アニメ映画『七つの大罪 怨嗟のエジンバラ 前編』声優・村瀬歩さん、梶裕貴さん、雨宮天さんインタビュー|シリーズ初参加の村瀬さんが感じた、歴史の重みと「梶裕貴がやるメリオダス」「雨宮天がやるエリザベス」の魅力とは?
今回のエリザベスは「侍女に対して優しくしすぎない」ことを意識
――本作は物語内での年月が進んでおり、メリオダス、エリザベスも、国王、王妃という立場に変わっています。演じるうえで変化させた部分などはありましたか?
梶:僕は意図的にどうこう、というのはなかったですね。
メリオダスは、きっと、これまでの激しい戦いを終えて、ゼルドリスとの仲も戻って……ひとつ自分の中で、ある種のゴールを迎えたところだと思うんです。だから今は“ずっと願ってきた、享受されるべき幸せ”を、愛する家族との生活の中で学んでいる時間を過ごしているんじゃないかなと。
そんな中で、もちろんエリザベスやトリスタンに対しての特別な感情はあると思うので、そのあたりは念頭に置きながらお芝居していましたが、「年齢の変化や父親らしい雰囲気を出そう」といった、何かを意識的に強調したりということはなかったです。
自分には、これまでメリオダスを演じさせていただいてきた時間、歴史があるので「トリスタンを相手に喋れば自然と出てくるだろう」という感覚でしたね。
雨宮:私はけっこう考えましたね。ここまでずっと演じてきて、そもそも本編の中でも、エリザベスはだいぶ変化してきました。精神年齢というか、いろいろな経験に合わせて、エリザベスの演じ方をずっと変え続けてきたんです。
今回は、またちょっと時間が経っていて、トリスタンが大きくなっているじゃないですか。なので、もう新人ママでもない、母親としての自覚や立場に慣れている、そういった深い母性みたいなものは持たせたいなと思いました。
「母親としてのエリザベスってどんな感じなんだろう?」というのを家で考えて、練って、ドキドキしながら現場に行きました。
――現場で変わっていった部分などはありましたか?
雨宮:自分で家で用意するものと、現場でやるものは、基本違うんですが「結果、違う」だけなんですよね。相手が「こう来てくれたから、こうしよう」という違いなので、「もうちょっと大人っぽくしよう」や「もうちょっと若めかな?」といった修正はないんです。
今回に関しては、何も言われなかったんですよね(笑)。特にディレクションがなかったので、思うままにやらせてもらいました。
一緒に二人きりで話すシーンで、息子(トリスタン)の声が聞こえてくると、安心できたというか、自分の持ってきたものでいいんじゃないかなと思えました。
梶:家でする準備って、台詞の止め方とか息の混じり方とか、そういうところ?
雨宮:声のトーンとか喋る速度とかもそうですし、あとはアプローチの話になると、そんなに抑揚を付けない、落ち着いた感じにしました。あと意識したのは「侍女に対しての態度を優しくしすぎない」ことですね。
梶:なるほど。王妃としてね。
雨宮:そうですね。王妃になって長いわけですし、ちゃんと自分の身分をいい意味で分かっているので、大罪メンバーと接するような会話感ではないようにして。厳しくするわけではないですが、ちゃんと上下関係を付ける、というのは意識しました。あ~、なんか恥ずかしい。
一同:(笑)
梶:ごめんごめん!気になったから!(笑)。確かに、「侍女に対して優しくしすぎない」という意識は大切だよね。エリザベスはどっちかっていうと、世間知らずなお嬢様、といった感じの振る舞いからのスタートだったので、そういった部分が演出できると、年月を経ての変化が、耳で聞いても分かりやすいかもしれないね。