ガッツの生き方に触れて、自分もよりシンプルでいたい──『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』ガッツ役・岩永洋昭さん×キャスカ役・行成とあさんインタビュー(後編)
死ぬまでまだまだだな
──あらためて、お互いのお芝居のどんなところに刺激を受けましたか?
岩永:僕はやっぱり、キャスカの強さとその裏の弱さを表現する行成とあちゃんが素晴らしいと思っていて。なんだか耳に声が馴染んでしまっているのか、他の作品、海外のドラマとかを普通に観ていても、とあちゃんが吹き替えをしていると、すぐにわかるようになりました。
行成:「あれ、やってたね」って連絡くれたりして、うれしいです。私はアキさんは、身体全体で演じる人だなという印象がはじめから強くありました。実際ガッツは、叫んだりする場面も多いので身体的に負荷がかかっていると思うんですけど、グリフィスに対する想いを表すところであったりも、すべて身体から発せられている。それって隣で並んでやっているとき以上に、後ろから見ているときに感じるんですよね。
アキさんの表情は見えなくとも、体中から熱量がわき上がっている感じ。身体全体の筋肉が動いてるような、躍動感があって…やっぱこの人って全身でガッツなんだなと思わされます。そういう芝居って、どうやったらできるんだろう?という憧れは、自分の芝居の根底に今でもずっとあって。マイク前で、もっともっと生きた芝居をするにはどうすればいいかと焦がれてしまうのは、新人のあの頃、血の通った芝居を間近で見せてもらったからだと思うんです。
岩永:いやでも、難しいですよ。やはり声だけで表現するっていうのは。それは今回もあらためて思いました。本当に、毎回すごく勉強させてもらって。10年前から言ってますけど、この作品で得た感覚は実写や舞台で芝居をするときにも活かされています。
それまで自分は直感的にやってしまっていたんだけど、ほんのちょっとの声色の違いで、聞こえ方とか意味合いとか、全然違うものが表現できるんだということをこの現場で学びました。今回も俺まだまだだなと思わされたし、これからも声の表現に向き合ってきたいです。
行成:死ぬまでまだまだだなって思って、やっていきたいという気持ち、ありますよね。
岩永:そうだね。僕も個人的には、自分のことを上手いとか思ってしまったらそこで終わりなんじゃないか、という気持ちがある。自分の芝居を見る度、聞く度に、ああ、もっと!と思っちゃいますからね。
行成 そうですね。そのくらい執着できるものに出会えてよかったと思っています。
──役者として、『ベルセルク』から得たものは大きかったのですね。
岩永:はい。ほんと、声だけでこんなに表現が出来るんだって、それはもう目からウロコぐらいの驚きだったんですよ。役者として、あらゆるお芝居で必要な発見だったと思いますね。
あとは、先ほどの話(前編)とも重なりますが、ガッツの生き方に触れて、自分もよりシンプルでいたいという気持ちが強まったんですよね。仕事とかも変にこだわったり、構えたりもしなくなりました。自分が求められるんだったらやりたいし、やったらそこでまた新しい発見が必ずあるものだから。2.5次元系の舞台もそんな想いで飛び込んだら、たくさんの大きな出逢いがあったんですよね。しかも、「血界戦線」ではアニメ版で小山力也さんが演じられていたクラウス・V・ラインヘルツ役、「僕のヒーローアカデミア」ではアニメ版で三宅健太さんが演じられていたオールマイトをやらせていただいて。お二人とも『ベルセルク』でご一緒した方々なので、そういうご縁も感じました。健太さんは劇場に観にきてくださったんですよ。そんなつながりも節目節目で感じながら、ここまでやってこられました。
行成:は〜(深いため息)、聞きいってしまいますね。
岩永:とあちゃんはそういうことあった? 例えば仕事において、これは自分には向いてないとか苦手と思って避けたりとか。
行成:いやー、それがないんですよねえ。避けたいけど頑張るとかじゃなくて、ほんとになんでも楽しくやってしまう。
岩永:それって最強だよね。
行成:たぶんしゃべること、言葉を口にすることがまず好きなんだと思います。その延長線上に、人を楽しませるとか、想いを表現するということがある。あと単純に、いろんなことに興味津々なんです。もちろん、得手不得手はありますよ。 でも、大変だーって思っても、やってると楽しくなっちゃう。ただ、最近は全部シャカリキになってやるという感じではなく、時にはアクセルを緩められるようになりました。
若いときは100%じゃなくて99%だったらゼロと同じ、完璧じゃなきゃイヤだ!っていう考えでしたけど、それはなくなってきた気がします。失敗したら落ち込むけど、完璧じゃない自分も認められてきたというか。そういうところも含め、自分だもんなって思えるようになりました。
岩永:成長したってことだね、二人とも。
行成:だって、こんな風に昔のことを振り返りながら話す我々になるなんて……じんわりしちゃいますね。この10年、いろいろな作品の現場でお世話になってきましたが、よく言われたのが、「ベルセルクのキャスカですよね!」という言葉で。『ベルセルク』のおかげで知っていただけているというありがたさと同時に、『ベルセルク』のキャスカという看板を背負っているのだから絶対に下手は打てないぞ!というプレッシャーというか、身の引き締まる想いが常にありました。海外でも言われますしね。
岩永:僕もモデルでミラノに行った時に、そこで知り合ったカメラマンに『ベルセルク』のガッツをやってると言ったら、「えーっ!!」と大騒ぎになって。ほんと欧米でもめちゃくちゃ人気だっていうことを肌で感じました。自分が思っていた以上にすごかったです。
──最後に、これからの放送を楽しみにしている、読者のみなさんへメッセージをお願いいたします。
岩永:どのように編集されていくのか、本当に僕も楽しみで。元々のファンの方はもちろんですけど、これで初めて『ベルセルク』に初めて触れるという方が1人でも増えてくれたら、それでみんなでワーッて盛り上がれたらうれしいなって思いますね。平沢(進)さん、鷺巣(詩郎)さんの新しい曲も含め、盛りだくさんであることは間違いないと思います。メッセージとしては、一緒に楽しみましょう!っていうことですね。
行成:そうなんですよ、自分たち自身がまず楽しみなんですよね。すごいワクワクです。あと映画をご覧いただいていた方々には懐かしさもあると思いますし。平沢さんのオープニングテーマが鳴り響くのが、とても楽しみですね。ブワッと鳥肌が立つんだろうなあって。
岩永:10年前は僕はツイッターとかSNSを一切してなくて。数年前にはじめて、それからエゴサーチというか作品の感想とか読ませてもらうようになったので、今回それも楽しみですね。
行成:「夢のかがり火」に加えて、新規追加シーンには、他にも私が個人的に一番入って欲しかったシーンも入っていまして…。オンエアが本当に楽しみですし、みなさんにも楽しみにしていただきたいです。イベントとかもね、できたらいいなあなんて、願いつつ。メモリアル・エディションでの鷹の団の行く末を見守っていただけたらと思います。よろしくお願いいたします!
