三浦先生の容赦のなさに感服──『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』脚本 大河内一楼さんインタビュー
バディものを描く上での大きな影響
──シナリオを詰めていく段階で、印象深かったことはありますか?
大河内:なるべく原作に沿いたいと思っていたのですが、とはいえ尺に合わせなければならないので、大好きな原作を切り刻まなくてはならず、すごく苦しかったです。「ここ、すごい好きだったんだけどな、俺」と削るたびに切なかったですし、「何であそこ切ったんだよ!」って絶対怒られるだろうなって想像できたし。そういう意味では、今回「夢のかがり火」シーンなどが入ることになって、本当に良かったです。
──黄金時代篇は、傭兵団が戦渦で上りつめていく胸熱展開を丁寧に描いた上で、それを一気に崩壊させるという、すごい構造になっていて。
大河内:まず、戦記物として断然面白いんですよね。そして、青春群像劇としても最高。ここまで魅力的に描いたものを壊すって……。最初から想定していたとしても描いてるうちに愛着ができてしまうし、なかなか難しいと思うんです。でも、やる。三浦先生のその容赦のなさに本当に感服します。
──今シリーズを振り返って、どんな魅力がある作品だと感じますか?
大河内:メモリアル・エディションをあらためて観ても感じたのですが、今そこで戦争が起こってる肌感覚があると言いますか、その時代にタイムスリップして戦場に立ってるような感じと言いますか、それがすごくよかったですね。この時代の戦いってきっとこうだったんだろうな。鷹の団の出現ってこれくらいのインパクトがあったんだろうな。向こうのお城などをロケハンしたこともあり、本当にグっときます。窪岡さんの演出を含め、初手の入りからかっこいいんですよね。今、TVシリーズとして再編集されたものを見ても、古臭い「絵」になっていないのもすごいです。当時、映画という大きなゴールがあったから粘ってたどり着けた映像を、毎週観られるのは贅沢なことだとあらためて感じます。
──今作に携わられて、クリエイターとしてどんな刺激を受けましたか?
大河内:僕の関わった作品を振り返ってみると、バディものが多いんです。『コードギアス 反逆のルルーシュ』のルルーシュとスザクもそうだし、『DEVILMAN crybaby』の不動明と飛鳥了もそうですね。そういった二人が、出会い、近づき、離れ、焦がれ……そういうドラマを描いていくのがきっと好きなんでしょうね。僕にとって『ベルセルク』は、そういうバディを描くにあたって影響を受けた作品の大きな一作つです。近作の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』も含めて、『ベルセルク』にもらった感動と興奮は、自分にとって糧になっていると感じますね。
[取材:ワダヒトミ]
連載バックナンバー
画像をクリックすると、関連記事にとびます。TVアニメ『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』作品情報
放送情報
2022年10月よりTOKYO MXほかにて放送開始!
・TOKYO MX 10月1日(土) 24:30-
・とちぎテレビ 10月1日(土) 24:30-
・群馬テレビ 10月1日(土) 24:30-
・BS11 10月1日(土) 24:30-
・アニマックス 10月16日(日)23:00~
配信情報:
ABEMA、dアニメストア、U-NEXT、NETFLIX、WOWOWオンデマンド、GYAO!、ひかりTV、FOD、バンダイチャンネル、Hulu、auスマートパスプレミアム、TELASA ほかにて配信予定
イントロダクション
全世界累計発行部数5000万部突破(2022年現在)日本を代表するダーク・ファンタジー超大作がTVシリーズとして放送決定!
1989年の連載開始から今もなお孤高の存在として本格ダーク・ファンタジーの軌跡を現代漫画界に刻み続けている『ベルセルク』(著・三浦建太郎/白泉社『ヤングアニマル』連載)。
ファンの間でも最も人気が高い“黄金時代”を三部作で映画化し、2012年~13年に日本をはじめ世界16カ国で公開しました。そして2022年、劇場公開から10年の時を経て、『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』として2022年10月よりTVシリーズにて地上波初登場を予定。
【黄金時代篇三部作】
2012年2月4日公開 『ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵』
2012年6月23日公開 『ベルセルク 黄金時代篇II ドルドレイ攻略』
2013年2月1日公開 『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』
今回の放送では2012年の劇場公開時にはなかった原作人気シーンの一つでもある「夢のかがり火」など原作珠玉の名シーンが、劇場版同様に恩田尚之総作画監督のもと新規カットとして追加することが決定!さらに、既存カットも、数百カットに手を加え、リマスターとしてバージョンアップ!
新規カットには、平沢進、鷺巣詩郎による、新たな楽曲提供が決定。
ストーリー
己の剣だけを信じてきた。友も家族も帰る故郷もない──孤独な剣士ガッツは、百年戦争に揺れる地を傭兵として渡り歩いていた。身の丈を超える長大な剣を自在に操り、強大な敵をいとも簡単に倒すガッツ。そんな彼に目をつけたのが、傭兵集団“鷹の団”を率いるグリフィス。
美しい姿からは想像もつかない統率力を持ち、大いなる野望を秘めたグリフィスは、自らの夢を叶えるためにガッツを決闘で制し、鷹の団に引き入れる。数々の激戦を共にくぐり抜けるうちに、信頼で結ばれていく仲間たち。なかでもグリフィスとガッツの絆は、今や特別なものとなっていた。
やがて鷹の団はミッドランド王国の正規軍にのし上がるが、それはグリフィスの目指す頂点へのはじめの一歩にすぎなかった。一方ガッツは、グリフィスの「夢」に取り込まれ剣を振り回すだけの人生に疑問を抱き始める。だが、ガッツはまだ知らない。果てなき夢が二人に与えた、恐るべき宿命を──
STAFF
原作:三浦建太郎
メモリアル・エディション監督:佐野雄太
劇場版監督:窪岡俊之
脚本/メモリアル・エディション脚本総監修:大河内一楼
キャラクターデザイン/総作画監督:恩田尚之
アニメーションディレクター:岩瀧智
美術監督:中村豪希 竹田悠介 新林希文
動画検査:梶谷睦子 加来由加里
色彩設計:成毛久美子
CGI監督:草木孝幸 廣田裕介 斉藤亜規子 今中千亜季
編集:重村建吾
音響デザイン:笠松広司
音楽:鷺巣詩郎
オープニングテーマ:平沢進「Aria」(テスラカイト)
エンディングテーマ:中島美嘉「Wish」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
アニメーション制作:STUDIO4℃
CAST
ガッツ:岩永洋昭
グリフィス:櫻井孝宏
キャスカ:行成とあ
ジュドー:梶裕貴
リッケルト:寿美菜子
ピピン:藤原貴弘
コルカス:松本ヨシロウ
ガストン:矢尾一樹
バズーソ:ケンドーコバヤシ
アニメ公式サイト
アニメ公式ツイッター(@berserk_mePR)
原作公式サイト
原作公式ツイッター(@berserk_project)