「令和3年アニソン大賞」受賞楽曲&ノミネート楽曲まとめ|選考員によるノミネート楽曲への推薦コメントもご紹介!
「令和3年アニソン大賞」ノミネート楽曲(50音順)&選考員推薦コメント
作品賞
■「愛のシュプリーム!」
fhána
TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OPテーマ
●齋藤P 推薦コメント
前作「青空のラプソディ」というトンデモない名曲を手掛けてしまった佐藤純一さん。さて、どんな形でその聳える高い壁を越えてくるのか?と思っていたら、kevin君がラップをひっさげて登!場! ゴスペルの要素をポップにオシャレに昇華させたアプローチで、誰もが強く待ち望んだ『小林さんちのメイドラゴンS』を、まさに至上の愛で彩ったと思います。作品に捧げられた泣き出しそうになるくらいハッピーな曲なので、作品賞で推しました!
■「うまぴょい伝説(TV Size)[Season 2 Ver.]」
スペシャルウィーク (CV. 和氣あず未)、サイレンススズカ (CV. 高野麻里佳)、トウカイテイオー (CV. Machico)、ウオッカ (CV. 大橋彩香)、ダイワスカーレット (CV. 木村千咲)、ゴールドシップ (CV. 上田 瞳)、メジロマックイーン (CV. 大西沙織)、シンボリルドルフ (CV. 田所あずさ)、ナイスネイチャ (CV. 前田佳織里)、ツインターボ (CV. 花井美春)、イクノディクタス (CV. 田澤茉純)、マチカネタンホイザ (CV. 遠野ひかる)、メジロパーマー (CV. のぐちゆり)、ダイタクヘリオス (CV. 山根 綺)、ミホノブルボン (CV. 長谷川育美)、ライスシャワー (CV. 石見舞菜香)、ビワハヤヒデ (CV. 近藤 唯)、ナリタタイシン (CV. 渡部恵子)、ウイニングチケット (CV. 渡部優衣)、キタサンブラック (CV. 矢野妃菜喜)、サトノダイヤモンド (CV. 立花日菜)、マルゼンスキー (CV. Lynn)、マヤノトップガン (CV. 星谷美緒)、ヒシアケボノ (CV. 松嵜 麗)、エアグルーヴ (CV. 青木瑠璃子)、マチカネフクキタル (CV. 新田ひより)、メイショウドトウ (CV. 和多田美咲)、セイウンスカイ (CV. 鬼頭明里)、グラスワンダー (CV. 前田玲奈)、エルコンドルパサー (CV. 髙橋ミナミ)、サクラバクシンオー (CV. 三澤紗千香)、メジロライアン (CV. 土師亜文)、メジロドーベル (CV. 久保田ひかり)、ナリタブライアン (CV. 衣川里佳)
TVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』
●吉田尚記 推薦コメント
推したのは「うまぴょい伝説」。今年ギリギリアニメ2期は放送されていたものの、2016年にリリースされた曲、しかも厳密にはゲームの歌をノミネートするのはどうか、という異論はもちろん頭をかすめましたが、2021年、もっともこちらの業界から世間に届いた曲はこの曲だったでしょう。普通の世の中からは出てこない、異質なものを炸裂させられるのがアニソンの痛快なところ。でもレギュレーションもありますので、裏大賞、納得です。
■「怪物」
YOASOBI
TVアニメ『BEASTARS』第2期OPテーマ
●冨田明宏 推薦コメント
2021年のYOASOBIの快進撃を差し引いたとしても、物語性や作品性、狂気と愛情に彩られたキャラクター性を絶妙に注ぎ込み、アニソンとしてここまで完璧な楽曲を仕上げてしまうAyase氏のクリエイティビティに何かしらの賞を差し上げたいと思いここで推させていただきました。2021年に発表されたアニソンの中でも最高峰の一つだと私は思っています。
■「One Last Kiss」
宇多田ヒカル
映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』テーマソング
●DJ和 推薦コメント
誰が何と言おうと令和3年はヱヴァの年。2012年の「Q」から待ちに待った完結編。新劇場版はテーマソングを全て宇多田ヒカルさんが担当されるという事で、期待しかない状態で聴いても余裕でみんなの期待を超えてきた楽曲。寂しさと悲しさと、でも前向きな歌詞で映画の最後を飾る素晴らしい楽曲だと思います。とてもポップに聴こえるようにしているのにベースやキックなどトラックは完全にクラブミュージックだし、イントロの入り方がほんとに鳥肌立ちました。
●前田 久 推薦コメント
「この年代での社会的に最も世の中を賑わせ注目された『人』、『楽曲』、『作品』、『現象』になった楽曲」というこの部門のレギュレーションを考えたら、25年以上かけてシリーズの真の完結を迎え、まだまだコロナ禍が続く興行的な逆境の中でもシリーズ最大の大ヒットも記録した『シン・エヴァ』の曲を選ばないわけには。楽曲の内容からしても圧巻。作品の空気感にしっかりと寄り添った歌詞。大団円の余韻を損なわないほどに控えめで、それでいてしっかりと印象に残る卓抜なイントロ。その後も美しいメロディを、シンプルながらも工夫の凝らされたアレンジが最後まで支え続ける。歌声の繊細さもいわずもがな。大賞も受賞できて何よりでした。
●松原正泰 推薦コメント
大賞を除外した場合に、アニメと歌と話題性、興収に関しても2021年ぶっちぎりの1位100億円突破!等々含めるとこれしかないと思いました。受賞した「愛のシュプリーム!」に関しては、どこかに推薦したくて作曲賞の次点候補にしていました。完成されている楽曲で、アニメ作品、楽曲ともにイキイキしているのがわかります。受賞はもちろん納得です!