[取材:ワダヒトミ 撮影:松本祐亮]
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画像をクリックすると、関連記事にとびます。TVアニメ『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』作品情報
放送情報
2022年10月よりTOKYO MXほかにて放送開始!
・TOKYO MX 10月1日(土) 24:30-
・とちぎテレビ 10月1日(土) 24:30-
・群馬テレビ 10月1日(土) 24:30-
・BS11 10月1日(土) 24:30-
・アニマックス 10月16日(日)23:00~
配信情報:
ABEMA、dアニメストア、U-NEXT、NETFLIX、WOWOWオンデマンド、GYAO!、ひかりTV、FOD、バンダイチャンネル、Hulu、auスマートパスプレミアム、TELASA ほかにて配信予定
イントロダクション
全世界累計発行部数5000万部突破(2022年現在)日本を代表するダーク・ファンタジー超大作がTVシリーズとして放送決定!
1989年の連載開始から今もなお孤高の存在として本格ダーク・ファンタジーの軌跡を現代漫画界に刻み続けている『ベルセルク』(著・三浦建太郎/白泉社『ヤングアニマル』連載)。
ファンの間でも最も人気が高い“黄金時代”を三部作で映画化し、2012年~13年に日本をはじめ世界16カ国で公開しました。そして2022年、劇場公開から10年の時を経て、『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』として2022年10月よりTVシリーズにて地上波初登場を予定。
【黄金時代篇三部作】
2012年2月4日公開 『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』
2012年6月23日公開 『ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略』
2013年2月1日公開 『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』
今回の放送では2012年の劇場公開時にはなかった原作人気シーンの一つでもある「夢のかがり火」など原作珠玉の名シーンが、劇場版同様に恩田尚之総作画監督のもと新規カットとして追加することが決定!さらに、既存カットも、数百カットに手を加え、リマスターとしてバージョンアップ!
新規カットには、平沢進、鷺巣詩郎による、新たな楽曲提供が決定。
ストーリー
己の剣だけを信じてきた。友も家族も帰る故郷もない──孤独な剣士ガッツは、百年戦争に揺れる地を傭兵として渡り歩いていた。身の丈を超える長大な剣を自在に操り、強大な敵をいとも簡単に倒すガッツ。そんな彼に目をつけたのが、傭兵集団“鷹の団”を率いるグリフィス。
美しい姿からは想像もつかない統率力を持ち、大いなる野望を秘めたグリフィスは、自らの夢を叶えるためにガッツを決闘で制し、鷹の団に引き入れる。数々の激戦を共にくぐり抜けるうちに、信頼で結ばれていく仲間たち。なかでもグリフィスとガッツの絆は、今や特別なものとなっていた。
やがて鷹の団はミッドランド王国の正規軍にのし上がるが、それはグリフィスの目指す頂点へのはじめの一歩にすぎなかった。一方ガッツは、グリフィスの「夢」に取り込まれ剣を振り回すだけの人生に疑問を抱き始める。だが、ガッツはまだ知らない。果てなき夢が二人に与えた、恐るべき宿命を──
STAFF
原作:三浦建太郎
メモリアル・エディション監督:佐野雄太
劇場版監督:窪岡俊之
脚本/メモリアル・エディション脚本総監修:大河内一楼
キャラクターデザイン/総作画監督:恩田尚之
アニメーションディレクター:岩瀧智
美術監督:中村豪希 竹田悠介 新林希文
動画検査:梶谷睦子 加来由加里
色彩設計:成毛久美子
CGI監督:草木孝幸 廣田裕介 斉藤亜規子 今中千亜季
編集:重村建吾
音響デザイン:笠松広司
音楽:鷺巣詩郎
オープニングテーマ:平沢進「Aria」(テスラカイト)
エンディングテーマ:中島美嘉「Wish」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
アニメーション制作:STUDIO4℃
CAST
ガッツ:岩永洋昭
グリフィス:櫻井孝宏
キャスカ:行成とあ
ジュドー:梶裕貴
リッケルト:寿美菜子
ピピン:藤原貴弘
コルカス:松本ヨシロウ
ガストン:矢尾一樹
バズーソ:ケンドーコバヤシ
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