に読んでもらったりして、4作品を毎日のように見てました。
日野:そこで培われた創造力があるんですね。僕はその次の世代ですね。永井先生たちへ引き継がれたものを見て育ち、創造力を養ってもらいました。
永井:伝わっていくのは嬉しいですね。当時の漫画の走りのようなものは、絵物語の添え物のような立ち位置でした。絵があってその横に文章で物語が綴られている。
でも手塚先生があっという間に絵物語の時代を終わらせてしまった。漫画とSFを共に発展させて、その影響を受けました。
日野:漫画はダイレクトにいろいろな表現ができますからね。
永井:そうですね。いろんな作品が生まれるに連れて、リアルさや新しいものも増えていきます。