『機動戦士ガンダム水星の魔女』はこれからガンダムを知る方とこれまでのガンダムを知っている方、両者が楽しめる要素が込められている!?　岡本拓也プロデューサーが語る魅力と制作の裏話とは

新規層にガンダムらしさを受け入れてもらうためのアプローチに注目

――「PROLOGUE」はシリアスな内容だったので、本編もそのような展開になっていくのでしょうか？

岡本：具体的な内容に関して現時点で触れることは避けますが、本編の舞台を学園にしたのは、今まさに学校生活を送っているみなさんが、共感して見られると良いなと考えたところにあります。

元々、本作の企画立ち上げ時に「ガンダムが50年、60年とさらに続いていくために、若い世代に向けた作品を作って欲しい」という話があったんです。そこが出発点であることは確実で、それは『機動戦士ガンダムSEED』や『機動戦士ガンダム00』、『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』も変わらないはずで、本作でもその軸はブレていません。

「PROLOGUE」については、実は先に本編の第1話～2話くらいまで制作を進めていて、その後から作っていきました。設定的な部分をはじめ色々な事をこの段階で決めていきましたが、改めて本編に登場するキャラクターたちが、どんな経験をしてきたのか見返す良い機会になりましたね。

――中高生をはじめとする今の若い世代はガンダムにどんなことを求めているとお考えですか？

岡本：以前、10代の方々にお話を聞く機会があり「ガンダムってどういうイメージがある？」と質問したことがあります。「ガンダムって付いていたら見ません」「僕らに向けたものと感じない」と言われ、そういう風に捉えられてしまっているのかと衝撃を受けました。

『鉄血のオルフェンズ』を見ていた子もいましたが、『鉄血のオルフェンズ』は見ていたけれど、別に“ガンダム”を見たいという訳ではないとのことだったので、なるほどと納得しました。ガンダムではありませんが、同じような感覚に少し覚えがあったので、自分の中で繋がるところがあったんです。

だから若い世代をターゲットにしている以上、そういった感覚を大切にしたかった。

　
本作も『機動戦士ガンダム』を謳っている以上、ガンダムでなくてはならない部分があります。
　
『SEED』から『鉄血のオルフェンズ』までの作品はある種、宇宙世紀の構造を踏襲している部分があります。モビルスーツと呼ばれる兵器を用いた人と人との戦争であったり、青春群像劇であったり。
　
個人的には、これらがガンダムらしさでもあるかなと思っているのですが、そこが厚い壁になって入り辛くしてしまっているのではないかとも思えたんです。だからこそ今までのシリーズとは、もう一歩違ったアプローチをしたいと考えました。

――新たなガンダム作品として期待されている本作ですが、はじめてガンダムに触れる皆さんにお伝えしたい事を教えてください。

岡本：時間帯としては夕方の放送になりますし、配信もさせていただくので、目に触れる機会は多くなると思います。ガンダムであるという先入観に囚われず見ていただけると嬉しいです。今までのシリーズ作品を見ていなくても楽しめる物になっているはずです。

作品の中で描かれる様々な要素は、ひとつひとつがとても練り込まれたものになっています。どこから興味を持っていただいても大丈夫です。一番興味を惹かれた要素を楽しんでください。

――そして既存のシリーズファンの方も期待されると思うのですが、そんなみなさんへの一言はありますか？

岡本：抵抗がある方もたくさんおられると思いますが、みなさんの期待にもお応えできる作品になっていると思います。ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです。

――ありがとうございました。

『機動戦士ガンダム水星の魔女』作品情報

その魔女は、ガンダムを駆る。

ストーリー

A.S.(アド・ステラ)122――数多の企業が宇宙へ進出し、巨大な経済圏を構築する時代。モビルスーツ産業最大手「ベネリットグループ」が運営する「アスティカシア高等専門学園」に、辺境の地・水星から一人の少女が編入してきた。名は、スレッタ・マーキュリー。無垢なる胸に鮮紅の光を灯し、少女は一歩ずつ、新たな世界を歩んでいく。

放送情報

2022年10月2日より毎週日曜午後5時～MBS/TBS系全国28局ネットにて放送
　

スタッフ

企画・制作：サンライズ
原作：矢立肇／富野由悠季
監督：小林寛
シリーズ構成・脚本：大河内一楼
キャラクターデザイン原案：モグモ
メインキャラクターデザイン：田頭真理恵
キャラクターデザイン：戸井田珠里／高谷浩利
メカニカルデザイン：JNTHED／海老川兼武／稲田航／形部一平／寺岡賢司／柳瀬敬之
音楽：大間々昂　ほか