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秋アニメ『4人はそれぞれウソをつく』監督インタビュー

秋アニメ『4人はそれぞれウソをつく』星野真監督インタビュー|リッカのUFOの内装が原作とは異なる!? 監督が“勝手に(?)”考えたさまざまな裏設定を語る

キャラクターの行動原理・裏設定を考えることの重要性

――もう1つ、原作から大きく違いを感じたのは半蔵の扱いです。

星野:そもそも、漫画だと半蔵は最初いません。千代の元にはただの“忍者の里の刺客”が襲ってきていましたから。

いくつかフワっとした部分があったので、アニメを作るにあたり、概ねの設定感を考えたんです。例えば、「宇宙のどこで戦いが行われていて、どういう勢力があって、何で地球に落ちてくることになったのか、そもそも地球に落ちてくるということは地球の近くで戦っていたのか?」といった具合で。

それぞれのキャラクターの理由付けや設定を考えていく中で、千代の相手として出てくるのが「ただの刺客」ではパンチが弱いと感じました。

そこで半蔵を早めに出すことにしたんですが、これは単純にキャラクター性の強さだけではなく、翼に対しても大きく寄与する部分があると思ったからなんです。

話が進んでいくと分かるんですが、半蔵と翼は境遇こそ違えど、起きている問題はけっこう近く、共感し合える存在で。強い姉がいて、それに抵抗しているのか、していないのかという違いだけなんですよね。

また、半蔵が出ることによって、世界観に説得力や彩りが出るというのもありました。まあ、世界観と言ってもトンデモ世界観なんですが(笑)。

設定を突き詰めていくと、サイキッカーをまとめ上げている公務員と、忍者はもしかしたら敵対しているかもしれない、などいろいろと考察が膨らんでいきますね。

とはいえ、橿原先生とは関係ないところで僕が勝手に考えていることなので、あまり画面上に大きく出ないようにはしています。

――監督がコメントで「細かい所や一瞬しか見えない所にも色々仕込んであります」と仰っていた意味がよく分かりました。

星野:こういったことはアニメーションの行動原理・裏設定として考える必要があるんですよね。

例えば、「半蔵や忍者の首領は普段何をしているんだろう?」と思うわけです。「何で半蔵だけを千代のもとへ向かわせているんだろう?」と考えると、どうしても裏設定が必要になります。

「彼らが千代に対して手を割けない状態にある」と考えると、サイキックにも同じことが言えます。「関根程度の能力者はたくさんいるので放置しておくしかない」、それぐらい人員が足りていないという状況が浮かび上がってきます。

そういうことを考えておかなければ、何か問題が起きたときに「こんなの超強い力を使っちゃえば終わりじゃん」と視聴者が思ってしまうので、裏設定はいつも考えるようにしていますね。

 
改めて、絶対に作中に出ない、完全に僕が考えたことだと前置きしますが(笑)、リッカの宇宙戦争についても同じです。リッカが帰れない、救援信号が届かない理由は彼らの戦争が多次元戦争だからです。

さまざまな次元で戦っている中で、リッカは地球に落下してしまった。だから通信が仲間に届かないんです。ダイアルアップ通信だから、とかじゃないんですよ(笑)。

こういったことは実はロケーションにも関わってきています。例えばリッカのUFOは、原作では長い廊下があって、大きな空間があるように描かれているんですが、アニメではそうではなくなっているんです。

彼らの技術では精神攻撃も当たり前なので、その防御用の装置があって……というように、しっかり中の設定も作り込んでいき、内装を考えました。パッと見て「なんかすげえ変なのがある」と視聴者の方もきっと思うと思います。……何の話でしたっけ?

一同:(笑)。

(C)橿原まどか・講談社/製作委員会はウソをつく
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