作詞賞
■「インパーフェクト」
オーイシマサヨシ
作詞:大石昌良
TVアニメ『SSSS.DYNAZENON』OP主題歌
●冨田明宏 推薦コメント
『SSSS.DYNAZENON』の作品性を鑑みて“不完全=インパーフェクト”な存在が力を合わせてパーフェクトになり、さらには“Imperfect”の”I”と”m”の間にアポストロフィーを入れれば“I’m Perfect”(誰かが加わるだけで完璧)になるという、このタイトルに込めた意味合いだけでオーイシマサヨシの只ならぬこだわりや作品に対する愛情が伝わる。子供のころからヒーローに憧れ続けてきたオーイシだからこそ描けるヒーロー像が、隅々にまで漲っている歌詞だと思います。
■「ABC体操」
いけてるお兄さん(宮野真守)/うたのお姉さん(水樹奈々)
作詞:久世 岳
TVアニメ『うらみちお兄さん』OP主題歌
●DJ和 推薦コメント
宮野真守さん&水樹奈々さんという強強コンビの爽快過ぎる(毒もある)楽曲。うらみちお兄さんの作者である久世岳さんが作詞されているだけあって、もう作品の全てが歌詞に集約されている。キャラクターソングとしても推したい楽曲だったのですが、アニソンとしての「作詞」の無限の可能性という見方でこの楽曲を推させてもらいました。「常識の範囲内で必要最低限に体を動かそう」という頭のフレーズで速攻やられました。
■「おもいでしりとり」
DIALOGUE+
作詞:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
TVアニメ『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』OP主題歌
●吉田尚記 推薦コメント
圧倒的に「おもいでしりとり」を推しました。UNISON SQUARE GARDEN、田淵智也マニアとしては、田淵智也がこのモードのDIALOGUE+に対してだけ書いた、とてもテクニカルでありつつ、真摯な歌詞の重みを感じずにはいられません。ポイントはもちろん歌詞がしりとりになっていて(しかも「好きです」で終わらない!)、そして「季節はまるで天秤のように」という詩人のマインド、さらにそれをパフォーマンスで天秤として表現しきるステージにも言葉が生きていました。この各賞ではなかったですが、DIALOGUE+は2021年現場も熱く、特別賞の意味を感じます。
■「人生イージー?」
DIALOGUE+
作詞:田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)
TVアニメ『弱キャラ友崎くん』OPテーマ
●前田 久 推薦コメント
田淵智也さんの言語感覚はスゴい。それは大前提。疑う余地もない。というわけで問題は、どの仕事を、どんな基準で最も評価するべきなのか? なのだった。令和3年の彼のアニソン仕事においては、DIALOGUE+に提供した「人生イージー?」と「おもいでしりとり」が傑出していた。甲乙つけがたいものではあるが、私としては極めて現代的な作品(『弱キャラ友崎くん』)のテーマに寄り添う形で、耐えざる競争と相互監視にさらされ続ける厳しい青春を生きる若者たちの切実さに寄り添っているように感じられた「人生イージー?」の方が好印象だった。
■「ないない」
ReoNa
作詞:ハヤシケイ(LIVE LAB.)、毛蟹(LIVE LAB.)
TVアニメ『シャドーハウス』EDテーマ
●松原正泰 推薦コメント
見返しても、深みのある歌詞、歌だけでも完成されており、作品と一緒にみると違う解釈に気が付く。楽曲自体を大切に完成させつつ、しっかりとアニメ作品に寄り添った1曲。受賞おめでとうございます!
