ウェブ小説プラットフォーム「ノベルピア」は、書籍化などのIP展開への関心はあるのか? 強調している「OSMU」とは!?
あなたの作品は無限の可能性を秘めているもの
前回ノベルピアを紹介する記事の中で、ノベルピアという新生サイトの特徴と強み、そして彼らの目指すweb小説業界の方向性について詳しく語ってみた。
ノベルピアは書籍化を目標とする日本のweb小説業界に「閲覧数に比例したPV精算金を支給する」という切り札を出した。つまり、純粋に作品の人気だけで、いかなる外部条件の介入もなく作家の収益を保障するというものだ。これは従来とは全く異なる新しい生態系を構築する過程とも言える。(詳しくは本リンク(クリック)を参照)
だとしたら、こんな疑問を持つ人もいるだろう。「ノベルピアは書籍化など、作品を活用したIP展開には全く関心がないか」と。実際のところ、自身の作品をwebから現実世界に具現化させる夢を抱く作家たちは多い。にもかかわらず、ノベルピアは既存の書籍化一辺倒の市場を批判するような姿を見せている。当然ノベルピアを利用する作家たちはその夢を諦めなくてはならないのかと、心配になるのも無理ない。
ノベルピアは果たしてweb小説プラットフォームを定着させるだけで、海外進出の挑戦を終わらせるつもりなのだろうか。果たしてどのようなビジネスビジョンを持ち、険しい世界へと足を踏み出したのだろうか。今回の特集記事で、ノベルピアが目指す今後の歩みについて、IP展開の側面にフォーカスを合わせて探ってみよう。
百聞は一見に如かず、実際に作品で見ていこう!
ノベルピアはOne Source Multi Use、略して「OSMU」という単語を強調する。一つの素材を様々な形で使用するという意味だ。
コミック、アニメ、映画、ドラマ、イラスト、グッズ、ラジオなど…日常的に接することのできるほぼ全てのコンテンツにIPを融合させること。オンラインの技術力を基盤とする現代社会において、OSMUはコンテンツ事業がたどり着く終着点とも言えよう。
親会社であるTOPTOONとの連携を皮切りに、ノベルピアは幅広いIP展開に積極的に取り組んでいる。「作品は、それぞれ無限の可能性を秘めているもの」と関係者は口を開いた。その可能性を現実世界へと導き出し、より多くの人々の注目を集めたいと、関係者は自信を持って話を続けた。
まず、代表的な例として挙げられる作品に『虐げられたいエルフ様』がある。ある日、貴族の間で伝わる不文律を破って、エルフの奴隷を購入してしまった主人公。しかし、購入したエルフは怪しいもくろみを胸に秘めていた…
『虐げられたいエルフ様』は主人公が体験するドタバタ劇を愉快に描き出し、web小説で連載された時から好評だった作品だ。その好評はweb漫画にも続いた。『虐げられたいエルフ様』は興味深い素材と、それにふさわしい高いPVを取柄に、TOPTOONでも連載中。現在はTOPTOONジャパンで115,000というPV数を誇りながら好評連載中である。
コミカライズ以外にも、ノベルピアは様々な方式でのIP展開を準備している。一例としては、ゲーム化が近く予定されている作品『同棲中のコミュ症ネトゲ女子との純愛はいかが?』だ。
本作品はゲームからの縁で出会った男女の主人公が、互いの日常を共有し関係を深めていく話を盛り込んだ恋愛小説だ。
二人の人物が見せるラブラブな日常生活を盛り込んだビジュアルノベルゲーム『LOVE IN LOGIN(ラブ・イン・ログイン)』を現在制作中だ。
主人公たちの初々しくて熱い恋の物語を、綺麗なイラスト、感動的なBGMと共にファンにお届けする予定だと、ゲーム化を進める関係者は明かした。原作小説はゲームの公開に合わせて、ノベルピアジャパンでも連載する予定だ。
広く知られるほど、さらに楽しくなる!OSMUで楽しむノベルピア
このようにノベルピアは、ユーザーの興味を引く面白い作品を見逃さない。原作をベースとする様々なメディアミックスを制作し、さらに多くのユーザーを満足させるために、多方面での努力を惜しまない。
特に作家の立場からすると、新たな読者の流入により作品の認知度が上がる喜びを楽しむことができる。また、コンテンツの拡大により、収益の増大はもちろんのこと、より多くの人からの関心は、作家に心理的な安定を与える。そして、そのポジティブな感情は作品を手掛ける際の原動力にもつながる。また、作家の精神的な面だけではなく、IP自体の寿命も延びることになる。
結局、作品を意味のあるものにするのは一般の消費者だ。人たちの視線が作品に向かってはじめて、作品は意味のある商品となり、「寿命」を持つことになる。
その「寿命」とは、まさに人々の「関心」そのものだ。様々な方面にて時間差で展開されるメディアコンテンツは、消費者の記憶を絶えず刺激する。関心を持たれ続ける限り、商品の持つ価値は拡大し続けるというわけだ。
身近な例として、古典名作やおとぎ話などが挙げられる。古典名作は確かに優れた内容で現代文学の土台を築いた、言わば原点のようなものだ。ただし、正直に言って、現代人の視線からだと、多少退屈に感じられるような作品が相当数あるのも事実だ。
だが、その内容に関心を持って、絶えることなく研究、交流を続けるユーザーがいるため、古典文学は今日までその価値を認められてきた。OSMUにおいて、IPの潜在力を引き出すために目指す点が、まさにこの一連の流れ、「ユーザー間の拡散と再生産」である。
最後に…
業界進出の胎動期であるだけに、まだノベルピアのIP展開が不足しているように見えるかもしれない。だが、海の向こうで培ってきたノウハウと、web小説市場に対する情熱はまさに「本物」と言えるだろう。
好きな作品を様々な形で楽しみたい読者の方も、自分の作品をもっと多くの人に知ってもらいたい作家の方も。ノベルピアと足並みをそろえて歩んでいってはどうだろうか。
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