ベテランの演技に感激。あの頃『ポケモン』で泣いた理由に気付く――アニメ『ポケットモンスター』ホップ役・吉永拓斗さん インタビュー
ホップの魅力は“ギャップ”
――そんな思い入れがあるアニメ「ポケットモンスター」に出演が決まった時はどんな気持ちになりましたか?
吉永:時が止まりました……! マネージャーに「明後日『ポケモン』のアフレコがあるよ」と言われたんですけど、「……? ポケモン……!?」と(笑)。
――(笑)
吉永:しかも、ホップのことも知っていたんですよ。アフレコ現場に行けるなら通行人役でも嬉しいのに、知っているキャラクターを演じられるなんて。一気に緊張が込み上げてきました。
――ホップのことはご存知だったんですね。
吉永:『ポケットモンスター ソード・シールド』のゲーム実況動画を見ていたんですよ。
――そうだったんですね。人気キャラクターだからいろいろなところで見る機会がありますよね。
吉永:「ポケモンカード」もそうですし、本当に日常とともにありますよね。そういう意味でも役に決まって緊張しました。
――本編では第115話が初登場回でした。
吉永:登場していきなりサトシにバトルを仕掛けるのはすごく愛らしいと思いましたし、将来大物になるんじゃないかと(笑)。
ゲームをプレイされている方は、アニメのホップがどのくらいの強さなのかも気になるポイントだったと思います。
――たしかに。
吉永:アニメではウールーとは出会っているけど、まだ冒険はしていない状態でした。彼にとってサトシとのバトルは今後に良い影響を与えるんじゃないかなと思っています。
――ホップの第一印象はいかがでしたか?
吉永:怖いもの知らずでポケモンが大好き。そして猪突猛進な子だなと思いました。でも、演じていくうちにすごく勉強熱心な一面がたくさん出てきて。猪突猛進な一面とのギャップがまた魅力だなと思っています。
アフレコ現場でベテランの演技に感激。あの頃『ポケモン』で泣いた理由に気付く
――演じるにあたって心がけたことはありますか?
吉永:いきなりサトシにバトルを仕掛けたホップの勢いと同様に、あれこれ考えたところでサトシには勝てないなと思ったので、とにかく大きい声を出そうと収録に挑みました。
――実際にアフレコ現場に入っていかがでしたか?
吉永:松本梨香さんのオーラが凄くて……! 「おはようございます」と挨拶したら、「おはよ」と返してくださったんですけど、その一言で「負けた」と思ってしまって(笑)。でも負けじゃだめだと思ったので、圧倒されないように気を付けました。
――音響監督の三間雅文さんのディレクションは「アニポケ」の収録現場ならではだと伺いました。
吉永:僕はずっといち視聴者として「アニポケ」を見ていたんですけど、子供の頃はポケモンの鳴き声ひとつひとつに意味があるなんて思いもしていませんでした。でもキャストの方々がポケモンの鳴き声を演じられる時に、このポケモンはこういうわざを喰らって、こういう動きをしている、という緻密なやりとりを三間さんとしているんです。
台本のト書きにも“どういった感情なのか”とか、“こういう思惑で”ということが書いてあります。それを見て、「あ、ポケモンにも感情があって、人と同じなんだ」と。そう気付いてからは、そのやりとりを見てすごくワクワクしました。
――見方が変わったんですね。
吉永:昔はわからなかったんですけど、ポケモンにも「あいつを倒したい」とか「まさか、こんなわざが?」みたいな思いがちゃんとあるんです。だからこそあんなに泣けたんでしょうね。僕自身、現場の熱量を知ってからは、この作品に対する熱がさらに高まりました。
――いつか吉永さんもポケモンの声をやられたいのでは?
吉永:いや〜、難しいですよ。本当に簡単じゃないんですよ。
――ポケモンの声はベテランがやられていますからね。
吉永:そうですね。もともとゲームで知っているポケモンであったり、アニメで見たことがあるポケモンであったり、それこそピカチュウの声が同じ場所から聞こえてくるのはなんだか不思議な気分でした。
――松本さんと掛け合ってみていかがでしたか?
吉永:ワクワクしましたね。ただ、ポケモンファンの気持ちのまま演じると、初めから負けになるかなと思ったので、その気持ちは一旦忘れて、絶対に松本さんより大きい声で演じようとしていました。
でも松本さんはそれを上回ってくるんですよ。突発的な熱量や試合中の駆け引きの臨場感がすごくて。もうアドレナリンがめちゃくちゃ出ましたし、やっぱりすごいなと思いました。