この記事をかいた人
- 阿部裕華
- アニメ・音楽・映画・漫画・商業BLを愛するインタビューライター
ーー久野さんは「灯子と似ているところがたくさんある」とキャストコメントに書かれていましたが、ご自身と灯子のどのようなところが似ていると感じたのでしょうか?
久野:私も灯子と同じで、自分の考えていることや思っていることを言葉に出すのがすごく苦手な子どもだったんですよ。相手に何か言葉をかけられた時、フリーズしてしまうタイプで。
石毛:へえ……!
久野:今でも、そういう瞬間がありますね。歳を重ねて、だんだんお話できるようにはなってきましたけど(笑)。私は10歳の頃から声のお仕事をやらせていただいているのですが、台本に書いてあることをマイクの前で言うことはできても、スタッフさんや共演者など大人の方たちに話しかけられた時、頭では色々考えているのにとっさに言葉にすることができなくて……。
これは実際にあったことなのですが、休憩時間にスタッフさんから「美咲ちゃん、国語得意でしょ?」と聞かれたら、普通は答えられるじゃないですか。でも私は答えられなかったんですよ(笑)。「私は得意と言えるほどの点数をテストで取っているのだろうか?」とか「自慢に思われるのではないか?」とかグルグル考えて「はい」と言えなくなって……。自分の発した言葉で相手が何を思うのかを先に考えてしまい、「はい」も「いいえ」も言えずに言葉が詰まってしまうという(笑)。
本当にそういう子だったんですよ。でも、話を聞いていないわけでもないし、考えていないわけでもないんです。だから、灯子を見た時に「私だ……!」って思いました。灯子は11歳ですが、私も子どもの時から言葉で伝えられなかった経験があって。すごく共感できるところが沢山ありますね。
ーー石毛さんは久野さんのように「煌四と自分が似ている」と感じるところはありますか?
石毛:僕は煌四みたいに頭の回転が速いわけでもないし……。
久野:えっ! そんなことないですよ!?
石毛:いやいやいや……。でも唯一似ているところがあるとすれば、人との距離感は煌四と似ているのかもしれないですね。煌四の場合は人との距離が自分の生活に関わってくるから、そうせざるを得なくて、「この人を信用してもいいのか? してはいけないのか?」と相手を見極める必要があるからこその人との距離感だとは思いますけど……僕の場合は単純に人見知りですね(笑)。久野さんや灯子の合わせ技みたいな感じでもあるかもしれないです(笑)。僕も喋りかけられた時、返答をちょっと考えてしまうんですよ。
久野:なんとなく、翔弥さんもそうなのかな……?と思っていました。
石毛:思っていることを事細かに説明していくのもそれはそれで違うだろうと思いますし……久野さんと同じように「〇〇が得意でしょ?」と言われても「はい」も「いいえ」もちょっと違うとなってしまう。
久野:すっごいわかります!
石毛:だから考えた末に「ご期待に沿えるように頑張ります!」とか言ってしまいますね(笑)。
久野:言葉で上手に伝えられないからこそ、さらに頑張ろうと思えますよね。
石毛:その心の距離の測り方は煌四とちょっと似ているかなと思います。
久野:翔弥さんと煌四の似ているところはそれだけじゃないと思っているんですよ。
ーーどういうところが似ていると感じるのでしょうか。
久野:真面目なところがすごくリンクしているなと思っていて。翔弥さんと初めてお会いしたのは、翔弥さんが主人公を務めていたアニメ『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』という作品だったのですが、その時に役に真剣に真摯に向き合うところが本当にすごいなと思っていました。
石毛:いやいや……。
久野:役に対する向き合い方が真正面から誠実なんですよね。定規で平行線を描いたかのように端から端までピシッと真っすぐ捉えている感じ。煌四もそういうところがあって、すごく似ているなと思います。
石毛:ありがとうございます……!
ーーぜひ石毛さんからも、久野さんと灯子の似ているところについて教えていただけませんか?
