声優・石川由依さんソロ音楽朗読劇『UTA-KATA Vol.2~歌売りの少女~』東京公演レポート|歌の持つ不思議なチカラを全身で体感できる唯一無二のステージ
表現者・石川由依のすごさ
公演中は没入しているから気づかないのだが、歌を唄いながら、途中で泣きの芝居を挟み、また歌へ戻ったり、歌の1番と2番でキャラクターを変えていたり、そもそも何人ものキャラクターを演じ分けたり、この朗読劇が、石川のとてつもない技術の上に成り立っていることは明らかである。ただ、彼女の本当にすごいところは、公演中に、そんな冷静な視点を持たせないところだろう。人を感動させたり没入させる芝居ができるところが、何よりも素晴らしいのだ。
ミニマムな編成でも、人を感動させることができる石川由依という表現者。彼女を中心にして、お芝居と歌の心情に寄り添いながら劇伴と歌の演奏をするピアニスト・伊藤真澄。この2人のプロフェッショナルがいるから、UTA-KATAというシリーズが生まれ、今回、第2回が実現したのだと思う。そしてそれは、ペースはゆっくりかもしれないが、第3回、第4回ときっと続いていくものなのだろうと確信した。
また、今回脚本と歌の作詞を手掛けていた高瀬愛虹は、数々のキャラクターソングなどの作詞を手掛ける作詞家でもある。『ご注文はうさぎですか?』シリーズや『Re:ステージ!』などのキャラソンを聴いていた人には、お馴染みかもしれない。数多くの楽曲を手掛けてきた作詞家だからこそ、歌のチカラを信じる想いが、物語からとても伝わってきた。人生の中で、我々は多くの歌に触れてきていて、その歌は、自分の思い出と紐付いている。「悲しいときにこの歌が支えてくれた」とか、「嬉しいときはこの曲を歌う」とか。歌にはいつも不思議なチカラ、魔法が宿っているように思う。
最後は、UTA-KATAのテーマソングである「泡沫の祈り」を唄い、朗読劇『UTA-KATA Vol.2~歌売りの少女~』は幕を下ろした。
前回のVol.1の再演は、無観客での配信公演だったので、映像で観劇したが、今回は生で観ることができた。会場の張り詰めた空気、そしてその空気を震わせ響いてくる声と音楽。この朗読劇を全身で感じることができたのはとても貴重な体験だったし、心が揺さぶられた。機会があればだが、この感動を、多くの人に体感してもらいたい。
[文・塚越淳一]
「UTA-KATA」とは
声優 石川由依 初のソロ音楽朗読劇「UTA-KATA vol.1 〜夜明けの吟遊詩人〜」から約2年ーーー。
このvol.1は2020年1月から2月にかけて、東京・京都・札幌で有観客にて開催。
同年10月には配信公演も行われ、いずれも大好評を博しました。
そして2022年、新たな物語りがはじまります。
今回は山梨 河口湖円形ホールで行われる「音楽熱想フェス」内での公演を皮切りに、東京 ガルバホール、大阪 ACT南港サンセットホール、滋賀 フィガロホールでのツアーを実施します。
それぞれの空間で紡がれる、物語りと音楽は、皆様を新しい世界へとお連れするでしょう。
▼石川由依 UTA-KATA Vol.1~夜明けの吟遊詩人~ 再演ダイジェスト
UTA-KATA Vol.2〜歌売りの少女〜 公演情報
「歌は……いりませんか……。歌は……いかがですか……。」
雪の中で出会った少女は”歌売り”だったーー。
■出演・脚本
歌と語り : 石川由依
演奏 : 伊藤真澄
脚本:高瀬愛虹
東京追加公演
・会場:高輪プリンセスガルデンAMBIENTE
https://princessgarten.com
・日時:2022年11月27日(日)
昼公演:開演14:30(開場14:00)/終演予定16:30
夜公演:開演18:00(開場17:30)/終演予定20:00
・チケット
特典付き:13,500円(税込)
通常:9,900円(税込)