■「私たちはもう舞台の上」
スタァライト九九組
作詞:中村彼方
映画『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』主題歌
●齋藤P 推薦コメント
スタァライトされちゃった人なら理解できると思いますが、舞台少女のみならず、観客を含む舞台創造科の全ての人が共感できる、声に出して読みたくなるような美しい言葉で紡いだ中村彼方さんの感性にスタンディングオベーションでした。スタァライトという作品は総合芸術という観点でも、映像/音楽/舞台全てが素晴らしいので、編曲賞に加えユーザー投票賞というのも非常に嬉しい評価ですね。そして、ReoNaさんが歌った「ないない」の作詞賞、もちろん大納得です!
作曲賞
■「愛のシュプリーム!」
fhána
作曲:佐藤純一(fhána)
TVアニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OPテーマ
●冨田明宏 推薦コメント
必ずこの曲は何かしらの賞を捧げなければ・・・と考え、考え抜いた末に私は作曲賞で推しました。RAPに耳が行きがちだが、底抜けにポップなのにとんでもなく変態的なコード進行とメロディの連続だったりするし、やはり佐藤純一は只者じゃない。とはいえ、作詞でも抜群の個性を放っているし、編曲でも90’s Hip Hopやゴスペルほかさまざまな名曲へのオマージュを混ぜ合わせる巧者だし、結果的に作品賞で本当に良かった。めでたしめでたし!
●吉田尚記 推薦コメント
アニソンファンは貪欲。同じような、聞いたような型にはまった曲を一番求めていないリスナーが存在する市場。そこに対して、常に期待に応えつつ、新しい要素を付け加えてくるfhána。前回のメイドラゴンのOPテーマ、『青空のラプソディ』というアンセムを受けての新シリーズ用の曲。もう、佐藤純一の引き出しにはどれだけのアイデアが入っているのか!!今回も、知らない体のツボを押されたような快感のある曲、作品賞も納得、です!
●DJ和 推薦コメント
2017年リリースのアンセム「青空のラプソディ」に続き、“メイドラゴン”の2期オープニングテーマですが、青空のラプソディの大ヒットによってきっと相当に制作悩まれただろうな…と思われるのですが、また違うfhánaさんらしい楽しさを表現されてて凄いなと思いました。ディスコやファンク、踊りたくなる要素がたくさんあり、もちろん振り付けもあり!そしてkevinさんのRAP!towanaさんとの掛け合いもコミカルで楽曲とアーティストとしてのパワーを感じました。
■「Cry Baby」
Official髭男dism
作曲:藤原 聡
TVアニメ『東京リベンジャーズ』OP主題歌
●齋藤P 推薦コメント
オールラウンドに凄いこの作品を、敢えて作曲賞で推したのは、Official髭男dismが繰り出すこのメロディに衝撃を受けたからです。どこからどこまでサビなの!?と初めて聴いた時はちょっと難解でトリッキーに思えるのに、そのうち口ずさめるように馴染んでくるのも不思議。『東京リベンジャーズ』の世界を、歌詞だけでなくドラマチックな転調や不安定なメロディラインで、土砂降りの中で立ち上がる姿や反撃に転じる心理を見事に表現していると感じました。
■「Sing My Pleasure」
"ヴィヴィ(Vo.八木海莉)"
作曲:神前 暁(MONACA)
TVアニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』OPテーマ
●松原正泰 推薦コメント
TVアニメ『Vivy -Fluorite Eye's Song-』OPテーマであり、作品のヒロイン「ヴィヴィ」自身が歌っています。非常にインパクトを受けた記憶が残っています。Vocalを担当されていた「八木海莉」さんの歌声に感動し、キャラクターソング賞か作曲賞のどちらかにノミネートさせたいと思って選びました。受賞した『Cry Baby』はもちろん納得。編曲賞とアーティストソング賞のどちらでも次点候補に入れていた作品。アニメ作品にぴったりの楽曲になっていて、かつめちゃめちゃかっこいい楽曲でした!
■「未来予報ハレルヤ!」
Liella!