久野:えぇ! ないですよね!?(笑)
石毛:ありますよ! こうやって謙遜しながらも芯を持って物事を捉えているところはすごく似ていると感じます。僕も『ゴジラ S.P』の時からお芝居に対する向き合い方がすごく真摯で素敵な方だと思っていました。「このシーンはこうですよね?」と自分の意思を提示しつつ、ちゃんとスタッフさんともディスカッションしていくんですよ。それはこの作品で共演したから知ったわけではなく、前々から思っていたことです。
久野:嬉しいです……。私も翔弥さんには同じことを思っているので(笑)。
ーー最後に改めて、お二人が感じるアニメ『火狩りの王』の魅力や見どころを教えてください。
石毛:ファンタジーの世界観ではあるので、専門用語や現実では起こり得ない出来事が次々起こるのですが、すごくリアルに感じるんですよ。本当に起こるのではないかと思わされる温度感で物語が展開していきます。「ファンタジーだから」とただ客観的に見るような作品ではなく、すごく自分たちに近しい感覚で見ていただける作品です。そのあたりをぜひ楽しんでいただければと思います。
久野:『火狩りの王』では人類最終戦争後の世界が描かれています。自分たちの日常生活からはかけ離れていて想像のつかない出来事が起こるのではないかとイメージされる方もいるかもしれませんが、人間模様の描かれ方はものすごくリアルなんです。
人と人が関わることで、登場人物たちの状況がどんどん変わっていき、それぞれの関係性も丁寧に描かれています。灯子も煌四も、一人だと何も変わらないけど、誰かと話したり行動したりすることで、取り巻く環境が変わっていく。その移ろいが私たちの日常生活と重なる瞬間が沢山あって。「自分がもし灯子や煌四だったらどうするだろう」と想像するのも、この作品の楽しみ方の一つだと思うので、ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです!
[インタビュー/阿部裕華 写真/MoA]
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アニメ・音楽・映画・漫画・商業BLを愛するインタビューライター。Webメディアのディレクター・編集を経て、フリーライターとしてエンタメ・ビジネス領域で活動。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。
放送・配信日:2023年1月14日(土)午後10時30分より放送・配信スタート(第1話無料放送)
人類最終戦争後の世界。
大地は炎魔が闊歩する黒い森におおわれ、人々は結界に守られた土地で細々と暮らしていた。
最終戦争前に開発・使用された人体発火病原体によって、この時代の人間は、傍で天然の火が燃焼すると、内側から発火して燃え上がってしまう。
この世界で人が安全に使用できる唯一の<火>は、森に棲む炎魔から採れる。
火を狩ることを生業とする火狩りたちの間で、あるうわさがささやかれていた。
「最終戦争前に打ち上げられ、永らく虚空を彷徨っていた人工の星、<揺るる火>が、帰ってくるー」と。
“千年彗星<揺るる火>を狩った火狩りは、<火狩りの王>と呼ばれるだろう”
紙漉きの村に生まれ、禁じられた森に入って炎魔に襲われたところを、火狩りに助けられた灯子。
首都に生まれ、母を工場毒で失い、幼い妹を抱えた煌四は“燠火の家”に身を寄せることを決意する。
灯子と煌四、二人の生き様が交差するとき、あらたな運命が動きだすー
原作:日向理恵子(「火狩りの王」ほるぷ出版 刊)
キャラクター原案:山田章博
監督:西村純二
構成/脚本:押井守
キャラクターデザイン:齋藤卓也
総作画監督:齋藤卓也・黄瀬和哉・海谷敏久
エフェクト作画監督:小澤和則
イメージイラスト/プロップデザイン:岩畑剛一
美術設定:中島美佳
メカニックデザイン:神菊薫
クリーチャーデザイン:松原朋広
美術監督:小倉宏昌
色彩設計:渡辺陽子
筆文字:勝又まゆみ
劇中画:水野歌
CG監督:西牟田祐禎
CG制作:レイルズ
タイトルデザイン/2Dワークス:山崎真紀子
特殊効果:櫻井英朗
撮影監督:荒井栄児
編集:植松淳一
監督助手:菅野幸子
音楽:川井憲次
音楽制作:フライングドッグ
音響監督:若林和弘
音響制作:プロダクション I.G
アニメーション制作:シグナル・エムディ
灯子:久野美咲
煌四:石毛翔弥
明楽:坂本真綾
炉六:細谷佳正
綺羅:早見沙織
緋名子:山口愛
クン:國立幸
照三:小林千晃
火穂:小市眞琴
油百七:三宅健太
火華:名塚佳織
焚三:宮野真守
灰十:三木眞一郎
紅緒:原優子
ほたる:宮本侑芽
炸六:真木駿一
炎千:上田燿司
火十:綿貫竜之介
ヤナギ:大原さやか
キリ:嶋村侑
ひばり:石田彰
ナレーション:榊原良子
公式サイト:http://hikarinoou-anime.com/
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