作曲:EFFY
TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』第1話挿入歌
●前田 久 推薦コメント
イベントでも言ったし、この場でもあらためていうが、アニソン大賞の関係者はどうも「ラブライブ!」シリーズに冷たい(笑)。大衆(って言葉はいさかかひっかかりますが)の支持というバロメーターが選考基準に大きく関わっているのだからして、私はそこんところはこだわっていきたい。質が低いというのならいざ知らず、常に高品質でキャッチーな楽曲を送り出し続けているのだし。「未来予報ハレルヤ!」も、とにかくメロディーのフックが強い。サビの入り、リフレインでの「よっしゃ!」でのタメ、そこからの上昇。ツボ過ぎる。すでに大活躍されている人にいうのもなんですけれど、EFFYさんはもっともっと高く評価されていいはず。
編曲賞
■「人生イージー?」
DIALOGUE+
編曲:田中秀和
TVアニメ『弱キャラ友崎くん』OPテーマ
●齋藤P 推薦コメント
チップチューンにラテンミュージックを織り交ぜたサウンド、バグや再起動まで表現しちゃう田中秀和ワールド炸裂(もちろんaugも忘れない!)。カラフルなアイデアと楽しい音楽ギミック満載なのに、破綻せず聴きやすいアレンジ、まさに現代アニソン界の匠ですね。DAILOGUE+がコロナ禍の逆境に負けずに、この曲に代表されるような攻めの姿勢で活動を続けてきたことに対して、審査員の総意として特別賞が創設されたことも、ハイスコア獲得で良かったなと思います。
■「大河よ共に泣いてくれ」
フランシュシュ
編曲:加藤裕介
TVアニメ『ゾンビランドサガ リベンジ』OPテーマ
●DJ和 推薦コメント
数々の名曲を生み出している加藤裕介さん作曲編曲。もう作れない曲とかないんですかね?(笑) 80年代~90年代初頭のような雰囲気を感じつつ、特撮やロボットの戦う熱血感を前面に押し出しつつも全く古く感じさせない楽曲。おじさんにはちょっと懐かしさを、若い子には新鮮さを、両軸いける素晴らしい編曲だなと思いました。リズムがほんとに目まぐるしく変化していって、キメやブレイクなどとにかく耳が引っ張られ、3分半が一瞬で過ぎ去ります。
■「時の迷宮」
ランカ・リー=中島 愛/シェリル・ノーム starring May'n
編曲:菅野よう子
映画『劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』主題歌
●松原正泰 推薦コメント
『劇場短編マクロスF ~時の迷宮~』で使用された楽曲でしたが、この年、マクロスには触れたいと思った部分と作品と一緒に見ると非常に感慨深くなる楽曲だと思ったので選曲しました。選ばれる事は無かったですが、わたしと同じ感動を感じていた方も少なくないのでは!!とは言え、選ばれた「私たちはもう舞台の上」に関しても、納得しかなく。「絞り切れない。。。どちらも受賞させたい。」って、当日もすごく感じていました。
■「BANG!!!」
EGOIST
編曲:Giga
TVアニメ『ビルディバイド -#(コード)000000(ブラック)-』OPテーマ
●冨田明宏 推薦コメント
アッパーで挑発的なメロディ、抜群の中毒性を誇るぶっといグルーヴ、印象的なリフとドロップの凄まじいまでのカッコ良さ。Adoの「踊」でも痛感したトラックメイカーとしてのgigaのやばさは、音を縦に積んで音圧感を演出し、しっかりと隙間を作ってリズムを強調するアレンジの妙味によって成り立っているように感じる。K-POP的な方法論を持ち込んだアニソンの中でも特に秀逸な1曲でした。
■「BOY」
King Gnu
編曲:King Gnu
TVアニメ『王様ランキング』OPテーマ
●吉田尚記 推薦コメント
WIT STUDIOがアニメの原点を見つめるように作った「王様ランキング」。ここにどんな曲が、と思ったら、まさにいまの日本音楽シーンの真ん中にいるKing Gnu。どんな贅沢な想像をしても、それを100%にかなえられる環境と能力で向かい合った楽曲は、再生した途端に世界がそこから立ち上がるような、圧倒的な立体感を持っていたのです。いま書いてて気づきましたが、「王様」ランキングで、「King」Gnuでしたね。
■「私たちはもう舞台の上」
スタァライト九九組
編曲:佐藤純一(fhána)
映画『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』主題歌
●前田 久 推薦コメント
作詞賞で名前を挙げた田中智也さん同様、fhánaの佐藤純一さんもアニソン大賞常連というか、その年の仕事から何を、どの部門で、どんな理由で選ぶか毎年悩んでしまう……とはいうものの、今年は正直あまり迷わなかった。やはりこれを編曲で選ぶべきだろうと。令和3年も劇場でアニメ作品が数多く上映されたが、『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』はその中でも特筆に値する、衝撃的な一作。そんなアヴァンギャルドなエンターテインメント作品の圧をしっかり受け止めきり、明るく希望を持ったエンドとしてパッケージングする卓抜にポップでゴージャズ、上品なアレンジには脱帽でした。